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この物語の舞台はスキューバダイバー憧れの南の楽園、パラオ諸島。グアム島への観光客もまだまだ珍しかった昭和40年代後半、更に800kmも南のパラオでリゾートホテル建設の命を受けた新人企業戦士の新鮮な驚きに満ちた日々を綴る奮闘記です。

  • 周期 週刊
  • 最新号 2008/08/20
  • 発行部数 597
  • マガジンID 0000220626
  • 個別ページ
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2008/04/16

パラオ物語 Vol.067 「起工式−その2−」

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 パラオ物語  vol.067


    「 起工式−その2− 」

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 ☆この物語の舞台はスキューバダイバー憧れの南の楽園、パラオ諸島。
 ☆グアム島への観光客もまだまだ珍しかった昭和40年代後半、
 ☆更に800kmも南のパラオでリゾートホテル建設の命を受けた
 ☆新人企業戦士の新鮮な驚きに満ちた日々を綴る奮闘記です。
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[[[これまでのあらすじ]]]

ホテル建設の起工式を現地で挙行した翌日、
式に参加した杉尾以下の西南グループの役員全員は、
ロック・アイランド・ツアーを楽しんだ。
シュノーケルやトローリングを楽しんだ後、
ヒロシマ・レストランのオーナー、キシダ・ノボルが所有する
ヒロシマ・アイランドに上陸して夕食を食べ始めた。


「パラオ物語」のブログ
http://blog.livedoor.jp/palaustory/


主な登場人物

三 島:東京の西南部に線路網を持つ西南急行電鉄グループの社長。
    山田の勤務する西南不動産の社長も兼務している。後に会長就任。
    財界の若手リーダーの一人で太平洋各地での開発に情熱を注ぎ
    ニックネームが「ミスター・パシフィック」。
    
山 田:物語の主人公、西南不動産の若手の海外事業要員。
    パラオでのホテル開発を担当している。

 関 :山田の1年後にグアムに赴任してきて、
    パラオの仕事を山田から引き継いぎ、
     本社に復帰してからホテルの企画設計を作り上げた。
    
嶋 田:本社で関の部下としてパラオを担当し、
    山田の復帰後には山田の部下となった。

杉 尾:西南不動産の専務取締役。後に社長就任。
    ライオンのあだ名で部下に恐れられている。

宮 島:取締役開発本部長で海外事業も所管している。
    後に専務となる。

村 山:開発本部管理課長。海外事業も担当するが英語は苦手。

矢 部:西南建設の海外事業部次長。

赤 川:西南設計コンサルタントの設計士。
    パラオに駐在し、ホテル建設工事の監理を担当する。

宮 城:西南観光のグアム支店長

クロ・エジソン:
    パラオ財界のドン。
    最初西南グループのホテル開発計画の反対派だったが、
    山田達が交渉してパートナーとなった。
    ホテル用地を買収する会社、パラオ・ディベロップメント社(PD社)
    の社長。

イナゴ・カツミ:
    クロ氏の幼友達。本業はウィスキー製造とポルノ映画館主。
    フェミニストでしかも右翼的。来日の際には必ず靖国神社に参拝。
    クロ氏の紹介でパートナーとなりPD社の副社長となる。

イチロー・ウォン:
    パラオ政府の公共事業大臣。
    昔サイパンの太平洋信託統治領政府に勤務していた時代に
    調査に訪れた山田に会ったことがある

キシダ・ノボル:
    コロールのヒロシマ・レストランのオーナーでダイブショップも経営。

ヒロミ:ノボルの妻でヒロシマ・レストランを切り盛りする日本女性。

PRD:パラオ・リゾート・ディヴェロップメント社の略称で、
    パラオでホテルを建設・所有する会社

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「パラオ物語」のブログ
http://blog.livedoor.jp/palaustory/
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[[[ 起工式 −その2− ]]]


山田と宮城がバラクーダの味噌漬けを作っている間に、
西南グループの役員達は思い思いにパラオの料理に舌鼓を打っていた。
マングローブ蟹は全員のお好みにあったらしく、
山田と宮城が味噌漬け作りを終えてメイン・テーブルに戻ってくると、
大半がなくなっていた。

イセエビも好評だったが、ヤシガニは殆ど手がつけられていなかった。
ヤドカリのお化けみたいな形で、
ヤシの実の香りが強いので敬遠されたようだ。
クモのお腹のような部分には、もっと強烈な香りのする内臓があるのだが、
これには誰も手を出していない。
山田は濃緑色のウニのような内臓にヤシガニの身を混ぜ、
それに醤油とワサビをたっぷりかけて杉尾以下の役員に勧めたが、
誰も箸を出そうとはしなかった。

「こうして食べると、ウニ以上の旨さなんです。
 前に三島会長にもお勧めして喜ばれたんですけど、
 今日は、受けませんねー。」

三島という名前に全員が反応を示したが、
それでも誰も食べようとはしなかった。

「山田君、会長は我々と違ってワイルドな味をお好みだからね。
 それは全部君が食べていいよ。」

宮島が山田に押し付けるように言った。

「お言葉に甘えさせて頂きます。
 熱いご飯の上に載せて、海苔で巻いたら最高なんですが。」

ハイネケンの瓶を片手に、山田がヤシガニを食べ始めると、
宮島は疑うような目付きでその様子をじっと見つめた。

お腹が一杯になると、一行は二つのグループに分かれた。
一つのグループは杉尾が中心のマージャン派だ。
西南建設副社長の佐々木、西南観光社長の児島、
それに西南ホテル・インターナショナルホテル社長の荒田が加わった。
マージャン・ルームとして用意されたバンガローの前に、
山田が四人を案内すると、大きなエンジン音がした。

「山田さーん、もういいよ!」

裏からノボルが大きな声を上げた。
山田がバンガローのデッキに駆けあがり、室内照明のスイッチを引っ張った。
エンジン音は発電機の廻る音だった。
ロック・アイランドの島には電気がない為、普段はランプなのだが、
今回はマージャン用にコロールから発電機を持ち込んだのだ。

こんなに自然の素晴しいパラオでマージャンなんて、と山田は思っている。
しかし、『ライオン』と社員から恐れられている杉尾が、
大のマージャン党なので、杉尾が出張する先々でマージャンを出来るように
準備するのが、西南不動産の社員の勤めになっていた。

もう一つのグループは宮島をトップにした飲兵衛組だ。
ビーチの真ん中に作った焚き火の廻りに、
椰子の木の丸太で作ったベンチに座り、
銘々にビールやらウイスキーを片手に飲み始めた。

山田は残ったシャコ貝の刺身を細い竹串に刺し、
焚き火の傍に何本も立てた。1分ほどで燻製の貝の匂いが漂ってくる。
裏返しにしてもう一度炙ってから、バナナの葉の上に並べ、
半分に切ったライムを絞って出来上がり。
この串焼きは評判が良かった。

山田と嶋田は手分けして、二つのグループを交互に廻って御用聞きをするが、
マージャン・グループには特に気を使った。
杉尾は負け始めると、「ビールが温い。」とか、「暑い。」とか言って、
社員を叱り飛ばすので、気が抜けないのだ。

その杉尾の癖を良く知っているので、宮島は山田に、
「こっちは良いから、あちらのお世話をして上げなさい。」と言ってくれた。

再び山田がマージャンルームに行ってみると、
杉尾は勝っているらしく、目を細めながらパイを並べてる。

「おい、荒田君、もう少し早く打てないかね?
 幾らパラオでも夜が明けちゃうよ。」

杉尾がSHI社長の荒田を急かす。

「杉尾社長はせっかちだなー。
 私が一番負けているんですから、少しぐらい待ってくださいよ。」

「いやー、待てないね。
 未だ細いネックレス分くらいしか点棒が貯まってないからね。
 太い真珠のネックレスにしなくちゃ。」

「ええー、どうせ私が買ってあげるようなものですから、
 好きなように打たせてください。」

「スポンサーにそう言われちゃ、待つしか無いか。」

杉尾のこの言葉につられ、全員が笑った。

『どうやら今夜のライオンは吠えずに済みそうだ。』
 と、山田は内心ホッとした。

ビーチの焚き火の方に戻ってみると、カラオケまで持ち出し、
宴会の真っ盛りだった。

「お、山田君、戻ってきたか。君も何か歌え!
 嶋田君が、今ビートルズを歌ったばかりだ。」

宮島は上機嫌で、山田に命じた。
カラオケが上手な宮島や嶋田と違い、山田は歌が苦手だった。

「それでは宮島専務に敬意を表し、阿波踊りを踊ります。
 専務に拍子をお願いします!」

宮島の拍子に乗って山田は踊り始めたが、今夜初めて踊るので、
形なんかになっていない。

「そんなのは阿波踊りじゃないよ。手本を見せてやる!」

宮島が自分で拍子を取りながら踊り始めた。
流石、阿波出身者だけあって腰が入って形になっている。
山田もその後について踊り始めると、嶋田や宮城も続いた。
興に乗って四人が踊っていると、杉尾以下のマージャン組も、
焚き火の廻りに坐りビールを飲み始めた。

ヒロミやマリアは四人を見て、お腹を抱えて笑い転げている。


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[[[編集後記]]]

今日自宅近くの緑道を散歩しました。
ソメイヨシノはすっかり散り、八重桜がほころび始めていました。
その先に数人の女性が見上げて、カメラを向けていました。
見ると黄色の桜、ウコン桜です。
毎年このウコン桜を見ようと気にかけているのですが、
満開の時期に当ることがありませんでした。
今年は一週間ほど前の青山墓地に続き二回目。
「大当たり」です。

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