もろずみ総研メールマガジン RSSを登録する

自動車評論家・両角岳彦氏が新車試乗分析から自動車社会の問題点まで「もろずみ流の本音」で斬ります。褒めるだけの自動車評論に飽きた、知的探究心に溢れるアナタに最適なメルマガです。メルマガが本になりました。『本音のクルマ論』

  • 周期 不定期
  • 最新号 2008/12/03
  • 発行部数 1761
  • マガジンID 0000225057
  • 個別ページ
最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
あなたの一票を待っています!まぐまぐ大賞2008
2008/08/22

もろずみ総研メールマガジン 第161号

この記事を取り寄せる

 M┃O┃R┃O┃
 ━┛━┛━┛━┛
 L┃A┃B┃
 ━┛━┛━┛
 
 もろずみ総研メールマガジン 第161号 ======================== 2008/08/22
 
 【新車・試乗分析】 ニッポンのミニバンをもっと良質な移動空間に
  ▽5回シリーズ 3/5
 
 ◆質問にお答え「ちょっと道草?編」◆
 
  まずは前回のアルファード/ヴェルファイアのオットマン(レッグレスト)
 付きシートと室内空間の整合性について、少し補足。
 
  走るクルマの中で、パッセンジャー(乗せられている立場の人)がリラッ
 クスして座る。その中で膝の折れ角を浅く、脚を伸ばした姿勢をとる。それ
 を否定するわけではありません。ただ、それを実現するためには、まず前後
 方向に十分な空間が必要。その“占有空間”の中で身体を伸ばして座ってい
 るところに様々方向か大きな衝撃が加わった時(衝突事故だけではなく)、
 その乗員の身体を確実に拘束することに始まる受動的安全性が、十分に(そ
 の時々の技術知見に応じて)確保・担保されていること。これが最低限の要
 件だと私は考えるのです。
 
  新しいティアナの助手席にもレッグレスト付きシートが設定されています
 が、こちらはある程度上げた状態でもダッシュボード下面側・ニーストッパ
 ー面とレッグレストとの間に脚が収まるだけの空間は残ります。だからアル
 ファード/ヴェルファイアの助手席のように「NG」とは言いません。
 
  しかし、この種のリクライン+レッグレスト方式で身体全体を伸ばしつつ
 後傾させて座り、その姿勢で全身の筋肉をリラックスさせ、しかも安全に移
 動できるようにするためには、レッグレストを展開させたら膝の位置を上げ、
 尻〜骨盤がシートに収まる形にして、上体の後傾角も寝そべらないような角
 度に合わせる。それをシートの構造と設計の中でしっかり造り込んでおく必
 要があります。シートバック、座面角度と高さ、レッグレストの位置関係が
 自動的に設定されるような機構を前提にすべきでしょう。もちろんその使用
 方法、安全な座り方などを一般の人々にわかりやすく伝える使用説明ラベル
 なども欠かせません。
 
  もうひとつ、その前のゴルフTSI・トレンドライン(1.4Lシングルチャー
 ジ+7速DSG)の実用燃費について、読者から次のような意見が送られてきた、
 というので、簡単に追加解説を。
 
  その意見は…
 
 > 確かにこの燃費はスゴイと思いますが、
 > 1. そもそも車の値段がプリウスより高い
 > 2. ハイオクを使う
 > と言う点も勘案する必要があると思います。
 
  というもの。
 
  ちょっと視野が狭いかな?(笑)
  まず1.については、日本国内での車両価格を比較しても、ゴルフTSIトレ
 ンドラインは248万円。プリウスは車両挙動安定システム(トヨタ流呼称はV
 SC)を備えるグレードになると262万5000円〜278万2500円。しかもサイドエ
 アバッグは6万3000円のオプション。安全系装備を「お客様の要望に応じて」
 というのは日本のメーカーの悪しき慣習ですが。
 
  欧州での価格もざっと調べてみましたが、ゴルフTSIトレンドライン相当
 の仕様は2万5000ユーロ前後。プリウスは2万5000〜9000ユーロでした。
 
  そもそもフォルクスワーゲンにとっての中核・実用商品であるゴルフと、
 内燃機関に加えて、稀少素材を大量に使ったモーターと強電制御系、さらに
 大量の電池を積み込んだ「加減速モード専用燃費に特化したニッチ商品」で
 あるプリウスを同列で比較する意味はありません。
 
  もっと普通の製品と比較すべきでしょうが、ゴルフそのものの移動空間と
 しての資質に相当するトヨタ車は、残念ながらないのが実情。たしかにカロ
 ーラなら、価格は安いけれど。空間の資質以上に、フォルクスワーゲンのク
 ルマ造りは一時のコスト優先主義を脱して、必要なところにはコストをかけ
 る、その結果、製品価格は少し高い…という以前の企業理念に戻りつつある
 印象です。
 
  逆に磁性体や銅線や化学電池や…といった素材〜部品をあれだけ積み込み
 ながら、プリウスの価格を実用品レベルに止めているトヨタのコスト削減力
 はすごい、という見方もできます。ただしそれは多くの協力メーカーに苦勞
 と痛みを強いた成果であり、それがこれからのトヨタにとってのアキレス腱
 になる可能性は大きい、という点も見逃さないでください。そしてもちろん、
 そうした素材・原料を多用することによる、ライフサイクル全体における環
 境影響、そして工業文明全体への負荷増大についても。
 
  話をTSI(ツインチャージも含めて)に戻すと、多くの人々の日常の足と
 なる中核製品に、内燃機関を核とするパワーパッケージの着実かつ明快な技
 術進化を投入して、「ガソリン・エンジンでディーゼル・エンジンと同等の
 実用燃費を実現」しようとしている。それが今回のシングルチャージでは一
 段と明確になりました。それは、原油を精製した時にほぼ同量が作られるガ
 ソリンと軽油を社会全体でバランスよく消費し、今後やってくるであろう燃
 料の多様化への対応も視野に入れたもの。そういうフォルクスワーゲンの、
 自動車のプロフェッショナルとしての技術ビジョンが伝わってきます。
 
  先日報告したような高速巡航主用の走り方、しかも真夏という条件だと、
 私の右足でもプリウスだと16km/Lあたりが限界でしょう。冷房をフルに使わ
 ない条件ではゴルフTSIシングルチャージは20km/Lに届く可能性大。プリウ
 スはこれまで何度も試しましたが、17〜18km/Lが実力。ちょっとペースを上
 げると14〜16km/Lに落ちますし、ドライビングの習熟度、右足のデリカシー
 による燃費悪化の幅も大きい。
 
  もともと高速巡航は、複数の動力源、つまり巡航には不要な重量と損失発
 生源を積むハイブリッド動力車にとっては不得手な分野。逆に60km/hぐらい
 までの速度域で加減速を繰り返す走り方では、ハイブリッド動力システムの
 減速回生の効果が現れます(電池の特性と状態にもよりますが)。市街地で、
 冷暖房を強くかける必要がない気候ならば、アイドリング・ストップによる
 燃料消費削減効果が、移動平均速度が落ちるほど大きく現れます。このあた
 りは何度も説明しているとおり。
 
  そして意見・質問の2。「ハイオクタン・ガソリンを使うのは…」
 
 「燃料費の多寡」だけを論点にする、旧来から日本で蔓延している「クルマ
 家計論(?)」のパターンにハマっていますね。今はもっと視野を広げない
 と。 
 
  つまり消費者の一人一人も、環境影響の削減に関わっている。それはもち
 ろんCO2排出であり、さらに熱の排出、素材や資源の消費(浪費)…。逆に
 「レジ袋をもらわない」や「マイ箸」がどんな環境問題にどういう形で(複
 雑に)関わっているのかを、イメージだけでなく、実態を知って考えること
 も、今の「賢い消費者」には求められているはずです。
 
  ハイオクタン・ガソリンを使う。それはノッキング限界を上げることでガ
 ソリン・エンジンの圧縮比を高めるため。エンジンの熱効率は、圧縮比(じ
 つは“膨張比”なのですが)を高めることで改善できる。同じ理由で、過給
 のレベルを上げるのにも必須。このあたりの理屈はいずれまた説明したいと
 思いますが、いずれにしても燃料が持つエネルギーをできるだけ多く引き出
 すための基本中の基本。
 
  つまりハイオクタン・ガソリン→圧縮比増加=熱効率向上→燃料消費削減
 =CO2排出量削減。このロジックに沿ってヨーロッパではハイオクタン(プ
 レミアム)・ガソリン仕様のエンジンが主流になっています。そこで燃料費
 が増えるとしても、消費者も環境保全の一端として負担しよう、という社会
 的コンセンサス。
 
  しかし今回のTSIシングルチャージ仕様ほどの効率向上、燃費アドバンテ
 ージが生まれれば、そして燃料(ガソリンに限らず)の価格が高くなる時代
 ならば…。レギュラー・ガソリンが180円/L、ハイオクタンが10円/L高いと
 して、圧縮比や過給を高めることによって得られる実用燃費の向上が5〜6
 %あれば(12km/Lが12.7km/Lに、15km/Lなら15.9km/Lになれば)、家計簿の
 上でもレギュラーとハイオクの差はなくなるのですね。
 (つづく)
 
 
 ----------------------------------------------------------------------
 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 今回は読者の方からのご意見にお答えしたスペシャル編となりました。
 ご意見お寄せいただきありがとうございました。
 とはいえ「もろずみ総研」の体制建て直しはいまだならず、ご意見・ご質問
 をお寄せいただく「パートナー研究員」制度の復活と、それへの所長の「お
 答え編」をお届けするのはまだしばらく先になりそうです。今回はイレギュ
 ラーなものとしてご理解ください。なにぶん所長も配信担当者も無給/ボラ
 ンティアなもんで……もっと配信数が増えて広告が入るようになるといいな
 あw(千)
 
 つづきは次号(配信予定 8月25〜30日 月〜土曜日)
 
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【パートナー研究員 募集一時停止】
 みなさまから多くのご意見・ご質問を「パートナー研究員」としてお寄せい
 ただいてきましたが、メルマガの発行体制変更に伴い、一時研究員の募集を
 停止させていただきます。新体制が整いしだい再開したいと思っております
 ので、しばらくお待ちください。
 また、「もろずみ総研メルマガ」では、原則としてご意見・ご質問は、この
 「パートナー研究員」の方に限らせていただいています。ご了承ください。
 
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ======================================================================
 【もろずみ総研メールマガジン】
 ※本メールは等幅フォントで最適にご覧頂けます。
 ※本メールマガジンをお届けしたメールアドレスは、配信専用のアドレスで
 す。本メールに直接ご返信頂いてもご回答できません。
 ----------------------------------------------------------------------
 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
 <配信中止はこちら> http://www.mag2.com/m/0000225057.html 
 ----------------------------------------------------------------------
 
 ★☆ 広告掲載に関するお問い合わせは ☆★
 moro-lab@akira.aki.gs
 
 掲載されている記事の無断転載・転用を禁止します。
 本メールに掲載している文章・画像の無断転載を禁じます。
 記事のすべての著作権は「もろずみ総合研究所」に帰属します。
 
 編集長:もろずみ総合研究所所長 両角岳彦
 編集・発行:もろずみ総合研究所 編集部
 Copyright(c)  Moro Lab. All rights reserved.
 
 
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この記事を取り寄せる
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る