パラオ物語 Vol.063 「一難去って又一難−その3−」
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パラオ物語 vol.063
「一難去って又一難−その3−」
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☆この物語の舞台はスキューバダイバー憧れの南の楽園、パラオ諸島。
☆グアム島への観光客もまだまだ珍しかった昭和40年代後半、
☆更に800kmも南のパラオでリゾートホテル建設の命を受けた
☆新人企業戦士の新鮮な驚きに満ちた日々を綴る奮闘記です。
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[[[これまでのあらすじ]]]
パラオでパートナーのクロとイナゴに加え、
公共事業大臣のイチローとも相談した結果、
パラオの経済開発とパラオ人の大量採用と人材教育の為、
長期投資が必要との趣旨の申請書を書くことにした。
また、大臣からの推薦状も出してもらえることになった。
「パラオ物語」のブログ
http://blog.livedoor.jp/palaustory/
主な登場人物
三 島:東京の西南部に線路網を持つ西南急行電鉄グループの社長。
山田の勤務する会社、西南不動産の社長も兼務している。
財界の若手リーダーの一人で太平洋各地での開発に情熱を注ぎ
ニックネームが「ミスター・パシフィック」。
山 田:物語の主人公、西南不動産の若手社員で海外事業担当として
グアム島に駐在し住宅団地の開発を担当しながら、
パラオでのホテル用地買収をしていた。
その後日本に戻り国内勤務をした後、
4年ぶりにパラオの担当に復帰した。
関 :山田の1年後にグアムに赴任してきて、
パラオの仕事を山田から引き継いぎ、
本社に復帰してからホテルの企画設計を作り上げた。
嶋 田:本社で関の部下としてパラオを担当し、
山田の復帰後には山田の部下となった。
杉 尾:西南不動産の専務取締役。
ライオンのあだ名で部下に恐れられている。
宮 島:取締役開発本部長で海外事業も所管している。
村 山:開発本部管理課長。海外事業も担当するが英語は苦手。
クロ・エジソン:
パラオ財界のドン。
最初西南グループのホテル開発計画の反対派だったが、
山田達が交渉してパートナーとなった。
ホテル用地を買収する会社、パラオ・ディベロップメント社(PD社)
の社長。
イナゴ・カツミ:
クロ氏の幼友達。本業はウィスキー製造とポルノ映画館主。
フェミニストでしかも右翼的。来日の際には必ず靖国神社に参拝。
クロ氏の紹介でパートナーとなりPD社の副社長となる。
イチロー・ウォン:
パラオ政府の公共事業大臣。
昔サイパンの太平洋信託統治領政府に勤務していた時代に
調査に訪れた山田に会ったことがある
エリザベス・ウィルソン:
サイパンにある太平洋信託統治領政府の高等弁務官。
英語でハイ・コミッショナー、略称「ハイカム」
彼女のニックネームはリズ
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[[[一難去って又一難−その3−]]]
翌日の午後、山田は本社へ国際電話でイチロー大臣との面談結果を
報告した足でクロの事務所に向かった。
昨日約束したクロの手紙を貰うことになっていた。
クロはホテルの土地を所有する会社、PD社の社長と同時に、
その土地を借りてホテルを建設・運営する会社、
パラオ・リゾート・デベロップメント社(PRD社)の副社長でもある。
今度のホテルの営業許可の延長申請書はその肩書きでサインするものだ。
「おっ、山田さん、手紙出来てるよ!
イチローの手紙もさっきマリアが取ってきたよ。」
クロは黒光りする顔でニコニコしながら言った。
「大臣のレターも出来たんですか?
驚いたなー。随分早く書いてくれたんでね、大臣は。」
「昨日の夕方、もう一回イチローに会って、
すぐ作れって言ってきたんだ。
ホテルの着工が決まれば、大臣としての手柄になるんだから
ぐずぐずするなよ、って念を押したんだ。」
「それにしても早いですね。流石クロさんの力ですね!」
「サイパン時代から面倒を見てきたから、
イチローは俺の子供みたいなものさ。」
「さっき、東京に電話して、2−3日後に大臣のレターが出来るので、
それからサイパンに飛ぶって言ったんですが、
予約が取れれば明日にでも大丈夫ですね。」
「すぐ予約を取ろうか?」
「そうですね。グアムで乗り換え出来るだけ早い便でサイパンに
入りたいですね。それとサイパンのホテルもお願いします。」
「じゃあ、マリアからナオミに電話させて取らせるよ。」
「えっ、ナオミって、クロさんの長女の方でしょ。
エアー・ミクロネシアに勤めているんですか?」
「うん、一度辞めたんだが頼まれて又行くようになったんだ。
山田さん一人なら絶対に席は取れるよ。
もし満員だったら予約名簿を調べて、
俺の言うことを聞く奴を見つけて
そいつにキャンセルさせるから大丈夫だ。」
「そこまでして恨まれるのは嫌ですよ。無理しないで下さい。」
「なぁに、50ドルくらいやれば喜んで譲ってくれるよ。
金額を言えば何人も手を挙げるさ。」
「そうですか。そんなら心配しないでいいですね。
それとサイパンに行ってもハイカムに会えるかどうかですが、、。」
「今朝、イチローがサイパンに電話で確かめてくれたよ。
ハイカムは暫くサイパンに居るそうだし、時間も取れると言っていた。
向うに着いたら直ぐハイカムのオフィスに行きなさい。」
翌朝、アイライの飛行場までマリアに送って貰い、
受付カウンターに行くと、ナオミが手を挙げて山田に合図した。
「オ早ウゴザイマス。ミスター・山田サン。
チェック・インハ 終ワッテイマス。
預ケル荷物ハアリマスカ?」
「ナオミサン、有難ウ。手荷物ダケデス。
チケットヲ 取ルノニ 無理シマセンデシタカ?」
「問題ナイネ。父ノ名前デ頼ンダラ
直グOKシテクレマシタ。
100ドル貰ッテ喜ンデイルヨ。」
山田を乗せたリア・エンジンのボーイング727型機は
30分遅れでコロール空港を飛び立った。
この便はヤップ島経由だったので、グアムまでは3時間半のフライトだ。
パラオは日本と同じ時間帯だが、グアムは1時間進んでいるので、
グアムに到着したのは午後2時近くだった。
グアムでは乗り継の為、2時間待ち、
サイパンに着いたのは夕方5時過ぎだった。
もうハイカムの事務所は閉まる時間なので、
面会は明日にせざるを得ない。
予約したホテルは空港から車で20分ほどのビーチ沿いにある、
サイパンでは二番目の老舗ホテルだ。
山田が以前グアム駐在していた時に訪れたことがあるホテルだが、
チェックインしてみると年数以上に痛んでいるので少しがっかりした。
しかし、沈もうとしている夕日を受けてキラキラと茜色に輝く海と
白いビーチの佇まいは昔と同じく美しかった。
僅かに風に揺れている椰子のシルエットが山田の気持ちを和ませてくれる。
翌朝は早目に朝食を済ませると、山田はレンタカーでキャピタル・ヒルにある
信託統治領政府の事務所に急いだ。
ここはホテル街の裏手にある小高い丘の上にあり、
そこから見下ろす眺めは素晴しく、観光バスのルートには必ず入っている。
山田はその眺めには眼もくれずに、
駐車場に車を停めると直ぐに建物の中に入った。
受付で氏名とハイカムとの面会の件を言うと、
話が通っていたらしく、2階の部屋へ案内された。
その部屋に入ると秘書らしい女性が居て、
山田の名前を手元のリストと照合して言った。
「ミスター山田。パラオノ ウォン大臣ノ手紙ト申請書ヲ
オ預カリシマス。ハイカム ハ トテモ オ忙シイノデ
オ会イデキルノハ 15分ダケデス。
モウ少シ オ待チ下サイ。」
山田は15分と聞いて、話す内容を考えながら、
椅子に座って呼ばれるのを待った。
20分ほど過ぎて名前が呼ばれたので、山田はドアを開け中に入った。
「始メマシテ。西南グループノ 山田ト申シマス。
本日ハ 高等弁務官閣下ノ オ時間ヲ 頂キ 光栄デス。
先程、秘書ノ方ニ 書類ヲ 提出シマシタガ、
パラオデ 開発スル ホテル会社ノ
営業許可ノ期間延長ヲ オ願イニ参リマシタ。」
ハイコミッショナーのエリザベス・ウィルソン女史は
丸々と太ったにこやかな女性だった。
お世辞にも美人とは言えないが、人の良さそうな感じだった。
「パラオノ ウォン大臣カラ ホテル開発ノ事ハ聞イテイマス。
西南グループハ ドンナビジネスヲ シテイマスカ?」
「東京ノ西南部ノ鉄道事業ヲ中心ニ、
都市計画的ナ開発事業、デパート等ノ流通事業、
国内航空事業、建設業、国内外ノホテル運営等デス。
ホノルル ノ ワイキキ・ビーチ ニモ
ホテルヲ運営シテイマス。
ハワイ島ノコナ地区デモ 大規模リゾートヲ 開発中デス。」
「ハワイ島? マウナ・ケア デスカ?」
「ソノ手前ノ マウナ・ロア・リゾートデス。
社長ノ三島ヲ ゴ存知ナイデショウカ。
コノ写真ノ人デスガ。」
山田は西南グループの英語のパンフレットを開いて見せた。
「イエース、会ッタコトガ アリマス。
ハワイノ ドコカノパーティーデ 会イマシタ。
何カ ニックネームデ 呼バレテイマシタネ。」
「ミスター・パシフィック デス。
三島ハ 東京商工会議所ノ会頭トシテ
環太平洋地域ノ発展ノ為 努力シテオリマス。
太平洋地域ガ 大好キナノデス。」
「ミスター・パシフィック、思イ出シマシタ。
アノ三島サンノ プロジェクトデシタカ。
書類ハ後デ検討シマスガ、
三島サンニ コノ次ハパラオデ会イマショウト
オ伝エ下サイ。」
山田は心の中でヤッタと叫びながら、
ハイカムの手を思わず力強く握り締めると、
彼女もそれ以上の力で握り返した。
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[[[編集後記]]]
大分春らしくなってきた今週の日曜日、
久々に近くの川沿いを散歩しました。
この川は武蔵野国と相模の国の境で、境川といい、
両側に遊歩道が整備されています。
所々に開発されずに残された里山があり、野鳥の安息所になっています。
鶯の鳴き声と土手の土筆が春の確かさを知らせてくれました。
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