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身近にぶつかった問題点を、行政改革の視点から川崎市政へ課題提起している経験を生かし、ひとりでも地方自治体行政に参加できる方法論を提示します。更に、これを基盤に広く自治体の探検を志し、課題を共有する方々との交流による進化を目指します。

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2009/11/03

探検!地方自治体へ 第105号 ★フロンターレの熱気の影に★

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探検!地方自治体へ~川崎市政を中心に~ 第105号 09/11/3

★フロンターレの熱気の影に~川崎市長選『そこそこ』の選択~★
総括1 投票率 36%
総括2 有権者の8人にひとり 阿部氏へ投票
総括3 川崎市としての「争点」
総括4 川崎市民「総体の意思」は『そこそこ』
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総括1 投票率 36%

 フロンターレがサンフレッチェに圧勝した夜…

 等々力の歓声と監督の誕生日を祝うケーキの騒動、
   少し離れれば、貼られたポスターと家のパソコンの中から、
     願いを裏切られた「アッキーナ」の声が虚しく響いてくる。
 http://www.city.kawasaki.jp/91/91senkyo/home/shichou/movie.html

 『10/25 川崎市長選挙
   あなたの一票、大っき~な一票!積み上げようあなたの声も。』

 投票率は36%!午後8時、積み上げは途切れた!
 前回とほぼ同じ投票率、どこか奇妙な一致である。
 地方に「行政」はあっても「政治」がないとの感覚か?
 投票するほどのことはない、「そこそこ」に続いていく…

総括2 有権者の8人にひとり 阿部氏へ投票

 当選した阿部氏の得票数14.6万は有権者の“13%”。8名に1名が投
票所で「阿部たかし」と書いたことになる。これを少ないとする見方はあ
るだろう。しかし、事実は阿部氏3選ということだけである。

 Asahi.com( 2009年10月27日)は政党支持率と各政党支持者の投票行動
との関係を出口調査から出している。
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000910270004
 民主41%  阿部29% 福田51%  原  8% 岡本12%
 自民25%  阿部51% 福田10%  原 30% 岡本 8%
 共産 6% 阿部14% 福田 8%  原  4%  岡本74%
 公明 3%  阿部61% 福田 0%  原 24%  岡本 4%
 無党20% 阿部40% 福田32%  原 11%  岡本17%
 得票数  14.6万  11.7万    6.6万  6.1万

 投票行動は以下の結果を映し出している。阿部氏の支持が政党にかかわ
らず無党派も含めて全体にわたっている。
1)阿部氏は共産党層を除き、無党派も含めて全体的に手厚い
2)福田氏は民主党層、無党派層へ深く食い込めず
3)原氏は自民党層にも浸透せず
4)岡本氏は共産党層だけ

 一方、阿部氏の得票数14.6万が福田、原、岡本各氏の合計得票数24.5万
を大きく下回っていることも一つの結果である。

 では、仮に決選投票を行なったとしたらどうだろうか。政党の党首を決
める選挙では3名以上の立候補があった場合、最後は2名で投票が実施さ
れる。古くは自民党総裁選で石橋湛山氏が2,3位連合によって岸信介氏
を破った。2者択一によってのみ真の選択が行なわれるのは数学的にも証
明されることである。

 では今回の場合、阿部氏対福田氏の仮決選投票は、2.9万票の差は?
 ここでは細かい計算と分析は割愛するが、福田優位との判断はできない。
原氏6.6万の票は阿部支持が比較的大きく、岡本氏6.1万の票は必ずしも大
きく福田支持へ流れるともいえないからである。それだけ福田氏、原氏、
岡本氏の訴求は川崎市民へ浸透していなかったのである。

 但し、阿部氏もまた、胸を張って市民の信頼を得たとは言えない結果で
あることも確かだ。選挙制度が阿部氏を市長にした側面も含まれるのであ
って、市民が積極的に阿部氏を選んだわけではないことは肝に銘じるべき
である。

総括3 川崎市としての“争点”
  
  国政選挙が終り、一服感もあったことは確かであるが、それで川崎市と
しての“争点”も解消されたと感じられていたのであろうか。

 福田氏は「チェンジ」を掲げていた。しかし、それは国政が「チェンジ」
したから川崎も同じように、という主張であった。例えば、「脱官僚」で
ある。
 国交省からの役人が副市長になることが6月定例議会で承認された。
また、局長クラスのほとんどが出資法人等へ天下りする。これが霞ヶ関に
相似することは確かである。しかし、市民が日頃接する役所の窓口の人た
ちは「官僚」だろうか。市民の感覚として霞ヶ関は「役人」の巣窟である
が、市役所は「職員」の仕事場である。行政改革は必要であっても霞ヶ関
と金太郎飴で論じるのは不勉強であるし、説得力も生まれない。
また、“争点”を作り出すこともできない。

 当然、阿部氏の反撃である「チェンジした」これまでの実績に抗するこ
とはできない。「8年間の過去を問う」だけの戦いになれば、「大きな失
政のない」現職市長の主張がボディブローとして効いてくることは火を見
るよりも明らかである。「過去」ではなく、これからの「始まり」を“争
点”として提起し、自らの言葉で主張できなかったところに福田氏敗北の
真因が潜んでいるように思われる。

 しかし、公平を期して福田氏の“争点”提起に触れておこう。
 地下鉄建設問題で「住民投票」をマニフェストの始めに提案している。
地方主権が進み、少子高齢化も大きな現実になってきたとき、税の問題も
また自治体が決めなければならなくなる。そのとき「住民投票」は必須で
ある。そうでなければ団体自治だけが肥大化し、住民自治は首長の庇護下
の置かれるというグロテスクな“1Q84年”体制もないとは言えない。
 この提案は選挙戦の後半にだんだんと尻つぼみになったようだ。

 優先政策、「福祉の充実」トップ/川崎市長選世論調査
 2009年10月19日 カナロコ
 http://news.kanaloco.jp/localnews/article/0910190007/
 有権者が取り組んでほしい政策は以下の順
 「高齢者や障害者支援など福祉の充実」 49・5%
 「子育て支援策の充実」        37・1%
 「中小企業支援や雇用対策など景気対策」31・5%
 争点の一つとされる「地下鉄や縦貫道など交通網の整備」
 政策の中で7位(10・7%)にとどまる。
 地下鉄整備は初期整備区間(新百合ケ丘─武蔵小杉駅)だけで4千億円
を超える
 「推進すべきだ」と答えた人はわずか  17・5%
 「住民投票などで住民の意思を問うべき」53・9% 過半数を占め、
 「凍結すべきだ」           22・5% を加えると、
 4分の3以上が計画を進めることに疑問を抱いている。

 上位三つの政策はすべての候補者が何らかの形でマニフェストに掲げて
いる。従って、ここから有権者が候補者の区別をつけることは難しい。但
し、ここを外して地下鉄問題を中心に訴えるわけにもいかない。自治体は
身近な生活そのものに関する施策を提供するのであれば、上位三つの政策
は最重要である。先をみた“争点”は馴染まない。ここが福田氏のジレン
マになったことは確かであろう。
 一方、阿部氏からみれば、地下鉄にはできるだけ触れず、過去の業績に
対する信任投票の色彩を強調し、“争点”を消すことが戦術として有効に
なる。
 “争点”が消され、生活環境の重要な側面は各候補が同じ主張をすると、
市民が無難な現職を選ぶ傾向が強くなるのも当然である。

総括4 川崎市民「総体の意思」は『そこそこ』

 結局、川崎市民は「総体の意思」として
 どの候補も掲げた「子育て支援」「高齢者福祉」を充実させ、

 『日本一でもオンリーワンでもなく、
   “そこそこ”のレベルで生活環境を整えて欲しい
      日本一の興奮は、
        「たかがスポーツ・されどスポーツ」
           の範囲内でフロンターレにお任せして…』
と選択したかのようである。 

 しかし、川崎市の方針は、
 『川崎市議会議事録 平成21年6月19日 総務委員会』によれば、
 『H22年度、国の予算編成に対する川崎市の要請書』(財政局)
 要請内容
  1)国直轄事業負担金廃止等、地方税財源の充実
  2)指定都市の事務配分、財政需要に応じた税財源の充実
  3)経済対策に伴う地方負担に対する財政措置

  4)川崎縦貫高速鉄道整備事業に対する支援
  5)川崎駅周辺地区の都市拠点機能整備事業に対する財政措置
  6)武蔵小杉駅周辺地区のまちづくり事業に対する財政措置
  7)臨海部地区の交通ネットワーク基盤の整備充実
  8)殿町三丁目地区での環境等研究開発拠点の整備促進への財政措置

  9)生活保護制度の抜本的な改革への取組
 10)ボーダーライン層の就労自立支援に向けた制度拡充
 11)保育所に関する運営基準改善、財政措置

 その他(5本柱─23項目)
 12)都市基盤整備等の推進(道路等)
 13)防災対策の推進
 14)快適環境施設の推進

 15)福祉施設等の推進
 16)教育・青少年施設の整備推進

 要請の1)-3)は当然として、4)以降がこの順序で良いのか?
 市民が望む政策9)-11)は下位に押しやられている。
 更に、思わぬところに「地下鉄建設=4)川崎縦貫高速鉄道整備事業」が
入っている。これで本当に良いのであろうか。緊急的にも将来的にも本当
に必要な政策は何であろうか?
                            以上
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編集発行人 吉井俊夫
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