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2008/09/27

もろずみ総研メールマガジン 第166号

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 もろずみ総研メールマガジン 第166号 ======================== 2008/09/27
 
 【新車・試乗分析】 ニッポンのミニバンをもっと良質な移動空間に
  ▽9回シリーズ 8/9
 
 ◆実地検証 ホンダ・フリード◆
 
 「ニッポンのミニバン」、すなわち「多列・多座席空間を持つ乗用車」の話
 の、とりあえずの締めくくりに、もう少し小さな空間のクルマたちの新しい
 ところにも触れておきましょう。
 
  まずホンダ・フリード。ミニ・ミニバンとでもいうジャンルの商品です。
 わたりやすく整理するなら、もともとホンダはこのゾーンにモビリオを投入。
 「電車をイメージした」といういかにも四角い、直方体状のボディにスクエ
 アな窓を切ったデザインが特徴的でした。が…。
 
  結局、開発者の期待通りには市場に浸透しませんでした。遊び道具ととも
 に移動する空間をイメージしたモビリオ・スパイクも追加しましたが…。
 
  そこから路線を転じた別のミニ・ミニバンがフリード。その姿形を見ると、
 ホンダの企画者たちがモビリオに対して「自動車らしさが不足していた」と
 分析したことが伝わってきます。
 
  私としては「ほんとにそうかな…?」と思いますが。
 
  空間として思い切り背高にしたにも関わらず、パッケージングの基本であ
 る着座位置・姿勢は、その高さを活かしていない。一般の乗用車に対して少
 し高く座るけれども、頭上に大きな空間が残る。とくに最前列は。これ、最
 近のホンダの背高空間に共通する“弱点”です。
 
  人間の腰の位置を床(足)に対して高く、上体を立てる。この形を強めて
 ゆくほど、まず乗員が前後方向に占有する空間が少なくなり、クルマのパッ
 ケージングをコンパクトに凝縮する方向になります。同時に、座る姿勢とし
 ても腰への負担が少なく、頭部が自然に立つことで周囲を「見て、感じる」
 感覚が活性化されるのです。
 
  かくして「設計と動質の両面で良質なコンパクトカー」は、この「アップ
 ライトな着座姿勢」をどう設定するか、それを床〜壁・窓〜天井でどう包む
 か、無駄はないけれど圧迫感もない「住み心地」の良い空間を構築すること
 によって生み出される。そういうクルマに出会った個人的な原体験のひとつ
 が、フィアット・ウノだったりします。
 
  もちろんモビリオ〜フリードのような背高・箱空間の場合は、さらに腰の
 位置を高く、身体を起こして座る方向であって、当然、頭も目の位置も高く
 なります。そうすると「箱」ならではの住み心地が実感できる。モビリオ
 (やステップワゴン)の前列では、その実感が薄く、窓の広さも“部屋”の
 印象には結びつかず、結局はフィットなどと大差ないクルマで、ただ「3列
 あって便利そう」に止まってしまう。ユーザーは、流行や風評に流されつつ
 も、でもこういう選択には無言の、無意識の判断が現れるもの。それも私が
 実感してきたことのひとつ。
 
  フリードは、たとえばメルセデス・ベンツA/Bクラスのような、今日的
 背高コンパクトカーらしく見えるファッションをまとう方向に転じました。
 でも居住空間の構築も、3列のシートをどんな大きさと形状で配置するかも、
 旧来の手法から脱してはいません。何よりも限られた空間の中に小さめシー
 ト、それも2列目は見た目と違って座ると平板、3列目は座るのにぎりぎり
 以下、ヘッドレストが頭に届かないものになってしまっています。
 
  2列目足元から3列目まで床面はフラットで斜め後ろ上がりの悪しきパタ
 ーン。2列目でさえすでに足の、そして下半身の収まりはしっくりきません。
 ヒップポイントは定石の高さなのですから、足を置く部分の床面(フットウ
 ェル)を前席床面レベルまで下げ、踵の後ろから床を持ち上げれば良いはず
 ですが。ただそこに床下燃料タンクが顔を出してくるので、干渉するのが厄
 介だと、前下り高床構造にしたのでしょう。
 
  さらに、前列、2列目でもシートベルトがちゃんと機能するようにフィッ
 トする体型・座高の幅が狭い。2列目で身体を内側に寄せると肩から外れそ
 うです。「?」とショルダーアンカー部を見やると、前列、2列目ともに上
 下調節機構がない…。たしかに幾ばくかのコストダウンになり、このジャン
 ルの商品として設定した頒価に収めるのに、そこも削らないと…だったのか
 もしれませんが。
 
  それはそれとして…。とにかく走らせてみると、床骨格や走行機能要素を
 供用する現行フィットに比べて、ずいぶん素直になっていました。脚が硬く
 てヒョコヒョコ上下に揺すられる動き、操舵の感触の不自然な反力や引っ掛
 かり感、右足の動きに対してとにかく変速しようとしすぎるCVT…。そうし
 た机上論的セッティングが、最終仕上げ段階で手を入れられる範囲に限って
 ではあるけれど、かなり修正されているのです。2代目フィットを世に出し
 て現実の道を走ってみて、そこで「これはちょっとまずいよ」という実感と
 見直しがあった。それを反映してきた印象です。
 
  となると、今、このタイミングで買う実用コンパクトカー、という見方を
 するなら、フリードの2列シート仕様のほうがフィットよりも移動空間とし
 てはベター。そもそも2列目(後席)に3人座ろうにも3点式シートベルト
 が2組しかないわけで、できればキャプテンシートを載せて4人乗りにした
 い…といった話に広がってゆくのですが。
 
  でもホンダのプロダクツの中で、4+2レベルの多座席空間乗用車を選ぶ
 となれば、フリード、ストリームよりもじつはエディックスの空間設計が、
 論理性も実用性も(後席中央に3点式シートベルトがないのを別にして)最
 良。ユーザーもメディアもそこにもう少し気がついてほしいものです。その
 エディックスが理解されない最大の理由は、スタイリングの表面的な演出の
 失敗でしょう、やっぱり。
 (つづく)
 
 
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 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 【新車・試乗分析】 ニッポンのミニバンをもっと良質な移動空間に
  ▽9回シリーズ 最終回
 
 ◆実地検証 スバル・エクシーガ◆
 
 『延々と続いている「ニッポンのミニバン/多座席乗用車」論ですが、最後
 にもう1車、このジャンルに今年現れたニューフェイスに触れておきましょ
 う。スバル・エクシーガ。』
 
 つづきは次号(配信予定 9月29日 月曜日)
 
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