パラオ物語 Vol.077 「工事管理体制強化すれど、、−その4−」
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パラオ物語 vol.077
「 工事管理体制強化すれど、、−その4− 」
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☆この物語の舞台はスキューバダイバー憧れの南の楽園、パラオ諸島。
☆グアム島への観光客もまだまだ珍しかった昭和40年代後半、
☆更に800kmも南のパラオでリゾートホテル建設の命を受けた
☆新人企業戦士の新鮮な驚きに満ちた日々を綴る奮闘記です。
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[[[前回のあらすじ]]]
西南建設が環境保全区域のジャングルを骨材の下敷きにしたという報を受け、
山田は事態把握の為パラオに入った。
被害は東京で心配した程ではなく、潰されたジャングルの大半がタガンタガン
という潅木で繁殖力が強く、半年もせずに元に戻るようだ。
青山造園の温井社長の過剰反応というのが現地の評価だった。
「パラオ物語」のブログ
http://blog.livedoor.jp/palaustory/
主な登場人物
三 島:東京の西南部に線路網を持つ西南急行電鉄グループの社長。
山田の勤務する西南不動産の社長も兼務し、現在は会長。
財界の若手リーダーの一人で太平洋各地での開発に情熱を注ぎ
ニックネームは「ミスター・パシフィック」。
山 田:物語の主人公、西南不動産の若手の海外事業要員。
パラオでのホテル開発を担当している。
関 :山田の1年後にグアムに赴任してきて、
パラオの仕事を山田から引き継いぎ、
本社に復帰してからホテルの企画設計を作り上げた。
嶋 田:本社で関の部下としてパラオを担当し、
山田の復帰後には山田の部下となった。
杉 尾:三島の信任が厚く三島の後任として西南不動産の社長となる。
ライオンのあだ名で部下に恐れられている。
宮 島:取締役開発本部長で海外事業も所管している。
杉尾の忠実な参謀役。
村 山:開発本部管理課長。海外事業も担当するが英語は苦手。
矢 部:西南建設の海外事業部次長。
赤 川:西南設計コンサルタント(略称:設計コン)の建築士。
パラオに駐在し、ホテル建設工事の監理を担当するも
1年で帰任する。
吉 山:設計コンから派遣された工事監理チームのチーフの建築士
岡 田:吉山のアシスタントの建築士
吉 岡:工事監理チームの設備技士
権 藤:西南建設の2代目のパラオ工事事務所所長
安 西:英語の話せない権藤のための通訳。
富 田:西南建設パラオ工事事務所の事務係長。
温 井:西南不動産の子会社、青山造園の社長。
青山造園はホテルの造園用の花の栽培をオイスカに外注している。
オイスカ:
九州に本部を置く団体で、発展途上国の農業支援事業を展開中。
パラオのバベルダオブ島の奥で農園を開き、
パラオ青年に農業を指導している。
クロ・エジソン:
パラオ財界のドン。
最初西南グループのホテル開発計画の反対派だったが、
山田達が交渉してパートナーとなった。
ホテル用地を買収する会社、パラオ・ディベロップメント社(PD社)
の社長。
イナゴ・カツミ:
クロ氏の幼友達。本業はウィスキー製造とポルノ映画館主。
フェミニストでしかも右翼的。来日の際には必ず靖国神社に参拝。
クロ氏の紹介でパートナーとなりPD社の副社長となる。
イチロー・ウォン:
パラオ政府の公共事業大臣。
昔サイパンの太平洋信託統治領政府に勤務していた時代に
調査に訪れた山田に会ったことがある
キシダ・ノボル:
コロールのヒロシマ・レストランのオーナーでダイブショップも経営。
ヒロミ:ノボルの妻でヒロシマ・レストランを切り盛りする日本女性。
PRD社:パラオ・リゾート・ディヴェロップメント社の略称で、
パラオでホテルを建設・所有する会社
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[[[ 工事管理体制強化すれど、、−その4− ]]]
骨材に押しつぶされた環境保護区域のタガンタガンの林の被害が心配したほど
ではなく、又、その復旧も割りと短時間で可能という情報を持って、
山田は安心して東京への帰路に着いた。
本社に戻り、そのことを課長の村山に報告すると、意外な答が返ってきた。
「山田君、この件は被害が大きかったか否かが問題じゃないんだ。
こういう事態を避けようとして工事監理体制の強化をしたのに、
起きてしまった事が問題なんじゃないか、ということだ。
我々施主側にも甘さがあったと反省しろ、と杉尾社長が仰った。
だから被害が小さかったから良かったなんて報告したら逆効果になるよ。」
「課長、事実は事実として報告すべきだと思います。
そのために私が出張してきたわけですから。
その上で私達の反省をすればいいんじゃないですか。」
山田は村山の意見に納得できなかった。
「君の言うことはわかるが、もうその方向で決まっているんだ。」
「じゃあ、私は一体何をすればいいんですか。
辞表でも出すんですか。」
「いやいや、そこまでのことじゃないんだ。
始末書を書いて宮島本部長に出すのが筋だろう。」
「始末書ですかー! それ以外にすることは無いんですか。」
「今はそれが最良の方法なんだ。それで八方丸く納まるよ。
君だけに出させないよ。僕も一緒に出すからさ。」
「課長は宜しいんじゃないですか。
このプロジェクトの直接の担当は私なんですから。
パラオの嶋田君も出さなくていいですよね。」
「嶋田君に出させないためにも、僕が出すんだよ。
君だけ出させたんでは、組織としての強い反省にはならないよ。
それに僕は、今まで何枚も始末書を書いてコツを知っているから、
僕のを真似て書けばいいよ。」
「そうですか。それではご指示に従います。
始末書って、どう書くんですか。」
「便箋でいいんだが、ペンじゃなくて毛筆で書くんだ。」
「えー! 毛筆なんて入社以来書いたことありません。
ペンじゃダメなんですか。」
「始末書は毛筆で書くのが伝統だよ。
字の上手下手は問題にされないから安心しなさいよ。
じゃあ、後で見本をあげるからね。」
山田が村山の手本を参考に書いた始末書は以下の通りになった。
「宮島本部長殿
この度、パラオにおきまして、私、山田の監督不行き届きの為、
現場の大切な自然林を破壊してしまい誠に申し訳ございませんでした。
深く深く反省しております。
今後は二度とこのようなことを起こさないように
細心の注意を払いプロジェクトを管理いたします。
尚、この度のことで如何様な処分も受けようとも異存はございません。
開発本部海外事業課係長 山田 誠和」
この始末書を上着の内ポケットに入れて、山田は村山と二人で宮島本部長の
席の前に立った。まず、課長の村山が口を開いた。
「本部長、パラオから山田君が戻りました。
報告によりますと、被害が幸い小さかったことと、
ジャングルの復活が可能ということが判明しました。
しかし、このようなことを起こしてしまったことは、
私共、海外事業課の責任であります。
大いに反省し、ここに始末書を出させていただきます。」
「本部長、申し訳ございませんでした。
今後気持ちを引き締めて工事管理をしてまいります。
これは私の始末書でございます。」
「ウム、青山造園の温井君からもその後の報告を聞いているが、
村山課長の言うとおり、君らの方にも油断があったと判断せざるを得ない。
始末書は預かっておく。今後はしっかりやってくれよ。」
村山と山田は深々と頭を下げてから、宮島の席を離れた。
自席に戻り、山田は村山に聞いた。
「課長、あの始末書はどうなるんですか。
何か処分を受けるんでしょうか。」
「いやあ、あれでお仕舞いだよ、多分。
但しボーナスには少し響くかもしれんが、
それも一回限りだ。」
「本部長はあの始末書をどうなさるんでしょうか。
ずっと保存なさるんですか。」
「はっきりは判らないが、年末の大掃除のときに捨てるんじゃないかな。
そうしないと、本部長の机の引き出しが一杯になって溢れちゃうよ。」
初めて始末書を出した山田を安心させるために、村山はわざと明るい顔で
説明をしているような気がした。
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[[[編集後記]]]
先週、京都に再び行ってきました。
2日の短い旅でしたが、美しい紫陽花の咲く三室戸寺、蓮とアヤメの勧修寺、
それに隠元禅師の萬福寺を初日に拝観し、翌日は非公開庭園の有芳園と
泉屋博古館見学。有芳園は住友本家の宗主(江戸末期〜大正)、住友春翠が
植冶こと、小川治兵衛に造らせた名園として有名です。
日本庭園の素晴しさに痺れた2日間でした。
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