2009/11/23
探検!地方自治体へ 第107号 市長の川崎市議会「招集権」に関する一考察
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 探検!地方自治体へ~川崎市政を中心に~ 第107号 09/11/03 ★市長の川崎市議会「招集権」に関する一考察★ 1.要約 2.地方自治法の確認 3.川崎市議会定例会の中味 4.議会基本条例に基づく議会の活動 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 1.要約 市長が「議会招集権」を持つことを知ったのは何時だったか、覚えがな い。しかし、驚いたことは確かである。何で議長にないのか? しかし、「機関委任事務」の考え方を知ってなるほどと思った。 要は「議会は眠っていれば良い」のである。必要な時にたたき起こして 「賛成」してもらう。それ以上でもそれ以下でもなかったのだ…今はそん なことでは済まないはず。 「地方自治法第101条」で規定される首長の「議会招集権」は何を意味 するのか。本稿は実態から考える試みである。 即ち、 1)もともと議長が招集権を持つべきだとの考え方 2)議長招集といっても形式だけの問題 以上の二つの考え方は、常識的なのでここでは議論の対象にしないでおく。 地方自治法第101条の「招集権」は市長提案の議案を議決することが 議会の中心的な仕事であることを前提に、会期制方式で成り立つ。 「地方主権」、「議会改革」の視点から今後は会期制そのものも含めて 議会運営を変えていく時代である。 特に委員会活動を含めた議会のあり方と住民参加の積極的推進を考える ことが課題となる。従って、それに見合った運営と方式を新に構築しなけ ればならない。「招集権」も考え方から変ることになる。 2.地方自治法の確認 「地方自治法第101条」で地方自治体議会は、首長に招集権がある。 川崎市議会だけでなく、多くの自治体議会が喉につっかえた魚の小骨のよ うに取り除きたいと思いながらも、果たせないでいる。 また、「第101条第2項」で議長は議会運営委員会の議決を経て首長 へ臨時会招集請求ができる。 この招集請求権は何か奇妙である。議会が議案を出すにしても定例会の 合間、緊急にというのは考えにくいからである。有効なのは首長と正面か ら対峙するときだけかもしれない。 問題はこの規定の考え方である。これは定例会で圧倒的に多く、ほとん ど全部の「付議すべき事件」がタイミングを含めて適切に首長から出され るのだから、首長招集で構わない、と言っていることになる。 議会から出されるタイミングが外れたごく少数あるかないかの「事件」 だけは臨時に開催し、但し、議会側に招集権はなく、首長への招集請求権 だけを持たせる。権限を一本化するのは規律上当然、従って、この規定は 論理的に整合性を持つ。こんな感じである。 この考え方から招集権を議会側に移すあるいは議会側にも持たせる、と の規定は導き出せるとは思えない。第28次地方制度調査会は本年6月の 答申で、この件について議論もあったが、「招集請求権の運用状況もみな がら、なお引き続き検討していくべきである。」としている。 しかし、「招集請求権の運用」が実行されれば、それだけ現在の規定の 考え方が適切なことを実証するだけである。何を引き続き検討するのか、 疑問である。 ところで、議会の会期は「第101条第6項」で議会が決定する。 また、常任委員会は「第109条第9項」で、議会の議決で付議された 案件を閉会中も審査できる。従って、実際の審査には不自由しない。 川崎市議会は請願・陳情の数が多く、閉会中の審査があることが常態で ある。定例会の最後の常任委員会では必ず閉会中の審査を確認している。 3.川崎市議会定例会の中味 川崎市議会は、全議員集合・本会議場形式での「代表・一般質問」及び 「予算・決算特別委員会」と、五つの常任委員会での「議案審査」及び 「請願・陳情審査」が行なわれる。この形式は比較的大きな市議会では 一般的であろう。これが中味である。 常任委員会では他に「所管事務の報告」「議案の事前説明」が担当局 から行なわれる。但し、これらも担当局からの報告を聞いて質疑をする だけで、委員会側が積極的に調査するわけではない。 しかし、本年6月に成立した『議会基本条例』では、委員会は第10条 に以下の通り規定されている。 第1項 委員会は、議案等の審査及びその所管に属する事務の調査の充実を図り、 その機能を十分に発揮しなければならない。 第2項 委員会は、市政の課題に適切かつ迅速に対応するため、調査を行うと ともに、政策立案及び政策提言を行うものとする。 4.議会基本条例に基づく議会の活動 上記の内容によれば、今後、充実した「調査」は必須であり、それに 基づく「政策立案」及び「政策提言」を規定されている。 6月から約5ヶ月経過した。各委員会で議論し、何らかの具体的計画 を策定しても良いはずである。 この作業及び更に続けて調査に基づく報告・議論から政策立案、更に 第12条による「公聴会、参考人招致」、第16条による調査機関の設置、 を含めて委員会機能は大きく変る可能性がある。いや、変らなければなら ない! これが「閉会中」も含めて自由自在に実際できなければ、『議会基本 条例』は絵に描いた餅の類になる。重大な問題である。 先に書いた通り、「議会の議決で付議された案件」は閉会中も委員会 審査はできる。 しかし、「調査」とそれに基づく議論ができるとは地方自治法には書か れていない。だが、できないとも書かれていない。 法はこの事態を予測していなかったのだ。それはそうだろう。「議会 は眠っていれば良い」との時代に作られたのであるから。 「自治基本条例」であれ、「議会基本条例」であれ、先駆者は地方自治 法をものともせず制定したのであろう。従って、「地方主権」、「議会 改革」の現代的視点から地方自治法は考え方を改めて書き直される部分 を引きずっているはずである。 「招集権」もその一つかもしれない。「開会」、「閉会」が必要な概念 であろうか。先に挙げた第28次地方制度調査会の答申でも、「会期制 を前提としない方式」も含め、住民参加も含めて柔軟な議会運営の必要性 に触れている。 先の委員会活動を含めた議会のあり方と住民参加の積極的推進を考える ことが課題となる。「付議すべき事件」が首長から多く提出されることは、 それが審査されれば良いだけで運営上の問題にならないはずである。 従って、幅広くなる活動に見合った運営と方式を新に構築しなければ ならない。「招集権」も考え方から変ることになる。 究極には「招集権」も選挙直後だけになるかもしれない。その時、議会 が招集するとして、どうするのか?多数の議員の合意(実際は全員)で 「互集権」(互いに集まるとの造語)でも作り出すのか。 以上 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 編集発行人 吉井俊夫 ご意見・ご感想はメールでどうぞ t_yoshii@hotmail.com 本メルマガのまとめ http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/ine_mm.html (ここをクリックすると登録フォームがあります) 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000219072.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


