2009/07/13
探検!地方自治体へ 第94号 09/07/13『川崎市議会基本条例』の非公開審議過程
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 探検!地方自治体へ~川崎市政を中心に~ 第94号 09/07/13 ★『川崎市議会基本条例』の非公開審議過程★ 1.要約 2.非公開審議の果てに… 3.我々、市民は手をこまねいていたのか? 4.“武器”は封印せずに使っていかなければ! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 1.要約 川崎市議会は“非公開審議”で『川崎市議会基本条例』案を策定、“賛 成多数”で可決した。唯一の反対者は常に公開審議を主張していた猪股美 恵議員(無所属)である。これは川崎市議会の名誉を後世まで救う行動で ある。 “非公開審議”の過程において、市民として公開審議を主張し、かつ、 『条例』の内容についても議論したことを明らかにする。最後に『条例』 という武器を使って具体的な議会改革を推進することを提案する。 2.非公開審議の果てに… 川崎市議会基本条例が成立したことは前々回で簡単に触れた。 http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/images/mail_magazine/92.html 今回はその経緯についてまとめてみる。 議会基本条例とは何か。川崎市の市民討論会にもお招きした廣瀬克哉 ・法大教授は「議会に関する基本的事項について定めた条項」と定義し 、基本項目として、市民参加、議員間討議、情報公開を挙げている。な お、廣瀬教授のシンポジウム報告「市民と議員の関係の再構築」が議会 改革の枠組をまとめている。 http://www.k4.dion.ne.jp/~kmk-head/02_07_12sympo-kaikakuann.html また、日本で最初に制定された北海道栗山町議会基本条例(H18/5 /18制定)は、その前文で地方自治史に残る『宣言』をしている。「… 自由かっ達な討議をとおして、自治体事務の立案、決定、執行、評価にお ける論点、争点を発見、公開することは討論の広場である議会の第一の使 命である。…」。 その『川崎市議会基本条例』は6/17の本会議、“賛成多数”で可決 された。 http://www.k4.dion.ne.jp/~kmk-head/02_07_08jyoureiann.html だが、“少数”もいたのだ!猪股美恵議員(無所属・高津区選出)であ る。猪股議員は常に公開審議、市民との対話の必要性を主張し、それを最 後まで堅持した。少しオーバーな表現になるが、これこそ川崎市民と市議 会の名誉を後世まで救う行動であると筆者は高く評価する。 何故か?川崎市議会は“非公開審議”で条例案を策定したからである。 『条例』そのものは変えることができる。しかし、そのプロセスは消す ことも変えることもできない。ここにこそ『川崎市議会基本条例』の最大 の問題がある。 これは議会の自殺とも言うべき行為である。栗山町との対比で言えば、 地方自治史に残る『汚点』である。閉ざされた場の中で猪股議員という異 端者(開かれた場では正統性をもつ)がいて、辛くも全体の正統性が担保 されるという“逆説の構造”になってしまったのだ。 それも議会で特別委員会設置を議決したわけではなく、会派団長会議 (自民、民主、公明、共産)の諮問機関という何もルールがない、法的真 空状態での「検討プロジェクト」においてである。このような場合、行政 では先ず、目的、運営方法等を定めるルール、要綱を作るはずである。一 方、議会はルールなしに進めるらしい。これは政務調査費を野放図に使っ ていたことと、パラレルの関係と言えるであろう。 出来上がった『条例』の前文には、 「…“開かれた”場での議論によって議会の“透明性”を確保…」と書 かれ、以下、 「第1条 …市民に“開かれた”議会の実現…」 「第9条 …議会活動の“透明性”を確保…」 「第14条 …会議等を原則として“公開”、市民が“傍聴しやすい環 境”の整備…」である。 どれをとっても“非公開”とは相容れない。開いた口が塞がらないとは このことである! 福嶋前我孫子市長の言葉を借りれば“ブラックユーモア!”である。 (カナロコ09/07/01「議会基本条例をテーマにシンポ」) http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivjun0906852/ (なお、福嶋氏の以下の論考は自治体議会を考えるうえでの基本文献) http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=374 3.我々、市民は手をこまねいていたのか? そうではない。 昨年6月、スタートした「検討プロジェクト」であったが、HPにもそ の旨の掲載がなく、市民への広報・広聴をどうするのか、9月定例会でも さっぱり見えず、しびれをきらしていた。 10月、有志で「検討会議の審議傍聴・会議日誌開示」を議会へ申し入 れた。これが拒絶にあった。青天の霹靂である! 会議日誌不開示については11/25に異議申立をおこなった。また、 その内容について記者会見を行って公表した。更に、議員がこの問題をど う考えているのか、 12月、全議員にアンケートをとった。猪股議員、清水議員(自民党)、 三宅議員(民主党)及び共産党議員から積極的な回答を頂いた。 今年2/3、上記アンケート回答を受けて『議員と市民のディスカッシ ョンテーブル』を開催し、白熱した議論をおこなった。 2/12、ようやく議会から「中間報告」が出されたが、項目だけがバ ラバラと並んでいるだけで、その後も『非公開審議』を続けるという。そ こまでやるか! 2/23、そこで「公開審議、市民への説明責任、市民の提案を反映」 を主題とした請願を提出した。更に有志で議会改革の内容について議論、 4/19、まとめ上げた「市民による議会改革チャレンジ案」を公表し 、廣瀬教授、多摩市議会・岩永ひさか議員をお招きしてシンポジウムを開 催した。 4/23、議会は「素案」を公表、パブコメを募集した。上記「請願」 は放置である。市民参加の必要性には触れず、自らの権限を拡大しようと する前文を読めば“本物”でないことは明瞭である。 5/22、これまでの議論も合わせて各人がこの日までにパブコメを提 出した。 パブコメ全体の提出件数 15件、意見数123件。予想されたように 「素案」そのものへの影響はなく、そのまま「条例案」になった。 6/17、議員提案で「条例案」が本会議に上程され、質疑は何もなく 粛々と可決された。 6/18、「請願」を審査!!結果は継続審査!?である。 不都合な「請願」は審査せずにほっかむりとは、恐れ入谷の鬼子母神で ある。 なお、異議申立は、意見書を2/9に提出後、情報公開審議会での意見 陳述を5/18におこない判定結果待ちである。非公開審議という異例な やり方に対する全体的な結論が出るのは先になっている。筆者もその時点 で内容を吟味し、総括とするつもりでいる。 4.“武器”は封印せずに使っていかなければ! それではもう何もやることはないのか?そうではない。課題は「議会基 本条例」という武器を我々市民はどう使いこなしていくか?これが問われ ていると理解すべきである。 先ず、「モニタービジョン」を付けたり、「座席の配列替え」をするの が議会改革ではないことを確認しておく。次に、議員報酬、政務調査会費 等の費用、議員定数等は改革に関連する項目であるが、本丸ではないこと を確認しておく。 何よりも『条例』に開示された議会の説明責任、住民参加に対する具体 的方法を提案しなければならない。次々に請願を出す必要がある。 特に議会主催、全市民を対象とした『議会報告会』は必須である。具体 的には各区で実施すれば良い。これまでの市民主催の『区選出議員と語る 会』は貴重な経験となる。但し、『議会』報告会と『議員』と語る会は基 本的な性格は異なることに留意する必要がある。 また、会議録・資料の早い閲覧、傍聴の際の準備等の運営上の問題も 『条例』に基づいて一つずつ潰していくことも大切である。更に、質疑・ 討論等の分析・検証は議会の質的向上に欠かせないことである。 ふむ~、沢山あるぞ! けだし、『議会基本条例』は出発点であるから! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 編集発行人 吉井俊夫 ご意見・ご感想はメールでどうぞ t_yoshii@hotmail.com 本メルマガのまとめ http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/ine_mm.html (ここをクリックすると登録フォームがあります)vvvvvvv 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000219072.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



