もろずみ総研メールマガジン 第151号
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もろずみ総研メールマガジン 第151号 ======================== 2008/06/26
【新車・試乗分析】 レガシィ ▽6回シリーズに変更 5/6
◆「走らせていて、何となく安心感がある」は継承できたか?◆
「走らせていて、何となく安心感がある」。これは移動空間としての自動車
にとって、大切な資質です。ふつうのユーザーが感じるのは「何となく…」
であっても、それはクルマの様々な動き、手足の操作への反応、路面を踏み
しめて行く感覚…、そういう実体を持った“現象”が重なり合った結果なの
です。
私のような立場からは、あるいは自動車メーカーや主要要素メーカーのス
ペシャリストであれば、その現象をまず全体として体感し、それを選り分け
ていって、個々に「何が起こっているのか」まで説明できるところまで掘り
下げる。その先に良いメカニズム、良い制御、良いチューニング(仕上げ、
味付け)が見えてくるわけです。ま、私の場合は、そうなりたいな、と試み
て、それを楽しんでいるというべきでしょうけれど。
いずれにしても、近年の日本のクルマには珍しく、この「何となく安心で
きる」フットワークを体感させ、それが車種、さらにブランドへの信頼感を
醸成するに至ったのがレガシィでした。ただし、それは初代と2代目が作り
上げたものであって、3代目そして現行モデルがその資質を、設計面と熟達
の料理人による走りの仕上げの両面で継承できているかといえば…。
その一方で、スバル各車はモデルライフを長めにして、その年月の中で着
実な改良を積み重ねるという、日本のメーカーとしては例外に属するクルマ
づくりをしてきています。これもとくにレガシィにおいてはユーザーの中に
信頼感を醸成することにつながっていたはず、と私は思います。
前置きが長くなりましたが、そういう意味でこの5月に市場投入されたレ
ガシィの「一部改良」モデルは、私にとってもやっぱりその資質を確かめて
みないと、という存在。試乗会に出かけることにしました。
現行レガシィは2003年5月にデビューし、それから1年サイクルで毎年「一
部改良」を行ってきました。したがって今回のイヤーモデルが「F型」にな
るとのこと。たぶん次はフルモデルチェンジ、かな…。
そのF型のトピックスは、アウトバック限定ですが日本市場向けとして初
めて、4気筒2.5Lのターボ過給エンジンが搭載されたこと。
あとは前方視ステレオカメラによる衝突速度抑制他の安全支援システムが
オプション装備に。これは国土交通省主導のASV(先進安全車)プログラム
の中から実装可能なものを市場投入するという施策に沿ったもので、同様に
他社が実装しているのと同工異曲のシステムです。
ただし日本ASV計画そのものが机上論に偏しているので、どこのシステム
もリアルワールドで現実の障害物が認識できないケースがあるとか、人間に
よる回避動作との協調がうまくゆかないケースがあるとか、ヒューマン・コ
ントロールド・マシンとしての基本ロジックが曖昧だとか、種々の未整理点、
実働上の弱点を抱えたままいささか強引に市場投入に走っている、というの
が現状です。
ここでは、こうした中途半端な状況は官、つまり国土交通省に責任があり、
同時に自動車メーカー側もこの「ヒューマン・コントロールド・マシン・シ
ステム」についてもっと深く思索すべきだ、とだけ記しておきましょう。
さて主題は、5回目のイヤーチェンジを受けたレガシィの動質。
コックピットに収まり、スッと動き出して…。この最初の対話から、やは
りかつてのレガシィのようにしっくり馴染んでこない。何より、このところ
ずっと、ですがステアリングの感触が妙に柔らかく、タイヤがどう働いてい
るかの実感が希薄。ごくありきたりの日本車、たとえば油圧パワーステアリ
ング時代のトヨタ車と同様の曖昧さ。
操作力を軽めにして、路面の凹凸を踏んだのが手にまで伝わるのは押さえ
て。そういう発想が伝わってきます。でもそれ以前に、ヒト=クルマ系の中
で最も重要な制御、微細な感触まで感じ取ることができる「手」で、数cmレ
ベルでクルマの進路をコントロールするためのメカニズムであることを忘れ
てはしようがない。手、とくに指の皮膚は、タイヤと路面の間で何が起こっ
ているか、そこまでのメカニズムが滑らかに働いているか、という微細な感
触をとらえ、それに反応してステアリングホイールを動かし、止め、戻す。
それは「普通の人々」でも自然にやっていること。
この原理原則をおざなりにして「ハンドルの重さ」程度の雑な論理でクル
マづくりをしている人々が、なんと多いことか。それも最近は「日本に限ら
ず…」なのが何とも残念。
でも熟練の料理人が作る「味」が持ち味だったスバルとしては、そういう
表面的なクルマづくりに流れないでほしいと、またまた思うわけです。
昨年夏に限定販売されたレガシィ“tuned by STi”は、舵を動かし止める
時の操作力はやや重めにしつつ、何をやってもタイヤが反応する前にどこか
がねじれる動きをかなり消して、ライン・コントロールがしやすいような方
向に躾けてありました。同じ素材を使ってもそうした「味の仕上げ」ができ
る、という良い方の実例でしたが。そうした技術的知見が共有化されていな
い、ということなのでしょうか。だとすれば、惜しい。
最近、レガシィ・セダン/ツーリングワゴンに2.5L過給エンジンを積み、
STiが仕立てたS402という限定車が登場しました。近々、対面の機会がある
ので「!」ということがあったら、また報告しましょう。
(つづく)
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★☆ 次号予告 ☆★
【新車・試乗分析】 レガシィ ▽6回シリーズ 最終回
◆他の日本のメーカーとの差別性は「シンメトリカルAWD」だけ?◆
『現世代で5回目のイヤーチェンジを行ったレガシィ。その製品諸元に加わ
った新しいアイテムが、アウトバックにだけですが日本市場向けとしては初
めての4気筒(もちろん水平対向)2.5Lターボ過給エンジン。』
つづきは次号(配信予定 6月30日 月曜日)
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