経営は渋沢栄一に聞け! 第66回
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現役コンサルタントの視点から、渋沢栄一の言動を振り返り、その原動力の根本を
分析し、稀有の企業家から何が学べるのかを探ります。
第2講 企業家 渋沢栄一 その1
今回から第2講「企業家 渋沢栄一」と題して、渋沢栄一の企業家としての活動
の実際から、現在の企業家が学べることは何かを考えます。
第1回の今回は、渋沢栄一の存在について考えます。
◎渋沢栄一という奇跡
渋沢栄一を研究すると、その存在が非常に希少なものであるということを改めて
実感します。
日本にとって、渋沢栄一という存在がいかに幸せなことであったのかということ
を思い知ります。
まずはそんな渋沢栄一について、その存在についてを再度考えてみましょう。
渋沢栄一がどういった活動をしたのかということを研究している方で、島田昌和
さんがいらっしゃいます。文京学院大学経営学部教授で、『渋沢栄一の企業者活動
の研究』という本を出されています。
渋沢栄一に関する書籍となると全68巻にもなる『渋沢栄一伝記資料』というもの
があり、それには多くの関係会社に対する栄一の行動が載せられている反面、実際
の出資や資金面のデータが少ないということがあり、多くの研究者が今まで渋沢栄
一の研究を進めて来れなかった理由であると島田氏は述べています。
第2講は、島田氏の書籍なども参考に進めたいと思います。
さて、渋沢栄一に関することは、驚くほど現在のビジネス書には出てきません。
世界中探しても、これほど多くの企業に関与し、一国の経済の発展に寄与した人
はいないのではないかと思えるのですが、それにしては現在渋沢栄一の研究を進め
た人は少ないといえます。
現在であれば、一企業の経営者が多く研究され、またその発言などが取り沙汰さ
れ、書籍化されています。
例えば、松下幸之助さんであったり、稲盛和夫さんであったり、ジャック・ウェ
ルチさんであったりと枚挙に暇がありません。
ところが、500社以上に、しかも多くは設立当初から関わっており、今現在その
企業は、日本の代表的な企業として君臨しているという、まさに「破格の人」であ
る渋沢栄一に関しては、書店のビジネス書のコーナーで見つけることが至難の業で
す。
渋沢栄一という人間を生み出してきた背景や、栄一の活動の思想的背景となって
いたであろう論語とのかかわりに関しては、序講、第1講で行いましたので、この
第2講では、実際の栄一の活動から、企業家として参考になる部分を考えていきま
しょう。
企業家としての渋沢栄一が最初に目をつけていたのが銀行です。
第一国立銀行として三井と小野からの折半出資で始まったわけですが、小野組の
破綻など紆余曲折を経て、栄一が頭取となりました。
日本最初の銀行であり、その後勧業銀行と合併、そして現在ではみずほコーポレ
ート銀行となっています。
銀行を皮切りに、栄一はフランス留学とその際に見たヨーロッパ各国での発展し
た経済、そしてその背景にあった株式会社の存在や、様々なインフラを、日本でも
実践しようと志、鉄道、ガス、海運、陸運などの企業を次々と日本初の企業として
設立していきます。
また、煉瓦、電燈、ホテル、保険などの事業も次々と設立し、日本の近代化に大
いに貢献をしました。
日本にとって幸いしたのは、実家が豪農であり、藍玉の生産という経済活動に従
事していたことのある栄一が、奇縁で幕臣となりヨーロッパに行くことができたと
いうことです。
士農工商が明確になっており、商売に対して偏見のあった日本の中で、士の身分
にありながら、商に対して関心があった人物はそう多くはありません。
そして、その人物がヨーロッパにおいて、政治ではなく、経済に興味を持ったと
いうことが、大変重要です。
実際アメリカやヨーロッパを視察した当時の人たちは、その発展振りに目を見張
りましたが、その注目した点は専ら、政治と軍事のはずです。
なぜならば、国の発展は大きく政治のあり方と軍事力によるからです。
福沢諭吉なども、アメリカ留学では初代大統領の子孫が一般人ということにカル
チャーショックを受けたことなどは有名ですが、福沢諭吉はその政治制度を生み出
した思想的背景に着目をしておりましたが、経済的な発展の背景を見るという視点
すら持っていなかったのではないでしょうか。
なぜなら彼は生まれながらにサムライだったからです。
生まれながらにサムライでは、商業に関心を示せというほうが難しいのが当時の
時代背景です。
明治以降商業界で名を馳せたサムライといえば、土佐の郷士(サムライでも最下
級で他に商売をしないと食べていけなかった層)出身の三菱の創始者岩崎弥太郎く
らいではないでしょうか。
それでも郷士出身だからこそ、です。
実は明治という時代を迎えるにあたって、こういったサムライでありながら、商
に対して偏見のない人物が重要な役割を荷っています。
それが渋沢栄一であり、坂本竜馬であり、岩崎弥太郎であったりするわけです。
そんな栄一だからこそ、士魂商才という言葉を残し、数々の実業をなしていくこ
とになりました。
次回以降、栄一の実際の活動を振り返っていきます。
今日はここまで。
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渋沢栄一のこれが聞きたい!という方
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