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2008/08/06

もろずみ総研メールマガジン 第159号

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 もろずみ総研メールマガジン 第159号 ======================== 2008/08/06
 
 【新車・試乗分析】 ニッポンのミニバンをもっと良質な移動空間に
  ▽5回シリーズ 1/5
 
 ◆大空間・多座席だからこそ「走って移動する」ところに真価あり◆
 
  まず、前回のフォルクスワーゲンTSI(シングルチャージ)+7速DSGにつ
 いてちょっと補足を。
 
  一定速度維持の中で、エアコン・コンプレッサーを駆動する仕事の影響が
 さすがに大きい、というお話をしましたが、じつはそこに「裏技」の可能性
 あり。室内と吹き出し風が十分に冷えている状態で、ある程度の距離にわた
 って上り、その先は長い下りが現れるという区間では、定速〜加速でエアコ
 ンをオフ、ここではエンジンの仕事を少し軽減しておきます。アクセルを離
 しても速度が落ちないぐらいの下りにかかったところでエアコン作動。する
 とエンジンは燃料カットした状態で、エンジンブレーキ(7速の変速比が高
 いので、効きが軽いのがちょうどいい)の一部としてコンプレッサーが車輪
 側から回される形になります。つまり、燃料を使わずに冷房用コンプレッサ
 ーを駆動している状態。
 
  これも「減速時のエネルギー回収」。ハイブリッド車が駆動用モーターを
 発電に使って出た電力を電池に“押し込む”よりもエネルギーのやりとりが
 ダイレクトで効率は良いかも。さらに言えば、空調システムの中に冷熱を蓄
 えるユニットがあれば、減速時に作った熱(冷却)エネルギーをもっと長い
 時間、有効に使うことも可能になります。
 
  もうひとつ、このTSI(シングルチャージ)ユニットは、さすがに緩やか
 な加速や登り勾配にかかる瞬間は1.4L自然吸気状態でトルク(力)が薄い。
 先行したツインチャージ方式だと、エンジン直結駆動のスーパーチャージャ
 ーがスッと吸入空気量を増やしてくるところですが。その過渡的な力の薄さ
 を7速DSGの変速幅でカバーしているけれども、さすがに押し出す重さが大き
 くなるとちょっと厳しい。現状のゴルフ(ハッチバック)の車重が、この力
 不足が表面に現れない、つまり力が足りない〜踏み込む〜シフトダウンとい
 うビジーなプロセスが頻発しないぎりぎりのところのようです。
 
  さて、そろそろ次のテーマに移りましょう。
 
  以前から予告だけで先送りにしていた「ニッポンのミニバン=多座席移動
 空間」を考える。
 
  私個人としては、もう二十年以上も前からこうした大空間+多座席のクル
 マが生活の中に新しい広がりや楽しみをもたらしてくれる、という提案をし、
 実際に色々な使い方を試してきました。
 
  しかしその前提として「同じ移動空間を共有する全員にとって、同じだけ
 の安全性が確保されていること」が必須である、というのも私の実感であり、
 ずっと変わらぬスタンスなのです。
 
  日本のメーカーが(日本市場向けに)送り出す多座席乗用車をこの観点か
 ら評価すると、公称する乗員数にとって「同じように安全」なクルマは今の
 ところないのです。同時に「それぞれにとって十分に心地よい移動空間か」
 という視点からも納得がゆくだけの空間と動質を持っているものはほとんど
 ない、というのが実情です。残念ながら。
 
  なぜこういう事態が長きにわたって“放置”されているのか。私としては
 何とも不思議なのですが、それは日本の法的基準の不備があり、またユーザ
 ーおよびマーケット側の認識や知識が“進歩”していないことがあり、それ
 はより良いものへ、情報や知識を伝えてゆくべきメディアの責任も大きいの
 です。
 
 「日本市場向け」とわざわざ注記しているのは、法基準や市場要求がより実
 質重視の欧州他地域向けのクルマでは、日本のメーカーも全席に巻取り装置
 付3点式シートベルトや効果を削っていないヘッドレストをちゃんと装備し
 ているからで。
 
  ようやくここへ来て「全ての乗員がシートベルト、もしくは小児用拘束装
 置(CRS:Child Restraint System)を装着すること」が義務化されました。
 が、腰部に固定長のベルトを装着するだけではかえって危険な状況も発生し
 ます。ところが日本製・日本市場向け・多座席乗用車の現状は、7〜8人乗
 りを標榜しても、その中の3〜4人はこういう「安全性のレベルが格段に低
 い」状態で乗らざるをえない。全乗員装着義務化は当然なのですが、その導
 入と現実のクルマの仕様改善、ユーザーや社会への認識の浸透は同時に進め
 なければならないはずなのです。
 
  しかし現実には、クルマを企画し、開発する側でさえ、カタログの上で、
 あるいはディーラーの店頭で、駐車した状態でだけ、空間の多様性や使い勝
 手あアピールするギミック(gimmick:実質的な意味のないカラクリ、仕掛け)
 をいかに増やすかに意を砕くばかり。
 
  ユーザーもそれを「便利そう…」「広くなるのはいいかも…」「天井がガ
 ラスで明るく開放的(じつはデメリットと危険は多いのですが)」と気分だ
 けで見て、選んでしまっている。それは「知らないから」ゆえし、しかたな
 いことではあるのですが。
 
  でも、そのクルマで出かけた先で、わざわざクルマの中で“楽しむ”でし
 ょうか? ほんとは大空間・多座席でも(こそ)、その真価は「走って移動
 する」ところにあります。それも「多くの人間と荷物を収めて」。そのため
 の空間設計と、動質の仕上げと、そしてもちろん「皆にとって同じだけの安
 全性」を持つことこそ、こうしたクルマの本質的な機能であり、そこを見て、
 体感して、評価して、選ぶことを知ってほしいと思うのです。
 (つづく)
 
 
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 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 まずは「ニッポンのミニバン=多座席移動空間を考える」前フリ編をお届け
 しました。この後、アルファード/ヴェルファイア/ビアンテ/エクシーガ
 と、実際のクルマ論へと続いていきます。
 
 つづきは次号(配信予定 8月8日 金曜日)
 
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