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  • 最新号 2008/12/03
  • 発行部数 1761
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2008/10/08

もろずみ総研メールマガジン 第169号

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 もろずみ総研メールマガジン 第169号 ======================== 2008/10/08
 
 【社会面ニュース考】 アメリカ金融危機から自動車産業を読み解く
  ▽5回シリーズ 2/5
 
 ◆アメリカ流原理資本主義の落とし穴◆
 
  アメリカが巨大な消費市場、巨大な資金と資本、世界の基幹通貨としての
 ドルをもって、世界の経済システムとその方法論をリードする。この体制は
 もう20〜30年続いています。その中で「経済を考え、理解する論理」の単一
 化、急速に進みました。
 
  それは別の見方をすれば、アメリカという国の若さ、言い換えれば未成熟
 さそのものではないかと思えるのですが。それに世界中が引きずられ、追随
 してしまった、せざるをえなかった。振り返ればその前の時代、アメリカ合
 衆国(合州国)は、若くて、エネルギーにあふれ、そして善意の国でした。
 
  ここで言うアメリカ流短視眼的・単一価値観型・原理資本主義とは、たと
 えば…
 
  企業は利益を追求すべきである。その利益は株主に還元されるべきである。
 つまり企業は「株主の利益」を最優先しなければならない。それも短期的に、
 刻々と。
 
  経済活動や商品の成否、さらに企業の存続は「市場に任せる」べきであり、
 その市場は「自由な競争」が行なわれなければならない。
 
  したがって、企業が商業活動で製鋼するためには、より多くの利益を上げ
 るためには、市場を、言い換えれば消費者の群れが動く方向を仕掛け、作り
 出し、認知を浸透させて、商品を手にする機会、お金を動かす機会をできる
 だけ増やし、それをできるだけ自社に向けるように働きかける。
 
  もちろんこれは非常に表面的な、単純化した内容ですが、どんなに複雑で
 高邁な経済や消費の論議をしても、結局はこういう話になってしまっていま
 す。
 
  以前、ポルシェのヴェンデリン・ヴィーデキング社長――1992〜93年と赤
 字に転落したポルシェを生産システムではトヨタ方式を導入、カイゼンし、
 製品面では共用化などでコストを抑えつつ、カイエンという利益率の高い商
 品を作らせ、そしてブランド商品化を推進する、という方策の組み合わせで
 建て直し、いまやヨーロッパでも最優良企業へ、そしてかつては多くを頼っ
 たフォルクスワーゲンの最大株主となるまで“成長”させた立役者――にイ
 ンタビューした時…。
 
  日本の経済紙の記者が「御社は、最近常識になっている四半期毎の経営指
 標の発表をしないが…」と聞いた。それにニヤリと笑って曰く「私は、いわ
 ゆる投資家、そしてあなた方、経済ジャーナリストなどの“猛獣”に、1年
 に何回となく“生肉を投げ与える”ような経営は好まない。もっと長期的な
 ビジョンとプランに沿った経営をしたいと考えている」。私としては、そこ
 に「証券アナリスト」も加えていいと思いましたし、「長期的な、というそ
 のタームは?」という質問に「10年は」と答えたのも、もっと長くていい、
 とも思いましたが。
 
  とはいえ欧州には「アメリカ流経営」、“原理資本主義”とでもいうべき
 単純かつ一方的な論理では、企業も経済も、そして社会もうまく動かない、
 とシニカルに見る経営者がいる。それはなかなかに興味深く。しかしポルシ
 ェ自身にとっては、アメリカ市場での販売、そしてアメリカ流ブランド強調
 戦略、とりわけカイエンの成功が復活のエネルギーの相当な部分を占めてい
 たわけですが。そしてそのムーブメントも一段落しつつあります。
 
  ここで「そんなことは当然である」と言われるであろう、さらに深いとこ
 ろにある(べき)原理原則を確認しておきたいのです。
 
  何より、人も組織も、社会の中で何かを実現する、何かの役に立つ製品や
 サービスを提供するために生きている。その活動と生活を維持するために対
 価が支払われる。それが提供したものの内容、質に対して“適正な”レベル
 であれば、送り出す者・受け取る者の間でコンセンサスが成り立つ。
 
  だから企業もまずは「より良い製品、サービス」を創出し、提供すること、
 そして個人に、社会に益を生むこと(その内容とバランスが難しい時代にな
 っています)が、まずその存在意味としてある。その上で、その意味や価値
 を説明し、より多く受け入れてもらうことで利益を生む。その組織としての
 活動に合意し、支えるために資金・資本を提供するのが投資である。
 
  もちろん理想論ではあります。でも、いわゆるブランドにしても「他より
 質が高く、それが魅力を生む製品」を送り出し続け、それが人々に浸透した
 ことで消費者の中にある評価が築き上げられた。その上に立って、次の製品
 も「さらに良いもの」を、それも自ら信じる道に沿って作り出し、送り出す。
 この「正のループ」が機能しなくなれば、成功へのシナリオの中に「脆弱な
 仮定」が入り込むのです。一瞬は「風が吹いた」としても。
 
  自動車を見て、体験して、分析していると、そのあたりの動きが、そして
 パラドックスがよくわかります。たとえばレクサスの成功が、いわゆる高級
 車の世界に何をもたらしたか…。
 (つづく)
 
 
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 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 【社会面ニュース考】 アメリカ金融危機から自動車産業を読み解く
  ▽5回シリーズ 3/5
 
 ◆レクサスがもたらしたもの◆
 
 『最初のレクサス、日本ではセルシオと呼ばれたLSは、たしかに非常に力の
 入った、当時のトヨタの組織と人々のエネルギーが思い切り注入された製品
 でした。』
 
 つづきは次号(配信予定 10月10日 金曜日)
 
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 編集・発行:もろずみ総合研究所 編集部
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