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  • 周期 不定期
  • 最新号 2008/12/03
  • 発行部数 1761
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2008/10/10

もろずみ総研メールマガジン 第170号

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 もろずみ総研メールマガジン 第170号 ======================== 2008/10/10
 
 【社会面ニュース考】 アメリカ金融危機から自動車産業を読み解く
  ▽5回シリーズ 3/5
 
 ◆レクサスがもたらしたもの◆
 
  最初のレクサス、日本ではセルシオと呼ばれたLSは、たしかに非常に力の
 入った、当時のトヨタの組織と人々のエネルギーが思い切り注入された製品
 でした。素人がパッと乗って分かりやすい表面的性能を“高く”。とくに平
 滑路面での室内静粛性と、路面の凹凸の小ショックの押さえ込み。製造品質、
 細部仕上げの精密さと初期故障の排除。こうしたトヨタ流の造り込みは、そ
 れまで欧米の高級車が追求していた「移動空間としての能力の高さ、上質さ」
 とは異なる方法論であって、それがとくにアメリカでは購買層にアピールし
 たのでした。
 
  同時に、世界で上級車を開発し、作っている人々が着目したのは、その利
 益率の高さだった、ということが後々わかってきます。
 
  それまでの高級車、高性能かつ上質な移動空間を実現しようとするクルマ
 は、必要なところには十分なコストを投じる、だから頒価も上がる、という
 論理を前提にしていた、と言っていいでしょう。もちろんそれも相対的なも
 ので、どこまでのコストをリーズナブルと考え、判断するか、という立ち位
 置の問題になるわけですが。
 
  彼らがレクサスLSを入手して部品レベルにまで分解し、その入手先、素材
 や加工法などを調査すると、原価の違いが明確に見えてきた。もちろんトヨ
 タとしては、それまでとは比較にならないほど入念に、工数をかけたものづ
 くりをしていたのだけれど、基本的には彼らの調達・量産手法の中でのこと
 であって、とくに欧州の質の追求とは異なる次元にあった。逆に小さな可動
 部品や電気系コネクターなどの信頼性は高い。
 
  いずれにしても、移動空間としての「質」の意味合いが欧州勢とは大きく
 異なる一方、原価の低減、その結果としての利益率の高さもまた彼らのそれ
 までの常識から外れていたのです。
 
  ところが、その「商品」としての部分がアメリカでは受け入れられ、何よ
 りの多くの利益をもたらす市場で、マーケティングデータでの優位を固辞す
 る存在へとなっていったのでした。しかもそれが市場の動向、ユーザーの意
 志として喧伝される。それがいかに皮相的かつ幼稚なもので、誤った方向へ
 と、売る側と作る側の両方を導くかは、このメールマガジンの中でも何度も
 お話ししてきましたが。
 
  しかし旧来の、伝統のスタンスに立つ側から見れば、彼らが守ってきた
 「良品」の思想は理解されない、されにくい(短期的には、瞬間風速として
 は、なのですが)という現実を突きつけられたことになります。
 
  しかも「より多くの量を売って」「より大きな利益を得る」ことが「成功」
 であり、「企業の使命である」と単純に考え、行動は迅速に強力に、という
 トレーニングをアメリカで受けてきた人々が、欧州(とくにドイツやイギリ
 ス)の組織の上層部に増えてきた、そういう時代でもありました。
 
  かくて「悪貨は良貨を駆逐する」状況が生まれ、加速する。
 
  我々の身体が、感覚が、明確に体感したところでは、こういう思想転換が
 始まった時期から、世界の自動車の中から「良品」たる資質が失われてゆき
 ました。移動空間としての能力と質の高さ、という意味では、いわゆる高級
 車に限らず、実用良品やベーシックな道具たるクルマたちにも、良き資質を
 継承し、それをさらに引き上げ、そして安全や環境など次々に現れる時代の
 要請を織り込む、という本来のものづくりが薄められていったのです。そし
 て「ドライビングというスポーツ」を楽しみ、高めるための手具としての資
 質を追求するクルマづくりも、どこか見えないところにしまい込まれてしま
 った。そういう実感とともに、今の私はクルマを味わっているのです。
 
  個人的師匠の一人の表現を借りるなら「それぞれに良いレストランや一品
 料理の名店だった所が、皆、ファミリーレストランのやり方に倣って、素材
 や味、サービスを画一化してしまった」。そんな感じです。
 
  本来は、ブランドとしての評価を確立した自分たちの資質を継承し、ある
 いは「最良の実用品」を、「新しい時代のベーシック」を生み出す努力を続
 け、さらに磨きながら、同時にそれを生み出すプロセスを日々見直し、改善
 して、継続に必要な収入を、必要十分な利益を確保する、という道を踏んで
 ほしいところですが、しかし今日のマネーゲームの中に身を置くと、それを
 貫くのはつくづく難しい…。
 (つづく)
 
 
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 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 【社会面ニュース考】 アメリカ金融危機から自動車産業を読み解く
  ▽5回シリーズ 4/5
 
 詳細未定ですが、お楽しみに!(千)
 
 つづきは次号(配信予定 10月13〜18日 月〜土曜日)
 
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 編集・発行:もろずみ総合研究所 編集部
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