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自動車評論家・両角岳彦氏が新車試乗分析から自動車社会の問題点まで「もろずみ流の本音」で斬ります。褒めるだけの自動車評論に飽きた、知的探究心に溢れるアナタに最適なメルマガです。メルマガが本になりました。『本音のクルマ論』

  • 周期 不定期
  • 最新号 2008/10/06
  • 発行部数 1744
  • マガジンID 0000225057
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2008/05/08

もろずみ総研メールマガジン 第140号

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 もろずみ総研メールマガジン 第140号 ======================== 2008/05/08
 
 『Tech-mobi 全天候4WDスポーツカー論』 出来ました!
 
 話題の新車情報をメカニズムや挙動で解説するメカニズムメンターテイメン
 ト誌です!
 話題の新車にはどういう仕組みが組み込まれているか、それはどういうパー
 ツの組み合わせで成立しているか、を豊富な図解と数多くの実地テストで解
 き明かしています。
 メカを知れば自動車はもっと愉しくなる!
 
 contents:
 ・ランサーEvo.X(トルクベクタリングの実地検証を含む)、GT-R、インプレッ
 サSTi徹底図解
 ・DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)最新動向
 ・スバル・ボクサー・ディーゼル詳説
 
 発売:4月15日
 商品コード:1860514200
 ISBN:4056051429
 サイズ:A4変型 128頁
 定価:1,680円
 
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 【新車・試乗分析】 タントvsパレット ▽4回シリーズ 最終回
 
 ◆軽自動車の悩み◆
 
  ゴールデンウィークもお終いという6日、ひとつの緊急記者会見が行われ
 ました。スーパーアグリF1チームの「F1世界選手権撤退」を鈴木亜久里
 チーム代表自身が告知するという、非常に残念な会見。多少なりとも状況を
 知る者なら「来る時が来た…」という思いで受け止める事態ではありました
 が。
 
  その場で鈴木亜久里さんが語る一言一言に、今日のF1がどれほど“過剰”
 な仕掛けになってしまっているか、そしてその内部は政治的駆け引きを含め
 て“魑魅魍魎”か跳梁跋扈する世界になってしまっているか…が実感された
 のでした。この件、次回から改めてお話ししたいと思っています。
 
  話を前回までの流れに戻して、本題です。
 
  骨格が、もう少し具体的には車体剛性と重量が“左右非対称”なクルマを
 素直に走るように仕立てる。これはほんとうに難しい。
 
  とはいえロジカルに考えれば、フォーミュラカーのようなレイアウトを採
 らないかぎり「左右対称なクルマ」はできない、という現実に気づきます。
 例えば今日多数派の、エンジン+トランスミッションを一体に横置きするレ
 イアウトでは、より重いエンジンが車体中心線からオフセットした位置にあ
 ります(一般的には車室から見て右側)。
 
  さらに例えばドライバーだけの一人乗車では、その体重は運転席側の脚に
 多く加わるバランスになります。この状態に始まって、乗員や積載物の位置
 と重さが様々に変化するのがクルマ。「走る」特性の造り込みは、それを前
 提に進められるのですが。
 
  でも、というよりも、だからこそ、全ての基本になる骨格は“左右対称”
 にできるだけ近づけておいたほうがいい。
 
  また、骨格の中に弱い部分、剛性が不連続になる部分があると、必ず走り
 や振動に現れる。もちろん、できるだけ硬くしっかりした骨格が望ましいの
 ですが、大きな開口部を切るとそれは簡単ではない。だから力や振動を上手
 に、しなやかに受け止める箱を作っておく。全てはそこから、なのです。
 
  新しいタントは、何気なく走る分にはさしたる違和感はありません。とは
 いえ、コーナーの入り口で舵を切ってノーズがスッと横移動、そこでボディ
 が外に傾く。その瞬間のロールの出方、そこから頭が素直に入って旋回して
 ゆくか、何となく突っ張るか…。右旋回と左旋回では微妙な差が現れます。
 
  とくに自然吸気エンジン搭載仕様は、いかにも頭の上が大きく重い感じて
 傾く動き、タイヤを強く踏ん張らせたところからロールが戻る瞬間の上屋の
 揺れ、挙動のヨレなど、私としてはOKレベルのぎりぎり下限かな…という動
 き。アンチロールバーが付くターボ仕様は、押さえは効くけれども脚が突っ
 張り気味。先代のおっとりと柔らかい動きには、ちょっと及ばず、です。
 
  それでもここまでまとめるのは、きっと大変だったはず…と技術者の方々
 に話を聞けば、やっぱりそう。最初の試作車は路面のうねりや凹凸を踏むだ
 けでフラフラして、まっすぐ走らないくらい。骨格の補強など色々やり、さ
 らに量産直前に至ってダンパーのサイズ(直径)を大きいものに変更した、
 とのこと。コストアップに直結する仕様変更をぎりぎりで決めるなんて、今
 の日本のクルマ産業の中では異例のことです。
 
  居住空間に目を向けると…。まず前席の2人を高めのポジションで自然な
 形に座らせ、それに対して後席側の着座位置を一段高くした姿勢設定、そう
 やって座った人体の外側を余裕を持って包む「箱」としてのキャビン内側の
 デザイン、厚くはないけれどもフィット性は悪くないシートの造りなど、先
 代タントと暮らすユーザーならば実感している良い面は、新型も、そしてパ
 レットも、直截に踏襲しています。
 
  となると、まったく同じジャンルの商品であるだけに直接比較になります
 が、今回はスズキのクルマ造りにアドバンテージあり、というのが私の結論。
 これ、久々のことなのです。つまりここ何年か、ずっと居住空間の質、動質
 ともにダイハツが「軽では最良」だった…。
 
  それにしても、軽乗用車をどう造るか、我々は何を考えてそれをどう選び、
 どう使うか。じつはかなり難しい状況になっています。
 
 「軽は安い」。ほんとにそうでしょうか? 作る側が、コストをぎりぎりま
 で切り詰め、さらに「乾いた雑巾を絞る」ように削り落としているのは確か
 です。その分だけ、大切な基本機能を支える部品類の機能や精度は後回しに
 なっている。でも利益幅も薄い。そして皆さんが実際に購入する仕様、1台
 1台の頒価は必ずしも「安い」わけではないはずです。かくて明らかに安い
 のは自動車税と強制賠償保険料だけ、なのでは?
 
 「軽は燃費が良い」。ほんとにそうでしょうか? いまやこれは実態を伴わ
 ない定説と化しつつあります。上屋は大きく、衝突対策などもあって重くな
 る一方の軽乗用車。しかし排気量は660ccのまま。相対的にエンジンが小さ
 すぎるので、ちょっとした加速や登坂でも負荷が極端に大きくなる。その結
 果、燃料消費も増える。こういう状況に踏み込んでしまっています。とくに
 過給エンジンを積む仕様では、1.5〜1.6Lのエンジンで走るコンパクトカー
 と同等かそれ以上に燃料を食うことも珍しくはありません。実用燃費の“実
 力”としては、箱型軽乗用車(ワゴンRやムーヴ)よりも、1.2〜1.3Lエン
 ジンのコンパクトカーのほうが良い。いまはそう考えた方がよいのです。
 
  実態はそうなのだけれども、世の中の「節約ムード」で何とか販売の勢い
 は維持できている。でもこのままで大丈夫なのか? 「次の一手」は何か?
  それがなかなか見えてこない。真剣に「軽」の今日・明日を考え、こうし
 た現実と、そこに潜む危うさ(ビジネスにおける)を認識し、悩み、知恵を
 絞っている人々がダイハツにもスズキにも少なからずいる。私はそれを肌で
 感じています。でもその危機感は、必ずしも軽自動車の企画・開発と製造と
 販売に関わる人の共通認識にはなっていません。そしてマーケットもユーザ
 ーもメディアも「軽は安上がり」だと信じ続けている…。
 
  このあたりの話は“深い”ので、いずれまた。
 (両角岳彦)
 
 
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 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 原稿の冒頭にもありますが、スーパーアグリのF1撤退という大きなニュー
 スが駆け巡りました。そこでこのメルマガでも緊急特集として、「今日のF
 1世界・考」を次回からお届けしようと思ってます。乞うご期待!
 
 つづきは次号(配信予定 5月9日 金曜日)
 
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 すので、しばらくお待ちください。
 
 
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 編集・発行:もろずみ総合研究所 編集部
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