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2009/05/11

もろずみ総研メールマガジン 第201号

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 もろずみ総研メールマガジン 第201号 ======================== 2009/5/11
 
 【新車・試乗分析】 最近の味見/ダイジェスト集 ▽全回数未定 5/未定
 
 ◆PDK+直噴搭載911の味見 その3◆
 
 「次回は…」とお約束して、でもまたちょっと時間が空いてしまいました。
 その間、また出張取材などが続きましたが、そこで何を見てきたか、いずれ
 出版物の形でお目にかけることができるはずで、その時にまた改めて紹介し
 ましょう。
 
  さて、本題。(ようやく…笑)
 
  ポルシェにとって“911”は“icon”、すなわち「象徴的存在」である。
 たしかに開発や企画に関わる人々は口々にそう語っていました。後車軸の背
 後に水平対向エンジンをオーバーハングする形で載せ、2+2のキャビンを甲
 虫的なフォルムで包み、フロント・フェンダーの先端を斜めにカットした楕
 円面にヘッドライトを組み込む。
 
  高性能(高価格)車の顧客、潜在顧客に対して、「ポルシェならではのス
 ポーツカー」と認知してもらおうとした時、この“定型”から離れるわけに
 はゆかない、ということを、ポルシェの人々は思い知らされている、という
 ことなのです。
 
  もちろん、タイプナンバー996以降の“911”は、かつてポルシェが貫いて
 きた硬質な「スポーツ・ドライビングの道具」とは、その技術的内容も、走
 りの躾けも、大きな変化を実感させます。エンジンが空冷から水冷になった、
 などという皮相的なスペックはむしろ大きな変化とはいえず、それよりも、
 全ての基本となる主骨格そのものが、強固な“背骨”を基本にしたバックボ
 ーン型から、ボクスターのそれと共通性の高い、鋼板で組み上げた“箱”に
 なったことなど、自動車としての筋肉・骨格系の変容のほうが大きい、と私
 は考えます。
 
  現行997系は、その996系の“アップデート”バージョン。でもさすがにこ
 こ2〜3年は、パワーユニットの「筋肉としての反応」の仕込みなど、私がリ
 スペクトしていた「ポルシェらしさ」が部分的にではあるけれど回帰し、当
 然ながら今日の技術を使って洗練され、「なるほど…」と思わせる部分も現
 れていました。
 
  そこに「ヒトがクルマを操る」基本的な部分に直結する新技術が二つ、シ
 リンダー内燃料噴射(直噴)システムと、デュアルクラッチ・トランスミッ
 ション(DCT)を導入してきたのが、2009モデルイヤーの911。もちろんその
 味見は、私にとって欠かせないものであったわけです。
 
  その結果は…。
 
 「おや?」「まぁ当然のことではあるか…」
 
  クルマを受け取り、身体を収めて、動き出す。右足の小さな動きにエンジ
 ンが反応し、後輪が腰の後ろからまずは柔らかく押してくる。かつては、こ
 の瞬間から「動物的」とも表現できた一連の動きが味わえたのですが、996
 以来、それは消えました。腰の後ろからスッと脚を縮めつつ蹴り出す感触。
 技術的には「スクワット・モーション」というサスペンション+車体の運動
 で、無い方がよい、と考えられがちではあります。まぁそれは今回のテーマ
 ではなく。
 
  アクセルペダルを踏む右足の動きに対して、エンジンは、そしてまずは自
 動化された湿式多板クラッチがどう反応するか。そこから速度が乗ってきた
 ところで自動シフトアップ…。その瞬間のショックが小さく、スッとギアが
 切り換わる。これもいまや当たり前。私が味見したいのは、その中のニュア
 ンス、デリカシー。
 
  最初から伝わってきたのは、エンジンの反応も、変速のリズム(二つのク
 ラッチの断/結の移行)も、けっこう穏やかだ、ということ。この感触は、
 さらに踏み込んで速度を伸ばしてゆくような領域(もちろんそれは911にと
 って、であって普通のクルマの能力からすれば相当に速い…)まで、変わり
 ませんでした。
  PDKの味付けに関していえば、クラッチのハンドオーバー(切り換え。駆
 動の受け渡し)に少し時間をかけてマイルドにしている。もちろん変速にか
 かる時間は最小限で、ショックもなくきれいにつながってゆくのですが。
 
  しかしデュアルクラッチ・トランスミッションについては、私としてはず
 っと所有しているアウディA3も含めて、もう数年にわたる体験があります。
 その体感リストに照らし合わせてみると、やや「切れ味が甘い」。途中にわ
 ずかにフワッとした柔らかい感触が入る、このリズムであれば、既存のプラ
 ネタリーギア(遊星歯車)機構のATでも可能だろう…と思われます。
 
  考えてみればPDKは、ポルシェの商品構成の中で、これまでのティプトロ
 ニック、つまりプラネタリーギア+トルクコンバーター方式のコンベンショ
 ナルなATに置き替えられることになります。ということは、現状の顧客とし
 ては従来の911+ティプトロニック仕様から買い替えるケースが相当に多い
 はず。その人々に違和感を味わわせないことも、商品の仕立てとしてはとて
 も重要。
 
  そう考えながらもう少し細かくチェックすると、発進の瞬間のクリープ
 (アイドリング状態でクルマを押す動き)や、細かな発進停止の繰り返しな
 ど、DCTには難しいところをできるだけトルクコンバーター付きATに近づけ、
 ギクシャクしないように…と作り込んでいることも伝わってきます。逆にそ
 れが「蹴り出し」を含めて常用域の駆動力の増減をややルーズにしていて、
 変速のリズムと合わせて、何気ない走りの中で「ATからの変化が小さい…」
 と感じさせるのです。
 (つづく)
 
 
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 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 【新車・試乗分析】 最近の味見/ダイジェスト集 ▽全回数未定 6/未定
 
 ◆PDK+直噴搭載911の味見 その4◆
 
 『さて、ポルシェ911の重要なエンジニアリング・チェンジ、エンジンの直
 噴化とDCTの導入。ドライビングというスポーツの現代化には必須のアイテ
 ムですが、その味見と分析、前回はDCT(PDK)の感触のところまで。これを
 もう少し続けます。』
 
 つづきは次号(配信予定 5月13日 水曜日)
 
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 編集長:もろずみ総合研究所所長 両角岳彦
 編集・発行:もろずみ総合研究所 編集部
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