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2008/06/30

もろずみ総研メールマガジン 第152号

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 もろずみ総研メールマガジン 第152号 ======================== 2008/06/30
 
 【新車・試乗分析】 レガシィ ▽6回シリーズ 最終回
 
 ◆他の日本のメーカーとの差別性は「シンメトリカルAWD」だけ?◆
 
  現世代で5回目のイヤーチェンジを行ったレガシィ。その製品諸元に加わ
 った新しいアイテムが、アウトバックにだけですが日本市場向けとしては初
 めての4気筒(もちろん水平対向)2.5Lターボ過給エンジン。
 
  たしかにアクセルペダルを踏み込んでエンジンの力を引き出す、その最初
 のところ(つまりまだ過給効果が立ち上がらず自然吸気状態)の力感に厚み
 が出て、そこから「ターボが効いて」過給によるトルクが上乗せされてくる
 変化もまずまず滑らか。そこまでは良いのですが、今日の動力源としては右
 足の動きとタイヤを回す力の増減が、もっとデリカシーを持って正確に現れ
 てくれないと。
 
  この2.5L過給仕様も含めて各エンジンと組み合わされるオートマチック・
 トランスミッションも、悪いと言われた燃費を改善すべく、トルクコンバー
 ターのロックアップ(直結)領域をかなり広げてきたのは確認できました。
 でもやっぱりルーズ。アクセルを戻せばシフトアップ、加速に入って踏み込
 んでからシフトダウン、まずエンジンそのものを加速する(回転上昇=燃料
 を無駄に使って)という日本的変速ロジックの見直しはなく。このあたりも
 富士重工のスペシャリストたちの知見を活用すれば、日本メーカーに率先し
 て変われるはず、のところなのですが。
 
  この視点からは、基本的にアクセルペダルの動きに対する電動スロットル
 バルブの開閉量、その制御パターンを3段階に変えるだけの「SI-DRIVE」は、
 ドライビングというスポーツを乏しいイメージでしか理解できていないもの
 でしかありません。右足のデリカシーがあって、必要な力が出てくれば足を
 止めるドライバーなら、どのモードでも必要なだけアクセルを踏み込んで止
 めるので、その変化が過敏か、遅めかだけの違いでしかありません。もっと
 習熟度の低いドライバーでも雑にガバッとアクセルを踏み込んで、フルに力
 が出る/頭打ちになる、という違いでしかない。
 
  だから私としてはスバルの技術者たちに「廃止するか、基本的な考え方を
 変えるか」どちらかにしてほしいと、毎回お話ししているのですが。そして、
 ヒューマン・コントロールド・マシン・システムとして、アクセル操作と駆
 動力の関係をどう仕上げるか、そこで反応の違い、たとえば「切れ味」「お
 っとり」といった特性を使い分けられるようにするには…といった知見、と
 体験を持つ技術者、開発担当者が、富士重工の中にちゃんといることは、私
 も良く存じあげている。つまり、できないはずはない、のです。それはフッ
 トワーク全般にも言えること。
 
  初代レガシィのとくにRS、そして2代目のspecB、だけでなくふつうの仕
 様、たとえばブライトン、あるいはランカスター(現・アウトバック)の自
 然吸気2.5Lモデル…。日々を共にして「安心感がある」クルマたちでした。
 でも、今回のイヤーモデルも、色々とスペックは追加・修正してきてはいて
 も、あの大切な資質の回帰は感じられません。別の見方をするなら、良き欧
 州勢のような「熟成」も進まず、ということにもなります。
 
  前にも書きましたが、富士重工の人々自身が、レガシィへの信頼を生み出
 したものが何であったのか、もう一度振り返り、考えてみてほしいと思いま
 す。いわゆるアメリカン・マーケティングに振り回されてはいけない。スバ
 ルがユーザーとともに造り上げるべき移動空間は、そうした類の商品ではな
 いのですから。
 
  自動車を深く知ることがない人々が浅い内容の設問を作って“調査”した
 結果を、表面だけで“整理”する。その結果として現れるのが「スバルとい
 うブランドを選んだ理由は?」「4輪駆動だから/水平対向エンジンだから」。
 したがって「スバルのブランド・イメージは“シンメトリカルAWD"である」
 などというチープな論理に終始してしまうのです。
 
  それはしょせん表層の話。稚拙で浅薄な調査の結果などは市場浸透のため
 の“ツール”にすぎない。本当の意味で、スバルが創るクルマが、そしてス
 バルというブランドが、人々に「信じて」もらう動機付けは、実際にクルマ
 と生活し、対話する中で様々に伝わる移動空間としての資質にある。それを
 創るのは「人」。企画し、設計し、実験し、製造する。その全ての人的資産
 にある。それが、スバル。他の日本のメーカーとの差別性はもともとそこに
 ありました。いわば欧州流の、地に足が着いたクルマづくりに最も近い日本
 車、だったはず。
 
  スバル360、そしてスバル1000−−どちらも“シンメトリカルAWD”ではあ
 りませんでした(笑)――。この富士重工のクルマづくりの原点、2車は、
 今日、現車をじっくり見るほどに、そこに注ぎ込まれた知恵の多さと深さに
 頭が下がる思いがします。その開発を主導した百瀬晋六氏には、残念ながら
 私自身は親しくその謦咳に接する機会はなかったのですが、“作品”からそ
 の心は伝わってきます。そこにこそ自分たちの“伝統”の源がある。スバル
 の人々が、組織がここを理解してくれれば、きっとまた「安心して生活を共
 にできる」レガシィが実現する。私はそう信じているのですが
 (両角岳彦)
 
 
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 つづきは次号(配信予定 7月2〜5日 水〜土曜日)
 
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