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  • 最新号 2008/12/03
  • 発行部数 1761
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2008/09/24

もろずみ総研メールマガジン 第165号

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 もろずみ総研メールマガジン 第165号 ======================== 2008/09/24
 
 【新車・試乗分析】 ニッポンのミニバンをもっと良質な移動空間に
  ▽9回シリーズに変更 7/9
 
 ◆実地検証 マツダ・ビアンテ編 その2◆
 
  アメリカの金融不安が、いよいよ5大証券会社の存続にまで拡大。リーマ
 ン・ブラザーズの経営破綻が引き金を引いた形で世界の経済界が揺れていま
 す。この件、サブプライム問題、つまり返済能力が限定された消費者向けロ
 ーンの証券化、その破綻に端を発する…というのはごく表面的な話でしかな
 く、その奥にあるのは、アメリカ合衆国とその経済システムが推し進めてき
 た「原理資本主義」が限界に直面している…という状況だと受け取るべきで
 しょう。
 
  これについては、このメールマガジンでも何度か書いてきましたし、話を
 始めてしまうとそれこそ長くなるので、ここまで進めてきた(遅々としてい
 ますが…(笑))もろずみ的「ニッポンのミニバン」論に、一応のケリをつ
 けてから改めて、ということにしましょう。
 
  ついでに、ちょうどこの9月は『GM(ゼネラルモータース)発足百周年』
 とのことで、アメリカ・デトロイトを中心に大々的なイベントが行なわれて
 います。しかし、その歴史もまた一気に危機に瀕している。フォードが、そ
 してGMが、つまりは自動車という巨大産業を量と資金の両面で牽引してきた
 デトロイト勢が、自動車の明日を、極論すれば今日をも創れなくなってしま
 おうとしている。日本勢が歩いてきた/いる道も、その危機に向かうレミン
 グの行進…か?
  と、この議論もまた次にしましょう。
 
  いずれにしても、今回のお話は前回、マツダ・ビアンテを走らせると…と
 書いたところから続けないといけないわけで。
 
  そのビアンテ、さぁ動かそう、対話しようとしたその瞬間から「?」と感
 じることがひとつ。ステアリングホイールが小さい!
 
  とかく、ステアリングホイールの径を小さくすると「スポーティ」という
 イメージがあるのかもしれません。しかしそれぞれのクルマが持つ空間とし
 ての大きさ、塊としての質量に対して、それを適切なリズムで操るために
 「ちょうどよい」手具のサイズというものがあるのです。もちろんそこに伝
 わる「手応え」も、そして両者のバランスも大事なのですが。
 
  ステアリングホイールが大径ならば、軸を回す腕が長くなる。イコール、
 タイヤからの反力が大きいなら、半径を大きくすれば操作に必要な力を軽く
 できる。同じ動きに対して回す量、つまり回転角と周長=手が動く量は増え
 るけれども。逆にステアリング操作力を軽くすれば、径は小さくてもいい。
 …と考えがちですが、じつはそう簡単ではありません。
 
  ビアンテのように大きめ箱空間で、しかも高い床の上に数人が座っている
 。そういうクルマの場合、まずはその人々にとって自然な動きでリラックス
 して移動ができるように、柔らかくゆったりとしたリズムで走りらせたい。
 道を走る中で間断なく繰り返される小さなラインの修正などで、キュッと横
 移動が出てフラッとロールし、頭と上体が揺れる、という動きが繰り返され
 るのは、乗せられている人々にとっては不快。それが続くとクルマ酔いも起
 こしやすい。
 
  となるとドライバーは、ステアリングを握る手を動かしすぎないこと。必
 要なだけ、柔らかく動かして止め、クルマの反応を引き出す。これが基本。
 もちろん足も、アクセルをガバッと踏んでパッと戻す…、ブレーキは適当に
 踏んでおいて途中から踏み増す/戻す…といった雑な動きは、前後方向の加
 速度/減速度の変動を引き起し、さらに背高空間の場合はピッチングも生じ
 やすいので、同乗者にとっての「乱れ」を増やします。
 
  手足を柔らかく丁寧に動かし、できるだけ小さい操作で必要な動きを作っ
 てゆく。そうイメージして運転しようとした時、ビアンテのステアリングホ
 イールは小さすぎる。私でも、手が動きすぎないように意識して、とくに切
 り込む/戻す動きをどこでどう収めるかのデリカシーのレベルを上げないと、
 フラッとした挙動が出てしまいそうになる。ということは、一般のドライバ
 ーにとっては柔らかいリズムで走らせるのが難しい、はずです。
 
  自分を包む空間が、後方に大きく高く広がっていて、重さもある。それを
 視覚で、三半規管で、そして手の動きに対する反応で、と様々に感じ取って
 自然に手足を動かせば、自然に「良い」動きが組み立てられる。それが良い
 クルマであり、またマツダが今アピールしている、彼ら自身の“DNA”に育
 てようとしている“ZOOM-ZOOM”(ワクワクする感覚)が、ドライバーだけ
 のものではなく、クルマという一つの空間の中で移動体験を“共有”する人
 々全員にとっての「良い走り」「楽しい移動」として実感されるクルマであ
 るはず。
 
 “ZOOM-ZOOM”は「ハンドルを動かせばパッと機敏に反応する」「アクセル
 を踏めばビュッと出る」といった表層的な“俊敏さ”、ひとつ間違えば「過
 敏な手具」のこと、と思ってはいけない。むしろ手足の柔らかく、小さな動
 きまで正確に表現するクルマ、そして移動の愉しさを皆が共有できるクルマ
 が、身体と脳に深く染み込む“ZOOM-ZOOM”を形づくるはず。「自分自身が
 走っている」ことを実感できるからこそ、クルマは楽しい。マツダの人々も、
 今はそこまで思いを深めてほしいと思うのです。
 
  そう考えると、ステアリングの大きさはもちろん、そこに伝わる手応えも、
 もっと吟味しておきたいし(こういうクルマだからこそ)、路面の凹凸を踏
 んだ時に車室に直接的に伝わるショック、ガタガタッ、ドタッとくる振動も
 もう少し角を取っておきたい。揺れのリズムもちょっとピッチが速いし。
 
  さらに、せっかくの直噴、燃焼サイクル1回ごとにシリンダーに入る燃料
 を正確に調量できる、ということはトルク(力)の出方を造ることができる
 システムを持っているにも関わらず、全開領域に近づかないと力の実感が湧
 いてこないエンジン。アクセルを戻して踏み直す度にトルクコンバーターを
 ルーズに滑らせ、シフトダウンし…と雑な反応を繰り返すオートマチック・
 トランスミッション。どちらも作り手側のイメージが、そして技術開発の基
 本スタンスがいかにも「古い」!
 
  素材としてはそれなりの資質を持ち、それがスペックだけではなく実感の
 中にもチラホラと現れるだけに、ちょっともったいないな…と思います。前
 回お話しした、キャビンとシートのレイアウト、そしてこの空間の中に乗っ
 て移動する人々全員に対する緻密で実感を伴う配慮、それらも含めて、しっ
 かり作り込めば、もっと良い移動空間になるのに。
 
  ま、今日の日本のマーケットで買える「背高・箱空間乗用車」としては、
 ノア/ヴォクシーよりはずっと、あるいはセレナよりもマトモな製品ではあ
 ります。あくまで横比較ですが。しかし現状のベンチマーク、つまり同種の
 移動空間として「このくらいの資質と仕上がりは必要でしょう」と私が考え
 るクルマ、たとえばVWトゥーランと比べると、住み心地、衝突安全の基本、
 そして走りまで、かなり見劣りすることは否定できません。
 
  トゥーランは、ビッグ・マイナーチェンジ&TSI+DSG搭載の時に、がぜん
 良くなりました。とくに動質は。力の実感とそのコントロール、さらに心地
 よく走る状況はもちろん、タイヤの限界まで踏み込んで思い切り能力を引き
 出す状況での懐の深さ、対話の愉しさまで含めたフットワークも。それもピ
 ーク出力だけが増える(常用域は変わらない)125kW(170ps)のハイライン
 よりも、103kW(140ps)のトレンドラインのほうが一段とバランスが良いの
 です。
 (つづく)
 
 
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 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 【新車・試乗分析】 ニッポンのミニバンをもっと良質な移動空間に
  ▽9回シリーズ 8/9
 
 ◆実地検証 ホンダ・フリード◆
 
 『「ニッポンのミニバン」、すなわち「多列・多座席空間を持つ乗用車」の
 話の、とりあえずの締めくくりに、もう少し小さな空間のクルマたちの新し
 いところにも触れておきましょう。』
 
 つづきは次号(配信予定 9月26日 金曜日)
 
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