もろずみ総研メールマガジン RSSを登録する

自動車評論家・両角岳彦氏が新車試乗分析から自動車社会の問題点まで「もろずみ流の本音」で斬ります。褒めるだけの自動車評論に飽きた、知的探究心に溢れるアナタに最適なメルマガです。メルマガが本になりました。『本音のクルマ論』

  • 周期 不定期
  • 最新号 2008/12/03
  • 発行部数 1761
  • マガジンID 0000225057
  • 個別ページ
最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
あなたの一票を待っています!まぐまぐ大賞2008
2008/09/05

もろずみ総研メールマガジン 第163号

この記事を取り寄せる

 M┃O┃R┃O┃
 ━┛━┛━┛━┛
 L┃A┃B┃
 ━┛━┛━┛
 
 もろずみ総研メールマガジン 第163号 ======================== 2008/09/05
 
 【新車・試乗分析】 ニッポンのミニバンをもっと良質な移動空間に
  ▽6回シリーズ 5/6
 
 ◆日本流「多座席乗用車」車両レイアウトの問題点◆
 
  もともと「ミニバン」というカテゴリーは、アメリカでビッグ2から大き
 く離れた3番手に追いやられていたクライスラーが、当時の量産FFセダンだ
 った「Kカー」のいわゆる“プラットホーム”を使って、3列シートの多座
 席箱型乗用車を作り、それをこう呼んだことに始まります。
 
  つまりこの当時(も、今も)、アメリカには“フルサイズ”のピープルム
 ーバーがあって、それは商用車系の「箱型バン」に3〜4列シートを並べ、
 それはそれでちゃんと座れ、しかも安全基準に沿って全席3点シートベルト
 が付く、というクルマ。それに対して“ミニ(小さめ)”バンと、直截的に
 名付けたのでした。
 
  ちなみに北米市場では、ピックアップトラック、SUV(これもアメリカ流
 分類〜命名。もともとはピックアップを元にワゴン形態とした多用途車)、
 そしてミニバンを合わせて「ライト(light)トラック」とひとくくりに分
 類しています。そこで日本のマスメディアが「軽トラック」とか「スポーツ
 多用途車」などとトンチンカンな翻訳をするわけで…(苦笑)。
 
  ま、それはそれとして…。
 
  日本での「多座席乗用車」は、いくつかのカテゴリーに分化してきていま
 す。まず“ちゃんと座れる”3列・6人乗りの“箱”。その中でも大きめ空
 間なら、シートベルトなどの安全装備をきちんと組み込むことで7〜8人乗
 車も可能です。
 
  もう少し空間が小さく、とくに短くなると3列目は狭くなるだけでなく、
 すぐ背後がバックドア。つまり後面衝突(追突だけでなく、スピンして後か
 らガードレールへ…という状況なども含めて)の時、衝撃を緩和する車体空
 間・骨格が限られるクルマが多くなります。私としては、これらは4人乗り
 か基本で、いざという時には6人乗ってもよいけれど「気をつけて」と言わ
 ざるをえません。
 
  さらに「定員」はたしかに6〜8名だけれども、3列目シートは「何とか
 収まる」空間でしかなく、髪が天井に触れたり、膝を抱えるようにしないと
 座れなかったり…。シートベルトも身体に密着しない。これはもう「+(プ
 ラス)2」空間であって、よほどの状況以外では使わない/使えないと割り
 切るべきもの。でもその「緊急用シート」のために空間設計や重量配分など
 で譲歩せざるをえない部分も少なくない、というのが現実です。
 
  このところの「新顔」でいえば、アルファード/ヴェルファイアが第1の
 ジャンルにおける“日本的フルサイズ”。手頃な外寸(投影面積)で背高&
 箱断面にして居住空間を広げ、何とか3列シートを成立させるとなると、や
 はりステップワゴンぐらいの“箱”になります。欧州勢では全長4.5m程度の
 中に巧みに3列・7人乗り空間を構築した例はありますが(代表例はVWトゥ
 ーラン)。
 
  日本の特殊事情としては、まず2列目(と3列目)シートのロングスライ
 ドを組み込む。これをやるにはキャビン後方の床面に2条(以上)のレール
 を設置する必要があります。しかし現行の乗用車汎用骨格(下半身)の場合、
 ちょうど2列目下後方のフロア下面には燃料タンク、その後は後面衝突骨格
 と連なるので、レールを通そうとするとその前端と後端では骨格床面の高さ
 が違う。そこでどうしても「後上がり」になります。
 
  しかもレールの高さ分だけ、キャビンのフロアは“かさ上げ”されるので、
 人の座る位置も地面から離れ、クルマの重心も上がります。その一方で車両
 レイアウト設計としては、高くなったキャビンフロアの上に“常識的な”着
 座姿勢を設定すれば良し、という単純な発想が一般的。でも足を置く面も腰
 の位置も高く、車体が揺れて傾く動きもより大きく加わる中では、座面を高
 めに置いて膝の曲がりを深く、上体も自然に立てた姿勢になっていたほうが
 快適だし、疲れないのですが。そのあたりについての実感と掘り下げは、日
 本ではまだまだ浅い。
 
  さらにそこへ「フラットフロア」などという視覚的要求(そう、実質的意
 味は薄い)が加わると、2列目(と3列目)の足を置くフロアまで前下りに
 傾斜するか、ぎりぎり水平にできるか、という形になります。その上に「乗
 用車としては高めに、全体を起こして」程度の姿勢で座ると、足の裏をフロ
 アに付けるには足首を不自然に伸ばさなくてはなりません。人体模型ならば
 「ちゃんと座れる」としても、生身の人間は関節や筋肉に張りや緊張が出る
 姿勢を続けるのは無理ですから、自然にどこか適当な場所に足、とくに爪先
 や踵を引っかけるか、お尻を前に出して崩れた姿勢になるか…。2次安全性
 の問題以前に、腰や脊椎、下肢の負担が増え、せっかくの背高空間なのに
 「心地よく疲れない」とはゆかないのです。
 
  さらにもうひとつ、「フルフラットでベッドにもなる」という要件を加え
 ると、シートバックの高さは「後のシートや壁との間に収まる寸法」に制約
 されます。もちろん座面の前後長も。とくにシートバックが極端に低く、下
 肢の支持も浅い椅子になってしまいます。もちろん前後長が限られるクルマ、
 キャビンほど。
 
  しかもシートバックが低すぎて、ヘッドレストをいっぱいに引き出しても
 標準的な座高で頭背面ぎりぎり、しかもその状態でヘッドレストの“脚”は
 シート骨格に少し差さっているだけ、大きな衝撃には耐えられない…という
 ケースを、これはミニバンにかぎらず、フルフラットシートに限らず、数多
 く見かけます。こういうところに目を配って、評価するメディアや団体は皆
 無に近い。だからユーザーも知らないし、気にしない状況がずっと続いてい
 るわけで…。
 (つづく)
 
 
 ----------------------------------------------------------------------
 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 「あれこれ背景を、知っておいてほしいことを書き連ねていたら、また、実
 車の話(味見)に行き着かず…(笑)。次回は、今回の分類や問題点の抽出に対
 応して、ビアンテ、フリード、エクシーガの味見を語る、ということにしま
 す」(所長)
 
 つづきは次号(配信予定 9月8〜13日 月〜土曜日)
 
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【パートナー研究員 募集一時停止】
 みなさまから多くのご意見・ご質問を「パートナー研究員」としてお寄せい
 ただいてきましたが、メルマガの発行体制変更に伴い、一時研究員の募集を
 停止させていただきます。新体制が整いしだい再開したいと思っております
 ので、しばらくお待ちください。
 また、「もろずみ総研メルマガ」では、原則としてご意見・ご質問は、この
 「パートナー研究員」の方に限らせていただいています。ご了承ください。
 
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ======================================================================
 【もろずみ総研メールマガジン】
 ※本メールは等幅フォントで最適にご覧頂けます。
 ※本メールマガジンをお届けしたメールアドレスは、配信専用のアドレスで
 す。本メールに直接ご返信頂いてもご回答できません。
 ----------------------------------------------------------------------
 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
 <配信中止はこちら> http://www.mag2.com/m/0000225057.html 
 ----------------------------------------------------------------------
 
 ★☆ 広告掲載に関するお問い合わせは ☆★
 moro-lab@akira.aki.gs
 
 掲載されている記事の無断転載・転用を禁止します。
 本メールに掲載している文章・画像の無断転載を禁じます。
 記事のすべての著作権は「もろずみ総合研究所」に帰属します。
 
 編集長:もろずみ総合研究所所長 両角岳彦
 編集・発行:もろずみ総合研究所 編集部
 Copyright(c)  Moro Lab. All rights reserved.
 
 
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この記事を取り寄せる
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る