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身近にぶつかった問題点を、行政改革の視点から川崎市政へ課題提起している経験を生かし、ひとりでも地方自治体行政に参加できる方法論を提示します。更に、これを基盤に広く自治体の探検を志し、課題を共有する方々との交流による進化を目指します。

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2009/05/03

探検!地方自治体へ 第87号 09/05/03 市議会の中に準区議会を創設~川崎市議会改革チャレンジ案(1)~

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探検!地方自治体へ〜川崎市政を中心に〜  第87号 09/05/03 

★市議会の中に準区議会を創設〜川崎市議会改革チャレンジ案(1)〜★
1.要約
2.これまでの経緯
3.指定市の中の市議会
4.準区議会の中味
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1.要約

 川崎市は人口140万人に到達した。しかし、市議会があるだけという旧態依然とした
状況で、市民の政治参加の機会は非常に乏しい。7区に分かれ、平均20万人の人口で
あれば、特例市と同じである。そこに区議会があるのが必然であろう。これはお隣の
横浜市(人口365万人、18区)も含めて、どこの指定市でも共通の課題である。
 そこで、「市議会の中に準区議会を創設」を提案する。
 “準区議会”はその言葉通り、行政区としての区の独立を明確に志向する考え方で
あり、その表現である。
 「各区委員会」では表現しきれない感覚、すなわち「区の独立=住民自治の拡大」
を目指す言葉として“準区議会”辿りついたのが最大にポイントである。
 次の機会に論ずるが、横浜市が1月に提起した「大都市制度」においても“区”
はないがしろにされ、横浜市という「大都市」に呑み込まれたままになる。このまま
では指定市の住民自治は危機的状況になる!

2.これまでの考え方

 川崎市議会改革、何を、どのように進めるか(1)〜議会基本条例への道〜
 http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/images/mail_magazine/77.html
 川崎市議会改革、何を、どのように進めるか(2)〜議会基本条例への道〜
 http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/images/mail_magazine/78.html
 上記の報告で、議会改革の内容について以下の考え方を示した。
 1)内部改革「議事機関のあるべき姿へ」
    現状:三無状態 提案、討論、説明無し
 2)権限拡大「議会を市長と対等の立場へ」
    現状:圧力団体 行政への要望中心
 3)住民参加「多様な双方向システムへ」
    現状:一方通行 公式ルートは請願・陳情
 4)地域自治「区議会を指向した運営形態」
    現状:主体不在 地域課題が埋もれる
  その後「川崎市議会議員と語る会実行委員有志」のなかで議論を進め、特に4)
については指定市特有であり、住民自治としても議論する必要があるとの考え方でま
とまった。それが、“準区議会”の発想である。
 川崎市は人口140万人に到達した。一般会計予算5,800億円のうち、個人市民税が
20%を占めるのであるから、人口が増えることは市長にとってウェルカムであり、
そのような表現を記者会見で述べていたとの報道である。
 しかし、市議会があるだけという旧態依然とした状況で、市民の政治参加の機会は
非常に乏しい。7区に分かれ、平均20万人の人口であれば、特例市に相当する。そこ
に区議会があるのが必然であろう。これはお隣の横浜市(人口365万人、18区)も含
めて、どこの指定市でも共通の課題である。

 そこで、先に廣瀬・法大教授、岩永多摩市議会議員をお迎えして開催したシンポジ
ウム、「市民による“議会改革チャレンジ案”」において以下の提案をおこなった。
 (議会の構成) 1.市議会の中に準区議会を創設
 (住民主権)  2.情報の開示から循環へ
         3.バリアフリーの住民参加
 (議会の機能) 4.討論から意思決定まで
         5.反問権?討論権!!
 
 今回は1.について内容を説明し、続いて次回以降、2.〜5.を説明していく。
 2.〜5.は多くの自治体での議会改革でも叫ばれ、実践されてきたことを川崎市での
具体的な課題として考えたものであり、これも指定市の事情を部分的に反映している
内容である。
 
 前回、報告したように川崎市議会は「議会のあり方検討プロジェクト」による非公
開審議で遂に素案策定まできてしまった。市民への説明会も何もなく、パブリックコ
メントの〆切が5/22に設定されている。従って、これに対応して素案の内容について
も合わせて検討する必要がある。
 とは言っても、今回の「市議会の中に準区議会を創設」については討論された形跡
はどこにも見あたらないので、コメントもできない。
 
3.指定市の中の市議会

 神奈川県は人口900万人、二つの指定市である横浜市(人口360万人)と川崎市
(人口140万人)で人口の過半数を占める。更に、相模原市(人口70万人)が指定市へ
移行することが予定されている。
 残りの30市町村の中には、中核市(人口30人万以上)として横須賀市、特例市
(人口20人万以上)として平塚市、厚木市、茅ヶ崎市がある。
 これを含めて平均人口を比較すると30市町村が11万人に対し、横浜市及び川崎市の
区は全部で25区、平均人口20万人である。区は平均的な人口で指定市以外の平均を
上回り、特例市並の人口である。
 
 都道府県は広域自治体であり、その下に基礎自治体である市町村が『住民にいちば
ん身近な地方政府』として配置され、しかるべき事務事業の移管を受けている。
 指定市も基本的に基礎自治体であり、『住民にいちばん身近な地方政府』である。
しかし、警察、高校等を除くほとんどの事務事業を行っており、県に対してほぼ独立
運営している。
 すなわち、指定市は『住民にいちばん身近な地方政府』である基礎自治体でありな
がら、実質的には都道府県並の広域自治体の仕事を行っている。例えてみるなら、イ
ソップ物語の“こうもり”であり、「けもの」でもあるし、「鳥」でもあるのだ。
 そう考えると、広域自治体の中の市と同じように、指定市の中の区は少なくとも現
段階で、特例市並の事務事業を行い、選挙による区長及び区議会を構成しても良いの
である。
 これが道州制になれば、県、指定市はすべて廃止され、区がすべて市になるはずで
ある。川崎市が廃止され、麻生市、多摩市、宮前市、高津市、中原市、幸市、川崎市
である。尤も多摩市は東京都多摩市とかぶるから登戸市かもしれないし、川崎市は新
川崎市であっても良い。
 
 ここで大切なことは『住民にいちばん身近な地方政府』の規模に対する考え方であ
る。身近という言葉を議会活動に引き写すと、
 “予算案の全体を把握し、コントロールできる範囲”
 があげられる。
 議員各人が「全体を把握」していることが必要であって、会派が存在していてもで
きるたけ個人がそれぞれ判断することが住民自治へ繋がる道だからである。
 例えば、東京都多摩市は先にも報告したように今年度予算をこの3月議会で修正
可決した(84号「多摩市議会に学ぶ〜予算案修正可決〜」)。
 http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/images/mail_magazine/84.html
 その修正案のなかには「高齢者おむつ支給事業」、「聴覚障がい者タクシー代・
ガソリン費助成事業」の見直し案が入っている。これが“全体を把握”の良い例であ
る。おそらく、声を上げられない高齢者、聴覚障がい者まで視野に入っているのであ
ろう。なお、多摩市議会のH21年度予算修正議決に関して、
例えば多摩市議会議員・橋本由美子さんのブログ、次の文章を参照
 「えっ! なんか変 教育の施策充実を喜ばない「多摩市教育委員会」」
 http://yumiko001.exblog.jp/10104789/
 
 ここまで来れば「人口(密度)と事務事業の質量」がポイントであって、議員定数
の問題ではないことは明らかであろう。議論として良く引き合いに出されるのは、
議員ひとり当りの人口に焼き直して比較することである。
 川崎市は140万人/63名=2.2万人/議員、横浜市は365万人/92名=4.0万人/議員
(定数削減により、次回選挙から86名、4.2万人/議員)である。議員の人数を増やせ
ば議会として市に対する理解が深まるかといえばそうではない。全体像が掴めていな
い議員が増えるだけ、議論がまとまらないのがオチである。

4.“準区議会”の内容
 
 繰り返すが、 「市議会の中に準区議会を創設」は指定市として特有なことである。
例えば、「各区委員会」を常任委員会であれ、特別委員会であれ、設置することで
ある。同じような考え方は提案されていると思われる。
 
 しかし、“準区議会”はその言葉通り、区の行政区としての独立を明確に志向する
考え方であり、その表現である。「各区委員会」では表現しきれない感覚、すなわち、
「区の独立=住民自治の拡大」を目指す言葉として“準区議会”辿りついたのが最大
のポイントである。

指定市・川崎市は“住民にいちばん身近な地方政府”であると共に、東京都と横浜市
に挟まれた首都圏と地域として140万人の地域政治を担う。東京都周辺の地域と同じ
ように川崎都民の居住地域でもある。
 従って、「政策課題」と「地域課題」とをクロスオーバーするような複眼的視野を
必要とする。
 現在の常任委員会(総務、市民、健康福祉、建設、まちづくり)、特別委員会
(予算、決算)に加えて各区特別委員会(麻生区、多摩区、宮前区、高津区、中原区、
幸区、川崎区)を先ずは設置する必要がある。これが準区議会の具体的な姿である。
 その中で、各区特別委員会の仕事の中味と運営アプローチは以下のことが考えら
れる。

 特別委員会の仕事
 1)区に関連する請願・陳情等を審議
 2)区計画、地域での施策を監視・評価
 3)区予算並びに関連予算の審議、修正案作成
 
特別委員会の運営
 基本的には通常の委員会と変わりないが、その中で、「住民自治の学校」として
住民参加を積極的にトライする。例えば、以下である。
 1)請願・陳情の際の提出者の発言確保
 2)議会報告会の実施
 3)傍聴者の意見表明(福島町議会での「参画」に相当)
 4)無作為抽出等も含めた住民との対話集会
 要は不特定の住民と対話する覚悟ができているか、ということに尽きる。
 また、これとは別に市議会として道州制を視野、区の運営、区長・区議会の権限等
検討が必要である。

 先にも述べたように、現状は東京都23区と同じように、
 「特別区―事務事業の移管―区長、区議会議員の選挙」
 のシステムへ少しでも近づけるように積み上げておくことが大切で、「準区議会」
を設置しることによって市議会での準備は整えたことになり、後は、市から区への
権限委譲を促進することになる。
 このためには、特に予算案から区別予算の「款」を準区議会で審議するだけでなく
、関連する項目、例えばその区で実施する投資的経費等も修正を視野に審議すること
が重要になる。このことによって、区議会と区長等が討論することになり、実質的に
区の自治を進めることになる。
 更に、「住民自治の学校」として住民参加を推進していくことにより、住民が自治
の具体的活動を身につけていくであろう。
 
 現在、市から区への権限委譲は僅かである。仕事、人事を含めて、区長の存在が見
えるように権限を振るわなければ区の独立はあり得ない。独任制としての首長制度は
階層ごとに権限委譲を行い、住民との対話をおこなうようにすることが住民自治の本
質に近づく道である。
 それをせず、「区民会議」を設置、住民をその委員に任命して市長の諮問機関にし
、更に、実質的に予算の一部を裁量させたとしても、ごく一部の住民が予算をめがけ
て参加するだけで、バラマキ行政の変形版にいきついてしまう。
 市長による住民参加のPRに終始して、結局、住民自治に近づかない。

 区の住民代表機能は議事機関である議会によってのみ可能であり、その第一歩が
“準区議会”の設置であることを改めて強調したい。

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編集発行人 吉井俊夫
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