2009/08/23
探検!地方自治体へ 第98号“主体的浮動層”の形成へ向けて
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探検!地方自治体へ~川崎市政を中心に~ 第98号 09/08/23
★“主体的浮動層”の形成へ向けて★
1.要約
2.前回までの選挙のまとめ
3.今回選挙のシミュレーション
4.主体的浮動層の形成
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1.要約
前回は最近5回の選挙の比例区投票率をベースに野党の長期漸増、与党
の長期低落を読み取り、「二大政党性の確立」から「政権交代」への流れ
が基本にあることを指摘した。
そのなかで、「郵政選挙」は、半ば住民投票の側面をもち、国政選挙の
軌道から実質的に外れていたと論じた。
今回の論点は投票者モデルとして以下を考えてシミュレーションし、
投票結果を占うことである。前回の参院選挙と同等かそれ以下の結果とな
りそうとの予測が導かれた。
A 固定的投票層;常に投票、同じ政党(ここでは与野党だけ)
B 主体的浮動層;常に投票、政党は自ら選択
C 客体的浮動層;常に投票、政党選択はマスメディアに依存
D 客体的投票層;投票の有無、政党選択はマスメディアに依存
このなかで“主体的浮動層”を如何に形成していくのか。これが大きな
課題である。それには「権力」と「社会」との関係において、「権力」に
距離を置き、「社会」の中で横へのコミュニケーションを促進することが
基本にあるべきだ。
2.前回までの選挙のまとめ
前回に引続き再度、最近5回の選挙における比例区投票率を掲載する。
先にも述べたように、野党の長期漸増、与党の長期低落であり、「二大政
党性の確立」から「政権交代」への流れが基本にあることは確かである。
一方、「郵政選挙」は半ば住民投票の側面をもち、国政選挙の軌道から実
質的に外れていた。
安部政権の参院選挙の時は、既に郵政民営化賛成議員の復党が行われ、
ある意味で小泉氏が首相に就任する以前、6年以上前のアンシャンレジー
ムに戻ってしまった、とのイメージも与えていた。
それから更に2年、福田氏、麻生氏と首相が代わり、麻生首相に至って
は将に抵抗勢力側との印象である。小泉氏の手法が強引なだけあって、ま
た、その結果も突き出したものであっただけに自民党内での反動も大きか
ったと思える。
一方、与野党に関する有権者の見方も07/7選挙までに至った長期的傾向
(与党凋落、野党漸増)がこの2年間に固着してきているように思える。
マスメディアの世論調査では、その時の話題によって結果のバラツキはあ
るが、麻生政権への支持率は低い値で固まってくると容易に
上昇しないからである。
3.今回選挙のシミュレーション
衆院解散から選挙当日まで、今回は異常に長い。その点、静かな選挙戦
とも言える。但し、このことは有権者の関心が薄れたのではなく、また、
政治家たちの言動に有権者が迷いを生じているわけでもなさそうである。
既に自分自身が決めている選択を確認している時期になっているのではな
いかとも思われるのである。これは筆者の感覚であるが。
そうであるならば、前回参院戦の野党漸増、与党低落の長期傾向は今回
も維持され、更に
1)解散が無く、安部、福田、麻生の首相交代が行われたこと
2)アンシャンレジームへ後戻りしたこと
3)景気が大きく後退、雇用問題に見通しが立っていないこと
を加味した政権与党への厳しい判断が下されるのではないか、と考えられ
るのである。
そこで数字を極端に単純化して考えてみる。そうしないと予測の前提と
なる行動様式が描けないからである。実際、そんな単純ではないことは承
知しているが。投票者モデルとして、比較的にという形容詞をつけなけれ
ばならないが、これも単純化してみる。
単純モデル化、データ整理と考察、次の行動の予測、これを進める。
A 固定的投票層;常に投票、同じ政党(ここでは与野党だけ)
B 主体的浮動層;常に投票、政党は自ら選択
C 客体的浮動層;常に投票、政党選択はマスメディアに依存
D 客体的投票層;投票の有無、政党選択はマスメディアに依存
先ず投票率である。05/9の67%を除き平均化すると、
1)58%が選挙にいつも投票する人たちと考える
次に獲得率である、
2)8%が選挙時に政党支持を変えている“浮動層”と考える。
(主体的浮動層と客体的浮動層区別は不明確)
3)残りの50%が「固定層」、これは与野党ほぼ半分と考える。
4)50%を越える数を「客体的投票層」と考える。
以上のように仮定し、ノルマライズすると以下になる。
01/7 03/11 04/7 05/9 07/7 09/8
首相 小泉 小泉 小泉 小泉 安部 麻生
選挙 参院 衆院 参院 衆院 参院 衆院
投票率 58 60 58 67 58 63
得票率
与党 59 50 47 53 43 43
野党 41 50 53 47 57 57
獲得率(投票率×得票率)
与党 33 30 27 36 25 27
野党 25 30 31 31 33 36
続いて、「各層試算」である。
A 固定的投票層;常に投票、同じ政党
与党 25 25 25 25 25 25
野党 25 25 25 25 25 25
B 主体的浮動層;常に投票、政党は自ら選択
C 客体的浮動層;常に投票、政党選択はマスメディアに依存
与党 08 04 02 04 00 00
野党 00 04 06 04 08 08
D 客体的投票層;投票の有無、政党選択はマスメディアに依存
与党 00 01 00 07 00 02
野党 00 01 00 02 00 03
1)極めて単純化した「各層試算」から今回の投票結果を逆算したのが、
09/8の追加部分である。
2)ここではA・与党の固定層は下限に達しており、これ以上の低下は既
得権益層の与党離れを意味する。
3)浮動層も前回は与党に投票せず、これも回復する傾向はみられない
と考えられる。そうすると与党は向上する要素がほとんどない。また、
Dも潜在的固定層の堀起こし的数値を少し加味しているが、とても小泉ブ
ームの比ではない。
4)結果は前回並みかそれ以上の差で野党に優位ということになる。
4.主体的浮動層の形成
以上の結果を踏まえて更に先が予測できるであろうか。政界再編があっ
たとしても、ある程度の間隔で「政権交代」の定着化を有権者が主体的に
できるであろうか。ここが大きな問題である。
その意味で、浮動層の存在、特に“主体的浮動層”の存在が重要である。
権力に距離をおき、権力を「検証及び操作」し、
マスメディアの論調に左右されることのない、
バランス感覚をもった “主体的浮動層”によるキャスティングボード
によって浮動層全体を動かすことで、固定的な多数派支配から脱却し、選
択の浮動性を可能にするからである。
浮動層が存在し、それによって政権交代を実現することは大衆民主主義
を機能させる大きな因子である。政党のリーダーシップによる組織化が政
策決定の中核として機能させざるを得ない以上、ここで述べた大衆社会の
なかの浮動性を有する層に決定を委ねることになる。政党支持なし層が
「無党派層」と呼ばれる所以でもある。
しかし、単に右往左往の浮動ではなく、全体を一つの方向へ収斂させ、
統合する方向へ向けながらジグザグに浮動していくことが必須である。
そこで問題は戻るが、「無党派層」の質である。
無党派が日頃の政治事象に関心をもちながら、「権力」と「社会」との
関係で、「権力」に距離を置き、「社会」の中で横へのコミュニケーショ
ンを促進することが基本に必要である。
しかし、現実は政治事象に対する無関心が支配し、その穴埋めとしてマ
スメディアによる一方的な情報シャワーを浴びせられる構造が基底に存在
する。その情報源も「権力」を中心に限られた範囲である。
その意味で、現状はB,CのなかでCが多数であり、Bは少数であろう。
その状態で借金が嵩み、少子高齢化が進むのであるから客体的浮動層が主
導すれば、社会の中での舵取りに誤りを生まないとは言えないのである。
ただ、事は急を要するといっても一朝一夕にできるものでもない。とも
あれ、市民活動をしている団体、個人がその団体や個人の関心を越えて日
頃のコミュニケーションをおこなおうとすることが先ず大切であろう。
以上に述べたことは地方自治体政治においても国政とパラレルに存在す
る問題である。従って、地方自治体の議会改革活動も同じ問題意識のなか
に位置づける必要があるように思われる。
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編集発行人 吉井俊夫
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