2008・2・14
まずは言い訳やら謝罪やらウィットに富んだ挨拶やら。
そんなものを並べられるといいのだろうけれど。
それをすると恐らく、これまでと何ら変わらず、結局は配信していく体力を
削がれると思う訳で。サラッと何事もなかったかのように始めます。
--------------------------------------
○連載「夕焼けな日々」
○コラム「肉派?魚派?」
○新企画「気になるニュース(仮)」
・編集後記・
--------------------------------------
――――――――「夕焼けな日々」
第七話「笑えれば」
夕食に、赤飯が出た。ホントにこんなことするんだな。
歳の離れた妹を見ながら、僕は時の流れを痛感した。
こいつ、この前まで僕と一緒に風呂へ入ってたのに。
そうか。人間、時の流れには逆らえないんだな。それは、受け入れなくちゃいけないんだな。
流れに身を任せることが、成長というものなのか。僕は僕の哲学に酔いそうだった。
「バーカ」頭の片隅で、ヤッチが笑う。
「ごちそうさま」何だかぎこちない空気と、自分の中で渦巻くモヤモヤで、
僕はかぼちゃの煮物を残した。「どうしたの?」母親の質問を適当に受け流し、部屋に戻った。
「調子が悪い」それはきっと、体のことではない。
明かりをつけずに、僕はベッドに倒れこんだ。
止まることを知らない時間のように、僕の頭には、あの頃の思い出が押し寄せていた。
勘弁しろよ。それは今、思い出したくないんだ。そこへ逃げるのはつらいんだ、マジ頼む。
しかし、思い出は僕を覆いつくした。逆らっちゃいけない。身を任せなさい。
そうすることで、人は成長できるのだよ。
どこかで響くその声は、聞いたことのない声だった。
―――
どうしても生徒会の出し物の準備が間に合いそうに無かったその日、
僕はヤッチに手伝ってもらうことにした。
「抹茶パフェだな」それはちょっと、高くないか。お礼として奢るには割に合わない。
「まぁお前と森山さんの様子を間近で見学できるんだ。
そうだな、チョコレートパフェでいいよ」
値段、変わってないぞ。
「20円安いだろ?」
お前のその二本指は、値段のことなのか?それとも、Vサインなのか?
「チョコレートのチーだよ」分かった。お前には敵わない。
ヤッチは意外と手先が器用だった。「どうしてこういう細かい作業ばっかり残してるんだよ」
会場の飾り付けに使う折り紙を切りながら、ヤッチはテキパキと仕事をこなしていく。
「お前、早いな」僕の倍のペースで作業をするヤッチを見ながら、僕も同じ作業を繰り返す。
「誤解を招くような発言は慎みたまえ」は?「早漏は女の敵だ」
バカか。いやただの変態だ。
「二人とも楽しそうだね」茶化すように笑いながら、吉崎さんが声を掛けてきた。
「そっちは、終わったの?」
とにかく人手が欲しかった僕らは、相談してお互いに友達を連れてきていた。
吉崎さんは、森山さんと同じ部活の子だった。
そして確か、同じクラスに居たはずだけど…あまり記憶にない。そういや彼女、何部だっけ?「あと少し。それにしても八千草くんって、手先が器用なんだね。
その量をこなすのに、山田くん、半日掛りだったのに」
森山さんの言葉に、ヤッチは得意な顔をして答えた。
「まぁ俺は何でもこなせちゃう人間なんだよね」
冗談だと分かっていも、現状を見ると腹が立つ。
「こっちが終わったら手伝うから頑張ってね」
悔しいかな、ヤッチのおかげで作業は予想以上に早く終わった。
こいつにそんな才能があったなんて。
「あー終わったー!意外と早かったね」
吉崎さんは椅子に座って大きな伸びをしながら、続けた。
「どう?折角早く終わったんだし、この後どっか行こうよ」
ヤッチは待ってましたとばかりに食いついた。
「コン、こうして準備が終わったのは、吉崎さん、そして森山さんのおかげだ。
いやいや、俺のお陰だなんて言わないでくれ。親友が困っていたら助けるのが当然だろ。
いや、どうしてもお前が俺らにパフェを奢りたいと言うのなら、
この後付き合ってもいいんだけど。な?」
彼女達に同意を求めるというより、最後の疑問符は僕に向けられていた。
何で全員分奢るんだよ。それは聞いてないぞ。
僕の顔を見て、奴は二本指を僕に向けた。「チョコレートパフェだろ?」
ヤッチは真面目腐った顔で「二人分、追加」と言った。
「分かったよ。お前には敵わない」
そうか、悪いなぁ。ヤッチは笑いながら僕の肩を叩いた。痛ぇよ。
一時間くらいだっただろうか。僕らは3杯目のドリンクを飲みながら、下らない話をした。
そう、あの時は、実に下らない話だと思っていた。
「えー。八千草って彼女いないのー!」吉崎さんは大げさな反応を示しながら、
森山さんに微笑んだ。そして、今にして気付く。
あの微笑みは、ヤッチが何か企んでいるときに見せるものと同じ種類だった。
なるほど、そうだったんだ。僕一人が、浮かれていたんだ。
森山さんは、既にヤッチのことを好きだったんだ。…やっと気付いたよ。
そうか、これが成長するってことなのか!
んな訳ないか。
「へー。意外だね」我関せず。そんな気持ちを、言葉に乗せようとしていたんだろう。
だけど当然ながら、その時はそんなことに気付いていない。
「モテるんだけどな、こいつ」
僕はグラスのコーラを半分ほど飲み干してから、言った。
「だよね!私が知ってるだけども10人はいるよ、八千草のことが好きな人」
吉崎さんは相変わらず微笑んでいた。
そして、あれは何かを企んでいる人間の笑顔だと、ベッドで横になる僕は確信した。
「おぉ、マジで!!ぜひともその10人を教えて頂きたい」ヤッチはワザとらしく懇願をした。
「意外と近くにいるかもね」
ははは。
ベッドに横たわりながら、僕は過去の自分を嘲る気分だった。
お前は、気付くべきだったんだ。森山さんの気持ちに。いや、少なくとも吉崎さんの企みに。
「まさか…」ヤッチは深刻な表情を浮かべながら、続けた。「吉崎、お前…俺の事を…」
3秒ほどの沈黙を潜って、二人は同時に笑い出した。
それから、冗談が冗談として通じるっていうのは、本当はすごく素敵なことなんだな。
と僕はどうでもいいことを、思った。それはあの時の僕じゃなくて、今の僕だ。
「それにしても…」ヤッチはメロンソーダを飲み干して、続けた。
「コンに彼女が出来ないのは、不思議でしかたない」それは僕自身が一番疑問に感じていた。
「そうだよね、山田くん、すっごく優しいのに、どうして彼女できないのかな?」
森山さんの言葉は、常に心の底から湧き出る純真さを伴っている。たぶん。
「ね?」そういって森山さんは、優しく微笑んだ。思い出の中の彼女は3割り増しで可愛い。
ちくしょーめ。
「そうかな?山田って、どこかクールぶってるっていうか。人を寄せ付けないっていうか。
何か近寄り難いじゃん。それが、原因だよ」吉崎さん、君は僕の何を知っているというのだ。
「そうかなぁ。私は山田くんみたいな優しい人、他には居ないとおもうけどなぁ」
そう言って微笑む彼女は、さらに3割り増しで素敵だった。つまり、三割の三割り増しだから…
まぁ、とにかく凄く素敵だった。
「そう?本心では何を考えてるのか分からない奴なんて、何か怖いけどなー」
「確かになぁ」吉崎さんの言葉にヤッチは納得した。おい、お前は納得するなよ。
「コイツ、勉強はてんでダメなくせに、世の中のことは全部見透かしてるんだよな。
いや、そう見えるんだよ」吉崎さんが頷く。
「例えばさ、片思いしていた子に彼氏がいるってことを知ったとしても、
内心ではすっげー凹んでるくせに、コイツの場合は冷静な外面でいたりするんだよな」
おいおい。喩え話になってないぞ。
「あー何か分かる気がする」
いや、だからさ。吉崎さん、あなたは一体僕の何を知ってるんだよ。
「世の中、なんて広い範囲じゃなくてもさ、
私たちの知らないことって沢山ある筈なんだよね。
っていうか知らないことしか周りには無い筈なの。
それなのにさ、山田はそういう事実から逃げて、全てを知ってるフリをしてるんだよ、きっと」
トラの威を借りた狐。それは違うか。まぁとにかく、ヤッチは強気だった。
「そうだ!まさに吉崎さんの言うとおりだよ!!」
寝返りを打ちながら、思った。そうだな、事実なのかもしれないな。
僕は傷つくのが怖くて、知らないことだらけの世の中を知らないつもりでいるのかもしれない。
何もかもから逃げて、自分を守っているだけなのかもしれない。
次に浮かんできたのは、つい数時間前のコンビニだった。僕は、逃げたんだ。
今もこうして、現実から逃げている。
赤飯の味が、ふと蘇ってきた。ちょっと、塩を掛けすぎたな。
僕は、ベッドに転がった携帯を手にとって、着信履歴を開いた。
そして、一番上の番号に、電話をかけた。
ウルフルズの「笑えれば」が呼び出し音で流れた。
ヤッチ、お前って奴は…
――――つづく。
-----------------------------------
○コラム「独り言という名の放言」(旧・イケダくんの独り言)
『肉派?魚派?』
この質問を受ける状況は、なかなか稀有かもしれないけれど、割と「質問の形」としては
ポピュラーだと思う。つまり、相手に二者択一ないし、選択肢を提示した上で返答を求める
ような質問。
ちなみに僕は魚派。しかしかといって肉が嫌いな訳でもない。むしろ肉は好き。
そしてこの話は今はどうでもよかったりする。
言いたいことは、こういう類の質問をされると、いつも億劫な気分になる。ということ。
返答の内容を限定することで見えること、というのも大いにあるのだろうけれど、
僕は、質問というものはもう少しアバウトな方がいいように思う。
というか、質問を限定していくことで、僕たちの思考も限定されていくことが嫌だ。
「肉か魚か」と問われれば、肉か魚か、どっちが好きかということを考える。
そりゃそうだ。でも、肝心なことは、世の中もっと色々なものがあるだろうとか、
そういうことでなく。むしろ、主菜として肉か魚かという選択肢に限定して考えて
しまっている状況に気付いていないことではないか。
例えば二大政党の国があったとして。アナタはA党かB党か。と問われたとする。
もちろん、このように聞くことで、その人の政治的理念や何かがわかるだろうし、
質問として端的であり、その意味では良い聞き方だとも言える。
入り口としてはいい質問だ。
ただ、問題だと思うのは、何でもかんでも話を大局的にすることで
分かりやすくなっているような気がしていることに、あまり疑問を持たない
ということ。
そして気が付けば、多様な価値観とかいう言葉さえも、一つの何かのカテゴリーとなっている
のではないか、と。
肉か魚か、と問われて
どっちも好きだけど、どちらかと言えば魚。だけど、魚は本当においしいものじゃないと
不味いから、当たり外れの少なさで言えば、肉の方がいいな。
なんて答え方をすれば、それこそ空気の読めないひとになる。
どんなに頑張ったって、80年や90年ほどの時間しか僕らにはないから
出来るだけ効率的に何事もこなす方が賢いのだろうけれど、
何か、もっとめんどくさい生き方をした方が、いいように思う。
まぁ。こうして思考を重ねていくと、結局何もできないのだけれど。
------------------------------------
○「気になるニュース(仮)」
個人的に気になったニュースを取り上げて、何らかの論評をすれば
結構続けていけるんじゃないか。そんでもって、ブログではこの類の試みはしたことないし。
そんな風に思って、作ってみました。
いずれ、僕以外の人にもやってもらいたいなぁ。と思ったり思わなかったり。
ポツポツと、ね。
―――――『鹿児島事件「冤罪でない」鳩山法相』朝日新聞2008/02/14
テレビなどでも(ただ記憶の中では一部の番組でしか見たこと無い)取り扱ってましたが、
公職選挙法違反の疑いで起訴されていた、いわゆる「志布志事件」の被告全員無罪判決に
対して、鳩山法相が「あれは冤罪ではない」と発言したそうです。
事件の詳細については割愛させて頂きますが、要するに彼の発言の意図は、無実の罪の人が
有罪となることを「冤罪」というのであって、起訴の段階で無実が認められたのだから、それは
「冤罪」とは呼びませんよ。ということらしい。
まぁそれはそれでいいかな、と思う。いろいろ意見はあるだろうけど。
ただ僕が気になったのは、朝日新聞がこの記事で何を言いたかったのか、という点が、
読者としては見えづらい、ということ。
この記事は社会面の左隅に囲み記事で掲載されているのだけれど、この発言のどこが問題で、
なぜ掲載したのか、という背景に対する記述が、些か少なくはないかな、と。記事として
掲載する以上は、何らかの意味があるはずなんだけど、これを読む限りでは、読み手としての
善悪なりの判断もできなように思う。もちろん、「こういうことがありました」という意味で
の記事が新聞にはあるし、それも大切なんだけど、どうもこの記事からは「問題発言でしょ」
と断定していないにも拘わらず、そう思わせようとしているような匂いがする。
つまり、何か胡散臭い。発言を巡って後に記者会見でその意図を釈明した。という流れで
この記事は書かれているのだけれど、記事としては、この発言を受けた各方面の
意見を記さなくちゃいけないんじゃないかな。まぁ、これで無罪判決を受けた人たちのところに
コメントを取りに行ったら行ったで、ややこしくなるのだろうけれど。
判決そのものとか、そういう何らかの形で結論の見えるものは、ただ事実を記述することに
徹するべきだと思うけれど、こういう誰かの発言とかいったものは、もうちょっと主張
なり、立場の異なるところの見解なんかを示さなくちゃいけないんじゃないか、と。
かと言ってただ批判するだけは良くない。という話もあるのだろうけれど、僕はそれでも
いいと思う。ただ批判して、批判的な見解ばかりを拾ったとしても、それはそういう意図を
汲み取れるから、自分なりに判断ができる。
ところが今回のように、発言だけならともかく「会見で釈明した」という件を出すのならば
そこには何らかの批判があったのだろうし、それを僕は知りたい。
いや、もしかすると前日の記事なんかには出てたのかもしれない。でも、それならば
そのことを匂わすべきだろう。どこが新聞社としての見解で、どこが事実で、どこが
誰の意見なのか。それをはっきりさせなさい、というのは、大学で散々言われることだけに、
ちょっと気になったのです。
----------------------------------------
【編集後記】
気負うと続かない。そのことに気付いて、新しいブログは低負担で
更新できるようなものにしてみたのだけれど。
相変わらず、このメルマガを書くときは体力を使う。
たぶん、僕がここでやりたいことは、あらゆるジャンルを取り込んだ
チャンプルーな雑誌であって、
それってもしかすると一人でやるには厳しいんじゃないかな。ということには
前々から気付いてた。でもやってみたいからやってみる、時々。
まぁそんな訳だから、僕は雑誌編集者になりたかったのだけれど、
まぁ呆気なくその扉の前で「サヨウナラ」を言われてしまい、
結局はあんまり関係ないところで新生活を始めることになったのです。
今だからこそ言える、ずるいこと。勝手なユメ。
「いつかはやりたいなー、チャンプルーな雑誌。ごった煮の雑誌。」
んー、だけど今は厳しいからね、あの業界。

![転職なら[en]社会人の転職情報!転職成功者続出 転職なら[en]社会人の転職情報!転職成功者続出](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/sya.gif)
![派遣のお仕事探しなら[en]派遣のお仕事情報 派遣のお仕事探しなら[en]派遣のお仕事情報](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/haken.gif)
![アルバイト探しは[en]本気のアルバイト アルバイト探しは[en]本気のアルバイト](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/baito.gif)
![就職サイトは[en]学生の就職情報 就職サイトは[en]学生の就職情報](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/gakusei.gif)
![転職なら[en]転職コンサルタントキャリアを活かした転職に! 転職なら[en]転職コンサルタントキャリアを活かした転職に!](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/consul.gif)