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身近にぶつかった問題点を、行政改革の視点から川崎市政へ課題提起している経験を生かし、ひとりでも地方自治体行政に参加できる方法論を提示します。更に、これを基盤に広く自治体の探検を志し、課題を共有する方々との交流による進化を目指します。

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2008/12/23

探検!地方自治体へ 第74号 08/12/23 「オープン」ななかでのオープンな議論~多摩市議会改革特別委員会傍聴記~

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探検!地方自治体へ〜川崎市政を中心に〜      第74号 08/12/23

★「オープン」ななかでのオープンな議論★
  〜多摩市議会改革特別委員会傍聴記〜
1.問題の所在
2.多摩市議会「議会改革特別委員会」での審議
3.会派構成は多摩市に何をもたらすのか
4.「玉虫色の妥協」と「合意形成」との違い
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1.問題の所在

 多摩市議会「議会基本条例制定をめざす議会改革特別委員会」(以降、「議会改革
特別委員会」)の審議を12/17に傍聴しました。
 午前10時から午後3時まで、昼食休憩を挟んで長時間にわたる充実した審議を展
開された委員の方々には感謝します。推進役の藤原議長も熱心に聞いておられ、8月
の「条例作り会議」では周りの方との話の間に挨拶しただけでしたが、今回は終了後
お話できました。
 また、多摩市議会ウォッチングの会の方にはご案内を頂きお世話になりました。あ
りがとうございます。

 先ず、川崎市の一市民が「多摩市議会改革特別委員会」の審議を傍聴したいきさつ
を述べて改めておく。筆者は「川崎市議会議員と語る会」高津区実行委員のひとりで
、“議会に関心をもつ住民”と“住民に開かれた議会”との相互作用による自治体の
活性化が将来にわたっての自治体の営存を約束すると考えている。

 さて、川崎市議会での「議会基本条例」の審議は、非公式機関である会派団長会議
の諮問機関「議会のあり方検討プロジェクト」において今年の6月から検討されてい
る。
 しかし、その第1回会議で「傍聴及び報道機関の取材はご遠慮願う」と決められ、
また、会議日誌の公開請求に対し、討論内容は「まとめ」についてまでも“墨塗り”
にした形式的な部分開示だけであった。
 全く「非公開のクローズ」されたなか中での議論となっている。この方法は全く理
解できない。議会のあり方の一つとして“開かれた議会”が全国的にも目指され、多
くの自治体が特別委員会を設置し、公開されたなかで「議会基本条例」の検討を行っ
ている。川崎市議会も直ぐに公開すべきと考える。

2.多摩市議会「議会改革特別委員会」での審議

 川崎市議会とは対照的に多摩市議会は平成19年9月に議会で「議会改革特別委員会」
設置を議決し、その後、審議を重ねると共に「出前委員会」の開催、「住民アンケー
ト」の実施とその分析等、議論の過程を住民にオープンにして「議会改革」案を策定
する方法をとっている。

 その基本的な姿勢を次のように述べている。
1)「議会基本条例」制定は改革のゴールではなく、むしろ、スタートライン
2)制定プロセスで、議会・議員だけの議論にはしないため、多くの市民の意見をい
ただきながら、改革を進めることをコンセプトにしている

 「議会改革」の議論が実際にどのように行われているのか、川崎市では皆目検討も
つかない状態から少しでも実態を知るためには近くの自治体議会での議員間の討論を
傍聴し、川崎市議会の状況を推測する以外に手はない。実際の議論を聞いたという意
味で今回の多摩市議会の傍聴は「百聞は一見に如かず」を地でいくようなインパクト
を与えてくれた。

 多摩市の人口は約17万人、市議会議員は26名、「議会改革特別委員会」のメン
バーは13名でその半数である。なにしろ6会派で5名、4名、3名が仲良く2つず
つ、あとはひとり会派が2つであるから細分化されていて面白い。これについては後
述する。
 多摩市 http://www.city.tama.lg.jp/index.html

 「議会改革特別委員会」の13名は6会派各2名と2のなかのひとつ、また、女性
7名と過半数、川崎市議会の「議会のあり方検討プロジェクト」のメンバー13名は
すべて男性。多摩市議会は撮影、録音等は委員長の許可で可能(拒否されることは先
ずない)、傍聴席で資料を閲覧できる。このあたりも川崎市議会よりは改革が進んで
いる。

 さて、本日の主要議題は「改革骨子案」を委員会としての「改革骨子」にするため
、最後のツメの審議であった。この「改革骨子」を議員全員へ説明し、その後、中間
報告として公表することになっている。そして1月には第2回目の「出前委員会」を
3箇所で開催し、2月には公聴会を開催する予定になっている。従って、市民にとっ
ては素案に等しいまとまった案になる。

 参考に供せられた配布資料によれば、
 「改革骨子案」として先ず、二元代表制の実質化、機能強化、討論する場づくり、
市民参加の場づくり、を謳っている。
 続いて[原則]として
1.行政へのチェック機能強化
2.議会による政策提案機能を充実
3.討論による合意形成
4.市民によく見える、市民が参加する議会
 更に各論として個別事項が挙げられ、今日はその文案を審議してフィックスするら
しい。「3.討論による合意形成」に対応する審議にあたるので興味津々であった。

 議論は安藤委員長の采配のもと、おこなわれた。お互い異なる意見をすり合わせて
きたことを骨子の各論として短い文にするのはなかなか難しい。しかし、条例を作る
という大きな目的があるためか、言いたいことを言いながらも妥協の文案を提示した
り、説得を試みたり、様々である。ときたま、或る委員の発言が余韻を引いて隣同士
の議員が話をはじめ、委員長が「ご静粛に」と注意する場面がある。また、元に戻る
ような議論があると、委員長がこれまでの経緯を簡単に振り返り、文案に込められた
考え方を確認する場面もしばしばあった。

 最初の4,5項目で1時間以上の時間を使っていたため、これは夕方5時までかか
るだろうな、と考えていたが、だんだんと合意のスピードが上がってきた。チョット
疲れたか?確か、ケネディ・ジョンソン時代の高官だったと思うが、自ら参加する最
高決定会議を評して「疲労困憊による合意」と述べた、と言われていることを思い出
した。
 結局、3時過ぎに終わった。合意形成段階の会議であり、文言を一つ決めるのも難
しい処があったが、さすがプロとしての仕事、見事に収束していった。

 議会提案の議案は議員間の討論がみられるのであるから、本会議での無味乾燥な台
本ベースの質問と答弁よりは学べることも極めて多く、論議の面白さもある。議会に
関心のある市民にとって必見といって過言ではないと、改めて考えた。今後は市民の
発言も多くなるであろう。どんな異論がでてくるのか、楽しみである。出前委員会も
是非参加したい。

3.会派構成は多摩市に何をもたらすのか

 多摩市議会議員は26名(欠員1名?)、公明党、日本共産党各5名、多摩市議会
自民党、改革ゆいの会4名、民主党TAMA、生活者ネット・無所属の会各3名、あおぞ
ら、三日月会各1名であるから細分化されている。公明党、日本共産党という上部組
織とつながった会派がローカルパーティ風な自民党、民主党よりも多数であることが
何を意味しているのか、ひとり会派も含めて他の4会派がどんなスタンスで議会改革
に臨んでいるのか興味深い処である。

 会派拘束があるとしても会派数から考えて、これが如何に複雑な構成であるのか、
最小限の過半数を形成する場合の数を考えれば判る。議長は現在多摩市議会自民党の
藤原議員であるから、その人数を3名にして過半数13名をとるケースを想定しよう
。論理的可能性だけを示せば「31通り」である。

 例えば5名、4名、3名、1名の会派が一つずつ組むと、12通りできる。或いは、
最大会派である公明党、日本共産党両会派が加わらなくても、改革ゆいの会、多摩市
議会自民党、民主党TAMA、生活者ネット・無所属の会で13名になる。川崎市議会は
63名いるが、自民党、民主党共に18名、公明党14名、共産党14名、神奈川ネット2名
、無所属1名である。この場合、自民党、民主党、公明党のうち2党が合意すれば32
名を越える。即ち、「3通り」しかない。

 「31通り」と「3通り」のゲームの比較では、[3の3乗]=27<31であるから
「31通り」の方が[10の(3―1)乗]=100倍以上も面白いはずである。
 更に面白くするには「31通り」の組合せをすべて一覧表にし、本会議のときに市長
の見えるところに張り出しておくのも一つかもしれない。

 冗談はさておいても、多摩市議会での緊張感と駆け引きは、川崎市議会の及ぶ処で
はないのと考えられる。場合によっては意見が合わずに膠着状態で議会として何も進
展しない可能性を含みながらも、一方追随するだけでは埋もれて存在感がなくなるこ
とも恐れなければならない。

 更に、多摩市民が議会に何を託して投票し(或いは期待せずに棄権し)、この結果
に対して何を優先して求めるのか、これが合わせて大切なことである。
 8会派が合従連衡して是々非々の結論を出すことで市政を牽引することを望むのか
、市長の施策に反対せず、それぞれの会派がその下で利益代表としての働きを期待す
るのか?或いは他のことを考えるのか?何も考えずにお任せか?それを各会派がどう
読みとり、議案議決への道筋を織りなすのか?多摩市議会ウォッチンの会がそれをど
のように評価し、市民へ伝えようとするのか?

 多摩市をintegrateする道筋は、それぞれリスクを抱えながらも幾通りにも分かれる
ようである。そのなかで、多摩市議会が“政治的賢さ”を身につけ、発揮することが
先ず求められるように思われる。

4.「玉虫色の妥協」と「合意形成」との違い

 条例案策定の大筋に沿って改革骨子は“総論賛成、各論収束”と書いた。しかし、
8会派それぞれ調整した意見を持ち寄った場になっており、主張の力点等、各論の議
論は興味深い内容が含まれ、議会・議員のあり方そのものに示唆を与えてくれる。筆
者が関心をもった論点(辛口批評をしたい処)を紹介しよう。

 改めて、「改革骨子案」の原則を確認しておこう。先の4点である。当然、これら
の原則を念頭においた議論でなければならない。
1.行政へのチェック機能強化
2.議会による政策提案機能を充実
3.討論による合意形成
4.市民によく見える、市民が参加する議会
 
 各論の最初は「会期の弾力的運営」であった。これは官僚的用語の典型だな、と思
って聞いていると、『通年会期の言葉を入れよう』、『いや、そこまでは考えていな
い』、『専決処分をできるだけ避けること』、『招集権は市長にあるが、招集請求権
を積極的に使うこと』、『そういうことも含めて検討するでは?』との議論が次々に
飛び出す。

 それでも委員に修正文案を求めながら委員長が収束を図り、落ち着くところにもっ
ていく、『なるほど、お互いの意図をできるだけ含めるような言葉の調整か、これが
今日の“具体的課題”なのだ』と改めて思った。
 但し、これが「1.行政へのチェック機能強化」の方策であるとすれば、「弾力的
運営」として具体的に何を成果として引き出そうとしているのか?議論のなかからは
なかなか見えてこなかった。

 要は地方自治法が「市長招集権」を規定しているから、議会が「会期を自己運営」
できない。従って「弾力的運営」を考えるということなのか。それなら先ずストレー
トに法律の不備の立場をとる方が分かり易い。或いは「市長招集権」の改定を必要と
しないという考え方と両方あるのか?そこが市民から見えるようにしておくことでも
議論を明確にできる。

 しかし、「弾力的運営」という「玉虫色の妥協的表現」が具体的にわかるのはその
場の議論に参加している人たちだけではないか。いや、時間が経過すると委員のなか
にも経緯を忘れる人もでてくるであろう。そうすると振り出しに戻った議論が何度も
続く羽目に陥ることも有り得る。

 更に、この改革骨子を市民に示すということであれば、常に市民がもとめているこ
とに対応していこうとする姿勢が必要である。そこで大切なのは方向性を示すメッセ
ージであり、官僚的なあいまい用語はマイナスイメージを与える可能性もある。

 委員間の討議が言葉の調整を目指して真剣さを増すほど、周囲にいるはずの仮想市
民の姿が見えなくなるというパラドックスが生じる。今回のように傍聴者がいたとし
ても、である。しかし、これはある種避けがたいことのように思える。特に市議会だ
けでなく、一般的に会議そのものにつきまとうことだからである。

 例えば、「議決案件の追加について」の議論で、「追加」をとったのだが、これで
は市民に対して何のメッセージにもならないと感じた。議論を忘れ、改めて「議決案
件について」を眺める。何を改革するのか判らない。次に解説がつき、説明したとし
ても、直観的に理解できないことはどこか腑に落ちないのである。

 『追加しないことも含めての追加検討だから』との議論を妥協の産物として採用し
たからであるが、これもやや議論のための言葉と感じられた。内部にいる委員だけで
、かつ、その場でだけ通用する議論になって、委員会が外部に対して閉じられている
形に見える。
 こういうとき、冷静に「4.市民によく見える、市民が参加する議会」という原則
に沿っているのか、指摘する機能を果たす役目の人が必要なのだが、なかなか難しい
。委員長が経緯を振り返り、考え方を確認しながら進行しているうちは良いが、議論
に入り、調整することに没頭してくると、全体が調整だけに囚われることになる。
 これはこの項目だけでなく、意見が出された個別の議論全般に感じるところでもあ
る。
 
 「議決案件の追加」は市長対議会の関係であるからまだ良いが、「市民提案」の取
扱になってくると、市民の直接的問題になる。請願・陳情とは異なるルートでの提案
に対する議会としての受け皿をどうするのか。所謂、議会としての広聴制度である。

 これに対して『議員が努力すれば良いのであるから新たな制度は必要なし』との議
論とその反論、『議員ひとりに対してではなく、議会に聞いてもらいたい市民もい
る』、もあった。しかし、『議員が努力する』のであれば、議会として聞くことに反
対する理由はないように思われ、この程度は合意していないと骨子案に入らないので
はないかと感じた。しかし、妥協はできても、合意が形成されたとは言い難い面もあ
るのだな〜、そんな印象をもった。

 合意とは討論の過程で形成された知的な製作物である。それは素材(様々な意見)
を加工して作り上げたものであるから単純に素材へ戻ることはない。素材となった意
見を再度主張するにしても合意内容を踏まえてのことになる。

 しかし、妥協はこれと少し異なり、箱(例えば、上位概念、抽象的表現等の玉虫色
の表現)の中に素材(様々な意見)がそのままの形でゴロゴロ入っているイメージで
あっても可能である。従って、ときとして素材としての意見が、取り敢えずの妥協で
抑えていたことが忘れられ、そのまま噴出し、議論が元に戻った、即ち先に言った
「振り出しに戻る」感じを抱かせる。

 合意を妥協の枠組としてのみ理解するというのが我々の政治的風土であるのかもし
れない。また、これを少し大きくいうと、丸山真男氏が提起した精神的次元の独立に
係わる問題かも知れない(『肉体文学から肉体政治まで』(「増補版・現代政治の思
想と行動」所収)未来社(1964))。

 それはともかく、改革派としてはできるだけ説得し、納得したことは合意であって
、枠組が変わらない限りは次のステップに議論を進めるというスタンスが必要と考え
る。これも討論する場合、常に前提条件として意識的に共有するように努力し、“妥
協の風土”の上に“合意形成の風土”を上書きすることを試みてほしい。自由討論に
よる「争点―合意形成」を制度化しても実態が伴う場合が少なくなりそうな気がする
からである。しかし、多数がある程度合意している状況では、これをあからさまに主
張しないことが話を進めやすいという考え方もある。多摩市議会がどう進めるのか関
心をもつ所以でもある。
 
 他に興味のある各論として、「一般質問」のあり方、「代表質問」の復活も議論さ
れていた。また、「文書質問」の必要性について意見が分かれていた。

 議会における「質問」とは何か?市政全般について現在の状況や方針・計画等につ
いて聞くことである。聞くことは必要であってもそれが議員の主要な仕事なのか、片
山前鳥取県知事が地方分権改革推進委員会のヒアリングにおいて、議会の質問を八百
長、学芸会であるとの発言したことを待つまでもなく、再考の余地があると思う。し
かし、存外、質問そのものの意義、方法を見直す議論は行われていないようである。

 筆者からみれば、川崎市の場合であるが、摺り合わせをした部分や台本があるよう
な質問は「文書質問」にすれば良いようにみえる。また、議会全体としてまとまりの
ない一般質問は議員のパフォーマンスのように思える。議会にとって議案審議に対す
る質疑・討論、条例等の提案、市政への質問、どのような考え方でそのバランスをと
るのか、議論が必要ではないか。そんな思いをもっている。

 他にも関心をひく議論もあったが、メモも不備でここまでにしておく。ともあれ、
川崎市民にとって、多摩市議会は身近に先を走っている自治体としてrespectしなが
らwatchingすべき存在であることは確かである。

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編集発行人 吉井俊夫
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  最新情報 08/12/19 多摩市議会・議会改革特別委員会傍聴記
 ブログ「備忘録」 http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/
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