2009/01/03
探検!地方自治体へ 第75号 09/1/3 「選挙とリコールの間」は何を意味するか~福島浩彦氏の論考を手掛かりに~
明けましておめでとうございます。考えが浮んでくる限り書いていこうと思ってい
ます。また、ご意見等いつでもお待ちしています。
今年もごひいきに宜しくお願いします。
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探検!地方自治体へ〜川崎市政を中心に〜 第75号 09/1/3
★「選挙とリコールの間」は何を意味するか★
〜福島浩彦氏の論考を手掛かりに〜
1.問題の所在
2.福島浩彦氏の論考内容
3.代表民主主義制度の両極
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1.問題の所在
昨年、川崎市住民投票条例の制定過程に異を唱えたときに、以下のように考え、メ
ルマガに書いたことがある。
「メルマガ 探検地方自治体へ 第57号 08/07/03」
川崎市長の心理と論理〜川崎市住民投票条例案変更過程の背景〜
http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/ine_mm.html
『代表民主主義制度としての所謂「間接民主主義」はリコール制度を含んでいる。
「選挙とリコールの間」で住民投票制度を規定すれば、この制度が代表民主主義と反
するものであるとは必ずしも言えないのではないか。但し、この問題を本稿で取り上
げるのはかなり重荷である。後日ゆっくりと議論を試みたい。』
リコールは代表制の極限に配置された仕掛けであり、この極限に潜む法は住民自治
の思想を表現していると感じたからである。
ここで後日ゆっくりとしていたのであるが、年末、多摩市の議会改革論議を引っ張
る岩永ひさか議員のブログに
http://www.iwanaga-hisaka.net/blog/2008/12/post_220.html
『今日は議会だよりの原稿締切日だったので、原稿をやっと完成して提出。ちょう
ど議会改革特別委員会の報告をとりまとめていたのですが・・・・・
元我孫子市長の福島浩彦さんの論考「市民の自治体をつくる」
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=374
がとても参考になります。何度も読み返しては、頷いてしまいました。』
と書いてある。ここで触発されてゆっくりできなくなった次第である。
2.福島浩彦氏の論考内容
福嶋浩彦氏の論考「市民の自治体をつくる」(2008/12/24)は東京財団の政策研究
「地方自治体のガバナンス研究」の一環として公表されたものである。
東京財団の研究成果は、例えば7月25日東京財団フォーラム「分権時代の地方議会
改革 −改革派首長からの提言−」があり、筆者も参加し、改革派首長による議会論を
聞いて非常に啓発された。このとき、福嶋氏のシャープな論法は記憶に残っている。
さて、「市民の自治体をつくる」では、先ず『自治体の民主主義と国の民主主義と
は、かなり性格が違う』ことから入る。先ず、二元代表制に言及し、続いてリコール
制度の有無について次のように述べる。
『憲法改正の国民投票以外は基本的に主権の行使を国会に任せる。
しかし自治体の場合、市民は選んだ市長がダメだと判断したら、任期中でも原則有
権者の3分の1の連署による直接請求で住民投票を行い、リコールすることができる
。同様に議会を解散させることも、議員をリコールすることもできる。』
更に市民参加制度として、条例の直接請求権と住民投票制度を挙げる。
ここから氏は、選挙で選んだ長と議会が市民参加を力にして対抗し合うのが二元代
表制であり、市民の直接参加も加え、三つの力が緊張関係を持ちながら自治体を運営
し、市民の意思を反映させる、と論じる。
おそらくここが岩永ひさか議員を何度も頷かせた核心部分と思われる。
この考え方をベースにして、『自治体議会に与党、野党はない』、『「擬似」議院
内閣制』と現状の議会に対する説得力に富んだ批判を展開する。
その批判を克服するアプローチとして最後に『議会改革の核心は市民参加』である
ことを提唱する。それは『議会の正式な会議で市民と議員が正式に議論する』ことで
あり、栗山町の議会基本条例を嚆矢として全国に広がりつつあることを提示する。
最後に、執行権に対する決定権の強さを論じ、今、二元代表制を通して主権者市民
の意思による運営を実現していくことが大切であると結論する。
3.代表民主主義制度の両極
福嶋氏の論考は国政の制度との比較から地方自治における「リコール制度」を住民
による監視と参加の制度とし、更に「直接請求権」、「住民投票」を加え、住民の直
接参加を含めた自治体の運営を規定している。
筆者が考えたことはこの認識のカテゴリのなかに入ることであろうが、少し異なる
部分がある。
すなわち、「リコール制度」を代表制民主主義の一方の極におく。「選挙」による
代表選出は一つの政治体制の確立であり、「リコール」の成立はその政治体制の崩壊
を意味すると考える。従って、それぞれが両極にある。
「直接請求権」、「住民投票」の住民参加は政治体制が成立している限りその枠の
中での住民の権利になり得る。論理的には(possibleであるが、probableではないで
あろうが)、「リコール」をできるのでありから、どこまでも住民参加ができるはず
である。住民参加を代表が拒否すれば住民はリコールすれば良い。
では「リコール制度」は単に究極の方法を決めているだけであろうか。その究極の
法に潜む思想は何であろうか。
1)「リコール」は一方の極であって、できるだけそこまで展開しないように長及
び議会は住民に対して「情報を開示し、説明する責任」を負っている。
2)上記の考え方から、「選挙とリコールの間」に住民の意思を直接反映する住民
参加制度を作ることは「条例の直接請求」が規定されているように、妨げられること
ではない。
すなわち、選出された代表者は説明責任を負っている、一方、選出し、解職する立
場の住民は参加を主張できる。“代表の説明責任と住民参加”が「リコール制度」に
潜む実質的な思想と考えられる。
従って、これが情報共有と住民参加の法律的基盤(地方自治法)であり、自治基本
条例の精神もここに発するのであろう。
更に、住民参加を確たるものにするためには、岡本三彦・東海大学准教授の指摘す
る「住民投票〜意思決定への住民参加〜」が必須である。『現代スイスの都市と自治
―チューリッヒ市の都市政治を中心として』(2005年早稲田大学出版部)に展開され
ているヨーロッパの地方自治は、ただ、うならされるものであるが、それに造詣の深
い岡本氏は「福島フォーラム」において、“構えずに”制度をつくり、実施していく
ことを強調されていた。なお、岡本氏の「福島フォーラム」での報告については以下
に紹介している。
探検!地方自治体へ〜川崎市政を中心に〜 第58号 08/07/13
★「意思決定への住民参加」へ向けて〜住民側からのアプローチ〜★
http://archive.mag2.com/0000219072/20080713060000000.html
「メルマガ 探検地方自治体へ 第57号 08/07/03」を書いたときは、一番身近な国政
との比較を頭に浮かべることができなかった。岩永さんが「何度も読み返しては、頷
いてしまいました。」と書かれたことによって、福嶋氏の説を読むことができ、それ
によって筆者自身の頭の中でもやもやしていた考えをまとめることができた。
なお、本稿での筆者の考え方は学識のある方にとっては常識的なことと思われる。
しかし、ごく普通の知識の範囲内しかない人間にとっては十分整理できないこともあ
る。そのようなことに対して、何か触発される情報を得たときに時間をとって考え、
それを文章にまとめてみることが有効であると日頃考えている。
その機会を与えて頂いたおふたりに感謝する次第である。
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編集発行人 吉井俊夫
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「川崎市議会基本条制定へ向けて」
http://www.k4.dion.ne.jp/~kmk-head/02_00_gikaikihonjyourei.html
最新情報 08/12/19 多摩市議会・議会改革特別委員会傍聴記
ブログ「備忘録」 http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/
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