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2009/02/13

探検!地方自治体へ 第79号 不服申立書~会議日誌の不開示に対して~

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探検!地方自治体へ〜川崎市政を中心に〜      第79号 09/02/13

★不服申立書〜会議日誌の不開示に対して〜★

1.問題の所在
2.任意の検討組織とは?
3.「議会のあり方検討プロジェクト」の性格
4.不開示理由の検討
5.まとめ
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1.問題の所在

 すでに既報のように、川崎市議会は「議会基本条例」を非公開で策定している。
  これに対して、様々な手を使って堅い扉を開けようとしているのであるが、手が届
かない。

 “制度的真空状態”での川崎市議会基本条例検討(08/12/03)
  http://archive.mag2.com/0000219072/20081203060000000.html
 川崎市議会へ質問書を提出(08/11/13)
  http://archive.mag2.com/0000219072/20081113060000000.html

 今回の報告は会議議事録に相当する「会議日誌」の不開示(部分開示)に対する
規則の側面からの手続である。

 手続手順として、以下の3)に相当する。
1)公文書の不開示(部分開示)に対する当方の「異議申立」
2)議会側からの「処分理由説明書」
3) 「処分理由説明書」に対する当方の「不服申立」
4) 川崎市情報公開・個人情報保護審査会による審査

 「処分理由説明書」の要点は以下の三点である。
1)議会のあり方検討プロジェクト(以下「プロジェクト」)は、各会派から選出され
たメンバーにより構成された任意の検討組織である。

2)意見を率直に発言できる環境を保障することが必要であり、検討・協議内容を公
開した場合、率直な意見交換を阻害するおそれがあり、プロジェクトの目的を達成す
ることが不可能となることは明らかである。

3)プロジェクトの結論に至るまで、各委員の多様な意見等により検討過程において
その内容が紆余曲折することが想定され、市民に不正確な理解や誤解を生じ、させる
ことは明らかである。

「不服申立」の全体構成は以下であるが、ここでは1,2,5を省き、3,4を中心
に「異議申立書」に沿って述べていく。
1.異議申立に関する部分の確認
2.議会は公開で討論し、合意を形成する機関
3.「議会のあり方検討プロジェクト」の性格
4.不開示理由の検討
5.他の自治体の例
6.まとめ

2.任意の検討組織とは? 

 処分理由説明書は、『議会のあり方検討プロジェクト(以下「プロジェクト」)は…
…各会派から選出されたメンバーにより構成された任意の検討プロジェクトである』
と述べている。

 ここで、任意とは「その者の思いにまかせること」(大辞林第二版―goo辞書記載)
である。しかし、メンバーは各会派から選出されたのであるからその者の思いにまか
せたはずがない。また、言葉の本当の意味で『任意』であるならば、議会としての公
的な活動ではなく、プロジェクト活動そのものも役所内で行うべきではなく、また、
公文書なども存在しなくなるはずである。

 『任意』というあいまいな表現で、実質的には議会の活動であるのに、正式な活動
ではないことをよそおい、議会が本来もつ「公開で討論する」という責務を覆い隠そ
うとしているかに推察できる。

3.「議会のあり方検討プロジェクト」の性格

 「処分理由説明書」での「議会のあり方検討プロジェクト」は上述のように「任意」
という説明のつかない言葉があるだけで、その位置づけが明確にされていない。まっ
たく不十分で説明責任を果たしていない。

 そこで、不服申立人としてその位置づけを説明しながら反論せざるを得ない。

 先ず、第1回会議日誌の[協議事項2]には「…団長会議の諮問機関として…議会基
本条例制定に向けた協議を進めること…」と記載されている。団長会議とは現状、自
民党、民主党、公明党及び共産党の各派代表者で構成される会議であると不服申立人
は議会事務局より説明を受けた。このことも「処分理由説明書」に記していないのは
当事者として極めて不誠実な態度というべきであろう。

 また、団長会議の諮問機関であることによって、会派で選出された議員が参加して
いるのであり、また、少数会派である神奈川ネット(2名)と無所属(1名)もオブザ
ーバー参加している。議会での議決を得ていないという意味で非公式のプロジェクト
であるが、実質的に議会としての活動をしていることは明白である。もちろん、本来
は議会の議決を得て活動することが本筋であると考える。

 更に、第1回会議日誌の[協議事項2]には「プロジェクトの中間まとめや報告がま
とまった際、報道機関等への情報提供は、団長会議で協議の上、正副議長にお願いす
る…」と記載されている。『任意』のプロジェクトであれば正副議長にお願いする理
由はどこにもない。ここでも実質的に議会の活動であることは明らかである。

 加えて、第1回会議日誌の[協議事項1]では先ず事務局長が挨拶し、[協議事項2]
では先ず議事課長が説明している。プロジェクト委員ではない議会事務局の職員が主
導しているかのようであり、議会として不思議なことでもある。しかし、議会事務局
職員がこれほどまでに議会をサポートし、「プロジェクト」の仕事をしている以上、
議会としての正式な業務であることは否定できない。

 以上のように「プロジェクト」としての仕事は議会としての実質的仕事、すなわち、
実質的な委員会活動と同じであることが判る。

 そこで「プロジェクト」のミッションは何であろうか、考える必要がある。
 第1回会議日誌のスケジュール案をみれば何が求められているのか、一目瞭然であ
る。ここでは先頭の枠が「議会基本条例検討プロジェクト」となっているのがミソで
ある。即ち、「議会基本条例案」を策定することがミッションである。

 更に、「21年2月」を横に見ていけば、「団長会議への答申」、「条例案決定」
、「議運(定例会)条例案確認」と続いて、「第1回定例会」に上程、4月に施行予
定である。

 「第1回定例会」は2月中旬から開催される予定である。ここから「プロジェクト」
で策定した「議会基本条例案」がすべてであり、これが即座に川崎市議会「議会基本
条例案」となって第1回定例会で可決成立することになる。その間、議会の憲法であ
る「議会基本条例案」の策定過程がすべて非公開、不開示の闇の中で行われるのである。

 自治基本条例の情報共有、情報公開条例の住民権利としての情報開示との考え方に
照らし合わせても異常という他はない。

4.不開示理由の検討

 次に不開示の理由を検討する。先ず、第1回会議日誌の[協議事項2]において「本プ
ロジェクトの傍聴、報道機関の取材については、遠慮願うこととした」とある。
 要するに傍聴及び取材を拒否している。この拒否(非公開)と、会議の実質部分
(検討資料、討論等)を不開示にすることは同じ考え方であることはこれまで述べた
とおりである。

 処分理由説明書において、『意見を率直に発言できる環境を保障することが必要で
ある。』と述べられている。

 しかし、これは「プロジェクト」を「委員会」と置き換えても成立するはずである。
いや、委員会活動においてこそ、先ずは求められるものではないか。『任意』の「プ
ロジェクト」が委員会以上の環境を保障されなければならない理由はどこにもないは
ずである。委員会での議案等の審議は本会議によって付託されたものであるから、そ
の重みは大きいことは誰にでも理解できるであろう。

 「委員会」が必要としている環境であるから「プロジェクト」もそれに倣うとの論
理のはずである。翻って、委員会並みの環境が必要であれば議会で正式に特別委員会
を発足させれば良いのであるが。

 更に重要なことは、現状、「委員会」の環境は意見を率直に発言できる保障がなさ
れていることである。委員会条例によれば、「委員会」の傍聴はその委員会で許可さ
れるものであり、実質的には特に問題なく許可されるのである。その環境のなかで、
率直な意見交換が阻害されることなど、川崎市議会において考えられないはずである
。いや、川崎市議会以外の地方自治体においてもあり得ないはずである。

 処分理由説明書では「プロジェクト」と「委員会」の違いも説明せず、また、「プ
ロジェクト」会議の実質部分(検討資料、討論等)を不開示にすることについて何も
説明していない。
 また、『検討・協議内容を公開した場合、率直な意見交換を阻害するおそれがあり
、プロジェクトの目的を達成することが不可能となることは明らかである。』として
いる。
 しかし、「議会基本条例」の議論を公開することが特に率直な意見交換を阻害する
理由についても説明されていない。第1回会議日誌の[検討課題(例)]に示される項目
のどれが、どのような理由で公開することが問題になるのか、説明もない。これでは
理解できるはずもない。

 「議会の役割の明確化」、「議会と議員の位置付けの明確化」、「必要な環境・体
制整備の実施」とその内容を読めば、非公開・不開示にすべき理由はどこにも見当た
らず、最後の行に書かれている、「議会活動のより一層の透明性の確保」に今回の措
置の矛盾が反映して皮肉にも光っていると言わざるを得ない。

 『プロジェクトの結論に至るまで、各委員の多様な意見等により検討過程において
その内容が紆余曲折することが想定され、市民に不正確な理解や誤解を生じ、させる
ことは明らかである。』と書かれているのも同じことである。

 「プロジェクト」だけであり得ることではなく、議案の委員会審議においても想定
されるはずである。すなわち、『内容が紆余曲折すること』があり得るのが議会の姿
である。本来、議会は議事機関であり、合議体であることは議論を待つまでもない。
近年の議会批判は「議事機関」としての姿が見えにくく、市長提案に対する討論も乏
しく、『内容が紆余曲折すること』も少なく、可決するだけの存在になっていると住
民の眼に映っていることによる。

 以上のことから、『プロジェクトの会議の公開及び配付資料等の公開は行わないも
のと決定した』ことは理解しがたく、不当と考える。

 なお、『本検討プロジェクトは、本年度中を目途として最終報告書を取りまとめる
予定であり、その際には協議検討が終了するため、それ以降においては会議日誌・配
付資料ともに開示することに支障はない。』としているが、外交文書等の機密文書で
も適切な時期がくれば公開するのであるから、「プロジェクト」の会議日誌・配付資
料を開示するのは当然すぎるほど当然なことである。これをもって現状の不開示を肯
定できないことは常識的に考えれば理解できることである。

5.まとめ

 以上に述べたように、議会では多様な意見を討論により集約し、最終的に議決する
ことから、その討論の過程を公開し、その内容を有権者たる住民に明示することが議
会活動としての必須の要件である。

 今回の実質部分(検討資料、討論等)の不開示に関する「処分理由説明書」の説明
では、「プロジェクト」の性格が「委員会」との比較のうえで説明されていない。ま
た、「議会基本条例」の審議のあり方についても説明されていない。
 従って、本意見(反論)書によって「プロジェクトの書類」からその性格を明らか
にし、そのうえで議会にとって極めて不適切なやり方であることは論証した。

 議会が自発的に、速やかに、会議の公開と情報開示を進めることを今でも期待して
いることを最後に記しておく。
 また、議会が今回のような「プロジェクト」と称して情報公開に消極的になること
を防止する意味においても、本案件の早期の審議をお願いする。
 更に、処分理由説明書で述べられているように不開示が解けて開示されたとしても
今回の問題は解決されるわけではなうことを強調したい。不開示の措置が正しいこと
なのか否か、判断し、結果を示す必要があると考える。

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編集発行人 吉井俊夫
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