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  • 最新号 2008/12/03
  • 発行部数 1761
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2008/09/12

もろずみ総研メールマガジン 第164号

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 もろずみ総研メールマガジン 第164号 ======================== 2008/09/12
 
 【新車・試乗分析】 ニッポンのミニバンをもっと良質な移動空間に
  ▽7回シリーズに変更 6/7
 
 ◆実地検証 マツダ・ビアンテ編◆
 
 「ニッポンのミニバン」最新モデルたちについて、そろそろ具体的な話に進
 まないと…。皆さん「シビレを切らしている」のではないかと。(笑)。
 
  まずは、スタンダード・サイズというべきジャンルに加わった、マツダ・
 ビアンテ。最新の具体例として、少し詳しく見てゆきましょう。他のクルマ
 も含めて検討する時の参考になるはずなので。
 
  マツダは、3列多座席乗用車についてはけっこう早いタイミングで進出し
 ました。アメリカのミニバン市場に対応すべく送り出したのが、FRレイア
 ウトの初代MPV。少し雑なクルマだったけれども、空間構築などはけっこう
 堅実でした。商用1BOXバンから派生したボンゴ・フレンディもありまし
 たが…。ATF(オートフリートップ)は天井に可動式テントを組み込んで、
 いささかトップヘビー。走りにそれが明確に現れてしまって、ロールはもち
 ろんピッチング過大でヨタヨタしたし、あのテントの下で寝るか、と言われ
 ても…。ストリーム的2+1列ジャンルにはプレマシーを送り込んでいます。
 
  とはいえ、今日の日本のマーケットでは「中核商品」ともいえる、スタン
 ダードな「箱型ミニバン」がない。そこを狙いつつ、もうちょっと大きなス
 タイリッシュ・ミニバンのゾーンまでカバーしようというのが、ビアンテの
 商品企画。もっと直截に言えば、企画のベンチマークはステップワゴン。そ
 れに追随しているノア/ボクシーやセレナ(どちらもコンセプトも移動空間
 としての資質も旧態化)もにらみつつ。さらにエスティマやプレサージュ、
 グランディスなどのゾーンもカバーしたい。
 
  ちなみに後者の“空間は広く、でもスタイリッシュ”組の商品としてのベ
 ンチマークはエスティマ。初代は傑作でしたが…。先代・現行とも着目に値
 するのはハイブリッドのみ。注目度は低いのですが、グランディスがけっこ
 うよくまとまっています。
  で、ビアンテに戻ると、エクステリア・スタイリングだけは独自の表現を、
 という意図が現れていますが。そのチーフ=まとめ役は先代アテンザやCX-7
 を担当した小泉さん。現行アテンザとRX-8は佐藤さんで、この二人のテイス
 ト、指向性の違いがそれぞれのクルマによく現れているのが、最近のマツダ
 ・デザインです。
 
  まずは各列に着座して最初の観察&チェック。キャビン断面は「四角い
 箱」。ここにまず商品コンセプトがはっきり現れています。さて“多座席移
 動空間”としての資質の鍵を握る2〜3列目は…。
 
  やっぱりロングスライドを前提に空間設計をしたがゆえに、このエリアの
 フロアは前下がり。ただ2列目に関しては足を置く床は前の1列目のシート
 が置かれた床面の延長上、一段低くて水平な面にしてあるので、膝〜足首が
 無理な形になるのは何とか回避できます。シート座面をもう少し上げるか、
 少なくとも前上がりにして腿〜膝裏を支持すれば、下半身の収まりは自然に
 なるのですが。フルフラットなどの要件を加えてしまったがゆえに、それが
 できない…。
 
  さらにこの2列目のシートは左右2分割で、右側は横方向に85mmスライド
 する機構を加えてあります。外側位置にすればシート間に“ウォークスルー”
 の隙間ができる…というのですが。この位置では上体、とくに肩〜頭と側壁
 /ウィンドウガラスに近く、圧迫感があるので、普通に座って移動するのな
 ら、内側位置にもってゆきたい。ところがここに動かして座ると、シートベ
 ルトが肩から外にはずれそうになる。シートだけ内側に移動して、ベルトの
 ショルダーアンカーには何も策がないのだから、当然なのですが。最低でも
 アンカーの上下調節だけは必要。でも固定式です。
 
  2〜3列目の乗員にもちゃんとシートベルトがフィットするように。その
 配慮が甘いのが日本の自動車設計の現状。ドライバーと違って、座ったとこ
 ろで身体を動かすことが多い、つまりポジションが変化する範囲が広いので
 すから、運転席よりもむしろ幅広いフィッティングを考えて設計しなければ
 ならないのですが。シートベルトのバックルも自立式にしないと。
 
  もうひとつ付け加えておくなら、子供たちを乗せる機会の多いクルマとし
 て、CRS(幼児・小児用拘束装置)の固定にも配慮が欲しいところ。2列目
 にはISOFIXと、チャイルドシートの上部を固定するテザーアンカーが用意さ
 れている。これは合格。
 
  しかしいずれにしても、この2列目は2人分です。“8人乗り”は最初か
 ら空論。この分割シートの中央に座ると、お尻直下でシートは分割されてい
 るし、シートベルトは固定長2点式でしかないのです。
 
  3列目に移ると、座る位置を少し内側に寄せてあることもあって、横2人
 掛けであれば、上体は何とか収まる空間があります。しかし足元は狭い上に
 床が前下り。さらにシートは座面、シートバックともに小さく、極端に平板。
 とても安定して座っていられる状態ではありません。ヘッドレストもいっぱ
 いに引き出してようやく役に立つかどうか。つまり、せっかくの箱型空間な
 のに3列目は「+2」レベル。やっぱり「4人しか乗れない」ミニバンです。
 
  2列目、3列目ともにロングスライドが中間位置でロックしないこと、折
 り畳んで再び起こした時に、最善の着座姿勢がとれる形に戻る機構が入って
 いないことなど、現実のユーザーの使い勝手を考えると、詰めが甘い部分が
 散見されます。やりたいこと、アピールしたい機能に対してコストの制約が
 きつい、といった事情がこうしたクルマ造りに現れているはず。これもきわ
 めて日本的。
 
  ドライバーズシートに戻って、インスツルメントパネルを見渡すと…。
 
  まぁ定型ではあるのですが、エクステリアのようにこだわりが現れたデザ
 インではありません。基本機能としては、後方の広い空間に向けて空調風を
 できるだけ大量に、拡散させて送り出す。この配慮が不足している。上段の
 大きなメータークラスターの中央部分に、あまり重要でない表示系が鎮座し
 ている。ここか、あるいは上面に拡散風の吹出口を設けておきたい、と見た
 瞬間に思います。中段中央に収まるディスプレイ両側の小さな縦型吹出口で
 こと足れり、とするのも最近の日本車のインテリア・デザイン&設計の悪し
 き風潮。
 
  さて走り出そう…とすると、何よりステアリングホイールの径が小さすぎ
 る。この種の大空間・背高グルマを操る時には…と、ここから先はまた次回。
 (つづく)
 
 
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 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 「静的チェックだけで十二分に長くなってしまったので(笑)、動的チェック、
 そしてフリード、エクシーガは次回に、ということにて」(所長)
 
 つづきは次号(配信予定 9月15〜20日 月〜土曜日)
 
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