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2009/07/18

もろずみ総研メールマガジン 第209号

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 もろずみ総研メールマガジン 第209号 ======================== 2009/7/18
 
 【検証・自動車産業】
  アメリカ自動車産業の再生は? ▽全回数未定 1/未定
 
 ◆ジェネラル・モータースから"ガバメント・モータース"へ
  ~その意味とこれからを考える◆
 
  ジェネラル・モータース(GM)が「破産した」。
 
  日本のメディアが伝えるニュースのヘッドラインとしては、こういう表現
 になっています。
 
  しかし現実には、アメリカ合衆国の倒産手続きを定めた連邦法(Bankrupt
 cy Code:これを「破産法」と訳すから事態が伝わりにくくなる)のChapter
 11(第11章)、“Reorganization”つまり「事業を継続しつつ“再生”を行
 なう」プロセスの適用を申請した、という状況。
 
  たしかに金銭面においてGMの事業運営は破綻に瀕していたわけで、それを
 耐えるべく債権者に債務の繰り延べや圧縮を求める交渉を続けていたが不調
 に終り、そこで事業を継続するためにChapter11の適用を受ける。そうする
 と、個別の債権取り立てが自動的に禁止されるところから、再建に向けた動
 きが始まるのです。つまり債務は凍結され、事業の継続と再生のほうが優先
 される。企業側に有利な再建プロセス、ということができるでしょう。
 
  GMがChapter11申請に入る前に報道されていた内容からすれば、債務圧縮
 を受け入れなかった主なところとして、投資ファンド系とUAW、つまり労働
 組合の名が上げられていました。アメリカと世界の経済そのものをバブルに
 導いた投資組織と、アメリカの自動車関連製造業の経営を圧迫してきた最大
 の要因のひとつである人件費(とくに年金、雇用保険などの膨張)、この二
 つの分野が、これまでの権益を譲ることに最後まで抵抗した、というのが、
 なかなか象徴的ではあります。その結果、彼らのものを含めた債務を強制的
 に停止するChapter11の発動しか選択肢がなくなったわけですが。
 
  その一方で、政府は自動車産業に対して大量の資金注入を行い、GMの株式
 も取得するに至ったことで“Goverment Motors”と揶揄されています。日本
 人にとっては、つい10年前の土地投機バブルの崩壊と、そこで起こった主要
 銀行への公的資金注入、一部国有化のプロセスを思い起こさせます。
 
  国の経済や産業の基幹要素として「潰すわけにはゆかない」企業を、公的
 資金を使って支える構図が、今回のアメリカでは自動車産業に対して“発動”
 された。しかしもちろん周辺では様々な痛みを伴う事象が起こっているわけ
 ですが。
 
  公的資金の注入、しかしそれだけでは再生へのプロセスが動かない状況を
 打破するべくChapter11を適用する。自動車メーカーの再生に対するこの荒
 療治に関しては、GMよりはるかに小さいクライスラーをモデルケースにした、
 という観測もできそうです。
 
  いっぽうフォードに関しては、彼ら自身の経営悪化がアメリカ投資バブル
 の崩壊より前に顕在化していました。'90年代後半にはまさに金余り状態で、
 規模の拡大=企業価値という感覚で、マツダに対する出資を増加して経営へ
 の関与を強め、さらにボルボを、ランドローバーを、アストンマーチンを買
 収して、すでに傘下に収めていたジャガーとブランド商品グループを構成す
 る、などの積極策(?)を繰り広げていました。
 
  単純な論理と価値基準に沿って「プラットホームの共通化」「開発資源の
 整理と有効利用」「部品調達の効率化」などを掲げ、それが良い形で現れた
 ところもあります。とくに欧日の協同開発においては。
 
  しかし本国アメリカではF系ピックアップ以外に利益を生む商品がなくな
 り、業績はみるみる落ち込んで、投資拡大路線を主導したジャック・ナッサ
 ーCEOは更迭。フォード本家のウィリアム・クレイ・フォードが企業トップ
 に着き、他業種(航空業界のボーイング。ここも今はもう健全とはいえない
 のですが)からCEOを招聘する、というトップ交替が起こります。そしてア
 ストンマーチンを英国投資家グループに、ジャガーとランドローバーはイン
 ドのタタ・グループにそれぞれ売却してバランスシートを立て直す、という
 荒療治を続けていました。
 
  そこまでやりつつあったところでリーマン・ショック、そしてバブル崩壊
 にぶつかったわけで、他の2社のようにそこで大混乱に陥る原因となる材料が、
 事前にある程度整理できていた、といえるでしょう。
 
  とここまでは、自動車産業をある期間にわたってウォッチングしていた人
 間ならば、誰でも整理できる程度の話です。しかしここしばらくの日本の主
 要メディアが伝える内容、つまり「アメリカ自動車産業の没落」「小型で燃
 費の良いクルマの開発を怠っていた」「これからは市場ニーズに適合した製
 品の投入が急務」…などといった“判で押したような”稚拙な表現の繰り返
 しは、自動車産業の現実から乖離した空虚なイメージだけを日本の人々と社
 会に刷り込むことになりかねません。ことはそんなに安直ではないのです。
 
  そういうところを、私の実感も含めて振り返り、今を整理し、明日を観測
 してみるお話は、次回また。
 (つづく)
 
 
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 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 この後、次号「GMの開発能力は世界をリードしていたけれど…」と続きます。
 お楽しみに!
 
 つづきは次号(配信予定 7月20~31日 月~金曜日)
 
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 編集長:もろずみ総合研究所所長 両角岳彦
 編集・発行:もろずみ総合研究所 編集部
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