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  • 最新号 2008/12/03
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2008/05/22

もろずみ総研メールマガジン 第144号

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 もろずみ総研メールマガジン 第144号 ======================== 2008/05/22
 
 【モータースポーツ緊急レポート】
  今日のF1世界・考 ▽4+2回シリーズ 4/6
 
 ◆密室政治的な思惑で動く現代のF1◆
 
  私自身、F1の“モータースポーツ”としての側面、マシンを形作るテク
 ノロジーであり、ドライビングであり、戦いの戦略であり…を観察し、考え
 るのが好きです。それはずっと変わっていません。
 
  けれども今日のF1はそれ以外の部分、巨大エンターティメント・ビジネ
 スとしてのイメージばかりが強調され、それをほんとに動かしているのはご
 く限られた人々であり、彼らの思考と行動はきわめて政治的であり、しかも
 その内実は覆い隠されて、いかに「セレブな」特殊社会であるかを外に向け
 て演出することに多大なエネルギーが注ぎ込まれています。
 
  今回のスーパーアグリF1チーム(SAF1)撤退に至る中でも、誰が、何を
 どう考えて動き、発言しているかなど、外から見る者にとっては何ともわか
 りにくい。例えば最後の最後、トルコGPが行われるイスタンブール・サー
 キットにSAF1のトランスポーターが到着。しかし「入場できない」という情
 報がホンダレーシングF1チーム(HRF1)のニック・フライCEOから伝えら
 れた。でも彼はSAF1とは別のチームの代表者であって、そういう指示をする
 立場にはないはず。後に行われたインタビューの記事によれば、F1の開催
 からTV放映まで全てを一人の手に収めているバーニー・エクレストンが
 「ここに至っては…」とチーム施設やピットは設営不可だという判断をフラ
 イに話し、それを彼がチームに伝えた、ということだというのですが…。
 
  フライ自身、昨年来SAF1を取り巻く状況について色々発言していて、鈴木
 亜久里氏は「彼は別のチームの代表者なのに。(SAF1を支援してきた)ホン
 ダ本社の人々の判断ならば受け入れるけれど」と不快感を隠しません。もっ
 ともフライはかつてフォード・ヨーロッパに勤めていた時期があり、そこか
 らマーチン・リーチ率いるマグマ・グループとの接触が始まった、というこ
 とのようですが。「マグマ・グループを紹介してくれたことは、感謝します
 よ」というのが亜久里さんの最後の一言。
 
  それにしても、膨大な資金を費やさなければ戦いの現場に立つことさえも
 できなくなった今日のF1。それを支えているのはいくつかの自動車メーカー。
 この図式が急速に浸透しつつあります。
 
  しばらく前までF1などモータースポーツに多額のスポンサーマネーを投
 入していたのは、タバコ産業でした。それがEU圏のタバコ広告全面禁止を受
 けて相次いで撤退。それに変わる「タニマチ」は…?
 
  しかしここで、膨大な資金をプロモーション活動のために投入したとして
 も、その効果はマーケティング調査などの数値にはなかなか現れない、とい
 うのがモータースポーツ(欧州系の、と限定する必要がありそうですが)。
 エクレストンはアジアや中東、ロシアなど新しい開催場所、市場開拓に動い
 てはいますが、そうした国・地域ではF1の“華やかさ”が最初だけは人々
 の関心を惹きつけことすれ、モータースポーツという本質の部分を理解し、
 スポーツイベントとして定着するのにはまだまだ時間がかかる。
 
  一方、何億円かのスポンサーフィーを注ぎ込めばマシン表面の大きなスペ
 ースが「買えた」時代ならいざ知らず、そこから一桁以上も増えた資金を投
 入するには、情熱や共感だけでなく、それ相応の裏付けが求められます。
 
  ところがその運営は、議論や決定の内容が公開されない密室政治的なもの
 であって、しかもごく一部の人間(例えば、現FIA会長のマックス・モズレ
 ー)の思いつきや力の誇示で車両規則や競技規則が動き、しかもそこにチー
 ムの思惑や力関係が加わって、事態は揺れ動く。つまりスポーツイベント+
 ビジネスとしての今後の可能性を明確に描くのが難しい。そんなところに膨
 大な資金をポンッと投入する企業や投資家がどれだけいるでしょうか。
 
  そうなると、自動車そのものをビジネスにしていて、しかも百億円単位の
 資金を動かせる企業、つまり自動車メーカー、その中でも資金的に余裕があ
 ったり、F1に何らかの価値があるという主張が社内で通ったところだけが、
 技術的にだけでなく資金的にも多くを投じる。それ以外に“タニマチ”を見
 つけるのは難しくなる一方。これが「F1の今」なのです。SAF1の買収直前
 まで行ったドバイの投資グループが、事情が見えてきたところで突然手を引
 いたことも、その危うさを如実に示した事例。そう読み解けます。
 
  かつて自動車メーカーは「ドライバーの能力を競う」ことが第一義であっ
 たF1グランプリに対しては、一歩退いたスタンスを取っていました。
 
  もっとも、フォーミュラ1、2…という分類と国際シリーズが確立された
 のは'50年代であって、その昔、第二次大戦前の「グランプリ」は独伊仏の
 高性能車メーカーが覇を競っていましたが、それは当時、それだけの機械、
 車両を作る能力を持つ専門企業がなかったのと、それ以前に超高性能ロード
 カーと競技専用車の間にほとんどギャップがなかったから。
 
  今日ほど、競技専用車両が特殊化した状況で、しかもコスト抑制を大義名
 分にして技術開発の「手を縛る」ように動いている中で、自動車技術を深化
 させるためにF1を手がける必然性はどんどん薄くなっています。しかも自
 動車メーカーが自ら「ドライバー選手権」を戦っても、一般の人々の中に、
 それに対する尊敬や愛情などのエモーションが高まることは期待しにくい。
 一部の愛好家はそれでも「感情移入」してくれますが。
 
  つまり今日のF1は、じつはきわどいバランスの中で肥大化を続けている。
 私の目にはそう映ります。
 (つづく)
 
 
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 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 【モータースポーツ緊急レポート】
  今日のF1世界・考 ▽4+2回シリーズ 5/6
 
 『「SAF1消滅に見る、F1グランプリの今」の話を収めていったところで、
 「F1ってこうあるべきじゃないの?」というところに思いが広がり、書き
 始めたら、話がどんどん広がってしまいました(所長)』と、いつものよう
 に延びw、あと2回延長となりました。でも、すでに原稿が届いてますが、
 面白いですよ!(千)
 
 つづきは次号(配信予定 5月24日 土曜日)
 
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