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2008/12/21

【ココロとカラダの交差点】vol.46 自然治癒力スイッチ(後編)

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        コ コ ロ と カ ラ ダ の 交 差 点



    ________ vol.46 ____________ 自然治癒力スイッチ(後編)_______________ 

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 みなさん、おはようございます。おのころ心平です。

 今日は「冬至(とうじ)」。一年で、昼の時間が最も短くなる日です。
 今夜21時04分、太陽黄経がちょうど270℃になります。

 古代においては「冬至」を1年の始まりとしていたそうで、
 気象学的にも今日は、お正月以上に1年のはじまりにふさわしい日なんです。

 今日こそ、近くの神社に初詣に行くと神様はとっても喜んでくれるはずですね。

 
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 自然治癒力スイッチ(前編)(中編)からずいぶん日がたってしまいました。
「結末、どーなったのー」というお声を頂きつつ、なんだか書けずにいてすみません。

 さあ、最終回、後編です。

(前編)
 http://archive.mag2.com/0000221311/20081008190000001.html

(中編)
 http://archive.mag2.com/0000221311/20081024220000000.html

 と合わせてお読みいただけたら幸いです。


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 彼が入院してからというもの、実際、お父さんとお母さんが2人だけになる時間と
 いうのは、まったくといっていいほどありませんでした。

 でも2人とも、それを理由にして、お互いの間にある溝について見ないように
 していたのかも知れません。

 ある日、お父さんは会社を休んで、とある場所へと向かいました。
 そして、そのあと病院の近くまで来て、外から妻に電話をかけました。


「ちょっと、いい? 今、出てこれるかな?」

「え、どうしたのこんな時間に。いまヒロは眠っているのよ」

「そうか、ちょっと2人だけで話がしたいんだ。出てきてくれないか」

「 …。
 待って、看護婦さんに頼んでみる」


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夫: 悪いな、ヒロは大丈夫かな。

妻: ええ、眠ったばっかりだから、しばらく起きないと思うわ。

夫: うん、あの…。あれ以来、ちゃんと話をしていないなと思って。

妻: …。

夫: ヒロが入院することになってたいへんだったな。疲れているよな。

妻: ヒロのためだもの。

夫: うん、ひょっとすると、俺達のためにヒロが病気になってくれたんじゃないか、
   と考えてさ。

妻: え? どういうこと?

夫: ある人に言われたんだ。あなたは奥さんの気持ちに立って物事を考えたことは
     ありますか? 息子さんの視点に立ってその気持ちを味わってあげたことはあり
     ますか?って。

妻: …。

夫: たしかに俺を許せないと思う。あのままじゃあ、きっと別れていただろう。
   そう思うと、ヒロが俺にチャンスを与えてくれたんじゃないかって思えるんだ。

妻: チャンスって、勝手なこと言わないで。ヒロは苦しんでいるのよ。

夫: そうだな…、でも、一生懸命考えたんだ。俺は、俺ばかりのことを考えていた。
   …悪かった。もう、言い訳はしないよ。お前の気持ちになって傷つけてしまった
   心を理解するのは時間がかかるだろうけど、ただ、お前やヒロたちを失うのは
   やっぱり恐い。その恐さを、ヒロがカラダで、実際に教えてくれている。

妻: …。

夫: ヒロの気持ちにもなってみた。今あいつが望んでいることは何だろう?
   あいつが心から勇気を持てることは何だろうって。
   それで、今日、あるところへ行って、これを頼んできたんだ。
        
妻: え?

夫: ヒロが起きたら渡してやってくれないか。
   今から会社に行って、また夜、病室に行くよ。


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 少年が目をさますと、枕元に一枚の色紙が置かれていました。

「あれ、これなに?」

「よく見て、ヒロが喜ぶものよ」

「わ! K選手のサインだ」

「そうよ、K選手がわざわざヒロのために色紙を書いてくれたのよ」

 そう、それは少年のあこがれのサッカー選手、日本代表のK選手からの
 サイン入りの色紙でした。

「なんで? どうしたの? これ!」

「お父さんがK選手を訪ねて行って、お願いしてきてくれたの。
  裏にね、ヒロあてにお手紙が書いてあるのよ、読んでごらん」

 そこには、少年の命を救うことになるK選手からのエールが書かれていたのでした。 

『 がんばれ、ヒロくん!
  13年前、私も君と同じ病気になりました。この病気は必ず治る病気だから、
  早くよくなって、再びグランドに立ってください 』

 !!!

 自分と同じ病気に、あのあこがれの選手もなっていたなんて。
 そして、この病気は治る病気なんだ…。

 少年にとって、自然治癒力スイッチが入った瞬間でした。

 
「K選手、すごいわね。ヒロと同じ病気を克服してあんな大選手になったのね」

 少年は、ただただその色紙に見入っていました。
 入院以来、もう忘れかけていたグランドの土のにおいを、その色紙から
 しっかり吸い込んだのでした。


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 その夜、お父さんが病室を訪れました。

「よかったな、ヒロ!」

「K選手が手紙をくれたんだ。この病気、治るんだって」

「そうか、きっとよくなるぞ!」

「うん。お父さん、ありがとう」

「ああ…。ヒロ、お父さんこそ、お前にありがとうを言わなくちゃ。
 お父さんも、ヒロといっしょにがんばるからな」

 お父さんはその不器用な手で、しっかり少年を抱きしめたのでした。


 それから一ヶ月。少年は無事、退院の日を迎えました。

 あの日からというもの、ほんとうに見る見る体調がよくなり、
 その回復ぶりにはお医者さんも目をみはったほどです。

「退院おめでとう。むずかしい病気だったんだ。君はほんとうにすごいね。
  無理は禁物だけど、完全に治して、またサッカーをやるといい。
  先生も応援しているよ」 

 お医者さんがそういうほど、それは本当に奇跡的な回復だったのでした。
 そして、こう付け加えました。

「K選手には、先生からもお礼を言いたいね」 


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 やがて、少年はまたサッカーを始めることができるようになり、
 6年生になった時にはふたたびレギュラーとして、府下の大会に出場しました。
 
 そして、その大会でなんと優勝を遂げたのです。

 1年前の病室の彼からは想像もできないほどの元気な活躍ぶりに、試合を観戦に
 行ったお父さんもお母さんも、涙で目を曇らせながら大きな声援を送りました。

 応援する2人のその手は、そして、しっかり結ばれていたのでした。


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 このお話を最後まで書くのに、少し時間がかかってしまいました。

 じつは、この少年、子どもの頃の私自身なのです。

 少し脚色していますが、実際、私はK選手に命を救ってもらったのです。
 当時、Jリーグはまだなかったのですが、K選手は日本を代表するスーパースター
 でした。K選手からもらった色紙は今でも大切に私のオフィスに飾ってあります。

 私は今の仕事をするようになって、自分の原点が、この子どもの時の体験に
 あったことを思い出しました。

 ココロとカラダが決定的にスクランブルすると、自然治癒力のスイッチが入ると
 いうことを、私は実体験として「知っていた」のです。
 
 人は、自分だけで病気になることも、また自分だけで回復することも出来ません。
 別の言い方をすると、自分のためだけに病気になることも、自分のためだけに
 治ることもないのです。

 あなた自身の自然治癒力スイッチ。

 これからも、私は、私の仕事を通して、K選手が私にしてくれたように
 多くの人にそれをお届けしたい、と思っています。


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   ☆『 自然治癒力で生き返る 』 帯津 良一 著
                
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