2007/03/07
国際プロレス・グラフティ リメイク版1978
================================================================== プロレス大好き - Wrestling As I Like It (略称:プロダイ)2007/3/7(WED) 発行部数186 ================================================================== 国際プロレス・グラフティ リメイク版 Joe Hooker Sr. ●一九七八年 ・概観 それぞれのシリーズの主力外人をあげる。ほとんど相変わらずのメンバーで ある。 一月 セーラー・ホワイト、ザ・サモアンズ 二から三月 キラー・ティム・ブルックス 四から五月 ジプシー・ジョー、クルト・フォン・ヘス 六から七月 アレックス・スミルノフ、ランディー・ローズ 九から一〇月 オックス・ベーカー、デビッド・ショルツ 一一月 プロフェッサー・タナカ、ディーン・ホー 木村のIWA王座に挑戦したのは、ホワイト、ブルクス、井上、カサバブ、 スミルノフ、梁承揮、ベーカー、 ・ザ・サモアンズ ザ・サモアンズはアファ、シカ・アノアイの兄弟タッグ。サムゥ、 ファトゥウ、ヨコズナの一族(親父だったり叔父だったり)である。また、 アファ、シカのいずれかはゲーリー・オブライトの義父でもある。 サモアンズは一月のシリーズでタッグタイトルを一度は奪取した。で、どん な連中だったかというと、ラフ専門でいい意味での「品のないファイト」を 身上としていた、まさしく国際向きの外人。 八〇年代に入ってWWF入り。ニューヨークMSGで闘う。私の亡き父が 「サモアンズみたいな品のない連中でもMSGのリングに上がれるんだ。」 と驚いていた位である。ちょっと敷衍しておくと、五、六〇年代のプロレス ファンであった父にとってMSGは聖地だったということだ。 ・三軍対抗戦 二月のシリーズ開幕直前、国際、全日、金一道場(韓国)の三軍対抗のミニ シリーズが実現した。ハイライトは木村・草津組が金一・金徳(キムドク) 組の持つインター・タッグに挑戦した試合(引き分け)。そして何といって も馬場・木村の一騎討ち。七五年暮れにはブッチャーの乱入でうやむやのう ちに馬場がリングアウト勝ち。再戦には二年余りの日々が必要であった。 試合が行われたのは蔵前国技館。レフェリーは中立の芳ノ里(元日本プロレ ス社長)。試合は一進一退の攻防に見えたが、よくみると馬場が試合を作っ ている。見方によっては木村が適当にあしらわれている。実力の差は歴然と していた。そして試合のフィニッシュは突然訪れた。 馬場が足四の字固めを決める。木村ロープに逃れ、上半身がエプロンから外 に、今にも真っ逆さまに場外に落ちそうになる。しかし馬場の足がからんだ ままで宙づりの状態。でここでレフェリーがいきなりカウントを始める。一 〇まで数えてゴングを要請。馬場の勝ち。曰く、木村の体が「死に体」だっ たのでカウントをとった。アンタ、その前にロープブレイクでしょ!明らか なミスジャッジというよりも迷ジャッジで木村はまたも星を落とした。 が、今になって考えてみると、エース木村を傷つけないためのオトボケなの であろう 。 ・剛離脱 五月一一日晴天の霹靂、未来のエース剛竜馬が離脱した。この年の春、衝撃 の凱旋帰国をした新日藤波への挑戦を建前に。タイトル挑戦にあたってコー チについたのはアメリカでも世話になったヒロ・マツダ。その背後にいたの は新日の宰相新間寿。つまり剛は国際プロレス創立時のエースとともに吉原 に矢を放ったわけで、歴史とはつくづく皮肉なものだと思う。 剛の離脱の背景にあったのは、年老いた両親を養うには給料の遅配・欠配の ある国際プロレスではやっていけないということ。私rが国際プロレスの苦 しい台所事情を知ったのはこの時。給料の遅配・欠配があったのは他の選手 も同じこと。しかしそれを口にした剛を責めるのは酷というものであろう。 ・原デビュー 前年暮入団していた原は、寺西をコーチにトレーニングを積む。そして六月 デビューの日を迎えた。相手はコーチの寺西。一五分一本勝負で時間切れ引 き分け。そして海外武者修業の旅へ。 秋にはドイツハノーバーのトーナメントにも出場。優勝はビッグ・ジョン・ クイン。ミスター・ヒト、桜田(現ケンドー・ナガサキ)、そして原も上位 入賞。その後カナカルガリーに転戦。ライバルのビッグ・ダディ・リッター (後にジャンクヤード・ドッグの名で人気選手、故人)との試合もテレビで 流された。帰国への期待はいやがうえにも高まる。 暮れになって帰国、リングネームもラグビーファンの作家野坂昭如の命名で 「阿修羅原」に決まる。 ・流血怪人 スミルノフというロシア人っぽい名前はもちろんリングネーム。本名はマイ ク・デュボアと、フランス系である。当時の国際外人としては実力ナンバー 一で、AWA地区ではロビンソンとの抗争で、サンフランシスコ地区でもパ ット・パターソンのライバルとして名を上げた。しばしば彼がらみのタイト ル戦が埼玉・越谷で行われたところから「越谷の帝王」なんていう異名も拝 受した。 彼の実力は全日(初来日時無名にもかかわらず鶴田と好勝負)、新日も認め るところで、国際プロレス崩壊直後には熾烈な争奪戦が行われたくらいであ る。ともあれスミルノフはこの時期の国際プロレスを支えていた。 ・韓国で大木軍団との対抗戦 八月の頭、国際プロレスは大韓プロレス金一道場の招きで韓国遠征を行う。 今はどうだか知らないが、韓国のプロスポーツは国による規制で複数の団体 の存在は認められない。日本なら「新団体」となるところだが、韓国では 「大韓プロレス金一道場」ということになる。当時の日韓プロレス団体関係 を一言でいうと、国際、全日は金一道場と、新日は大韓プロレス本体とつな がっていた。 この遠征は韓国主要都市をまわるもので、連日東京スポーツでも報道された。 普段日本ではきれいなファイトで好感をもたれている稲妻二郎が凶器を振り 回し大木を追い回しているらしい。何でかなと思ったら、クライマックスの ソウル決戦への序曲だったのだ。 −−−−−−−−−− 八月二日 ソウル文化体育館 インターナショナル・ヘビー級選手権 キム・イル対稲妻二郎 IWA世界ヘビー級選手権 ラッシャー・木村対梁承揮 −−−−−−−−−− 梁承揮はこの年の二月国際・全日・金一道場三軍対抗戦で鶴田に敗れてい る。が、母国で抜擢された。その後新日でストロング・マシン二号になった り、素顔で力抜山を名乗り、前田日明のキャプチュードで危ない目にあった り(フォールを取った後、ミスター・高橋が前田に文句をつけていた)、日 本とはゆかりの強い選手だ。 ========== 一九七八年八月二日 ソウル文化体育館 四〇〇〇人(金一道場) IWA世界ヘビー級選手権六一分一本 ラッシャー・木村(七分五九秒体固め)梁承輝 インターナショナルヘビー級選手権 一/無制限 金一(一一分三五秒体固め)稲妻二郎 三〇分一本 マイティ・井上、アニマル・浜口(一五分一二秒体固め)呉大均、金光植 南海山(一三分五九秒反則)ミスター・ヒト 梁鎮五(九分五〇秒反則)グレート・草津 寺西勇(一一分一二秒逆さ押さえ込み)仁大洙 ========== ・バウンティー・ハンター 後にアメリカでインタビュアーを殴ることで名を挙げ、日本でも古館伊知郎 を血祭りにあげたデビッド・ショルツの初来日は国際プロレスだった。この 男、存在感はあるのだが試合が記憶に残らない困った選手である。 レスラー生活そこそこで廃業し、賞金付き「WANTED」な野郎共を追う 「バウンティー・ハンター」に稼業を変えてからのほうが、日本のテレビ番 組で紹介されるくらい有名になった。こんな選手を発掘してくるあたりが国 際プロレスの面目躍如である。 ・日本リーグ争覇戦 統一日本選手権への期待が高まる中、この年の国際プロ最後のシリーズは日 本リーグ争奪戦。国際プロレスおよび全日主力選手(馬場抜き)、フリーの 石川隆士、キム・ドク、日系のディーン・ホー(ディーン・樋口の名で六六 年東京プロレス旗揚げシリーズに参加)、自称日系のプロフェッサー・田中 の参加を得て、予選リーグと決勝トーナメントという形式で行われた。 決勝戦は木村・鶴田戦かと思われたが、準決勝あたりで鶴田は自滅(反則負 け)。結局田中を破った木村が優勝した。 同じ時期新日では「プレ日本選手権」と称する同じようなシリーズを行って いた。優勝者同士が闘えばよいとのマスコミのあおりが効いたのか、国際と 新日の交流の機運が高まる。一一月二五日決勝トーナメント一回戦の日、新 日はストロング・小林、小林邦昭を貸し出し、プレ日本選手権の最終戦国際 は浜口、寺西を貸し出した。 ・・全団体の選手が 八一年に崩壊してしまう国際プロレスが最後に東京蔵前国技館で試合をした のが一一月二五日の土曜日。プレ日本選手権決勝トーナメント一回戦、鶴田 対井上、木村対キム・ドクなどが組まれた。土曜日とあって、この試合は日 本テレビ「全日本プロレス中継」で生中継された。 先にも書いた通り、この試合には新日からストロング・小林、小林邦昭が貸 し出される。当時日本には三団体しかなかったが、この日の蔵前には全団体 の選手が揃ったのである。ストロング・小林の出場は二四日金曜日のテレビ 朝日「ワールド・プロレスリング」の中でも知らされた。結果的に「全日本 プロレス中継」で放映される国際プロレスの試合を新日を放映するテレビ局 が宣伝したことになる。肝心の国際プロレスを放映する東京一二チャンネル (現テレビ東京)は杉浦アナが国際の控え室からモニターを見ながら実況し 、国際プロレスのレスラーたちのインタビューを交えながら二七日月曜日に 録画放映されるという状況であった。一一月最後の週末のテレビプロレスは 国際プロレスを中心に回った。 ・・蔵前空戦絶後の不入り しかし、しかしである。客の入りがめちゃめちゃ悪かった。国際プロレスが 以後蔵前を使わなくなったのは、この日の不入りで自信をなくしたからとし か考えられない。二五日の全日の中継が始まった段階で客の入りが悪いのは すぐにわかった。今の両国国技館もそうだが蔵前にはマス席を仕切る鉄の管 がある。立錐の余地がないくらいに客が入った場合その鉄管は見えないのだ が、この日は鉄管がテレビ中継用の照明に反射してキラキラ光るのである。 状況はさらに悲惨だった。テレビ中継にこんな不入りではみっともないと、 二階の客をリングサイドのテレビに写るところに移動させていたのだ。それ をしていなければ客のまばらさが更に目立ったであろうが、正規の金額でリ ングサイドに座った客を怒らせてしまうというオマケがついた。 ・・日本リーグ争奪戦記録メモ A,B二ブロックにて予選を行う。 上位三名が決勝トーナメントに進出。 予選シード鶴田、大木を加え、八人による決勝トーナメント。 勝二点、時間切れ引き分け二点、両者リングアウト一点 Aブロック タナカ(二一)、桜田(一九)、井上(一六)、ヒト(一四)、 草津(一二)、羽田(一〇)、大熊(八)、梁(〇) Bブロック 木村(二一)、ディーン・ホー(一八)、キム・ドク(一六)、 石川孝志(一五)、浜口(一一)、小鹿(一一)、寺西(六)、鶴見(〇) キム・寺西、寺西鶴見戦結果不明、得点未加算。 ・決勝トーナメント ROリングアウトDQ反則PINピンフォールSUBギブアップ 準々決勝 木村(RO)キム・ドク ホー(RO)石川 *大木棄権により石川が決勝トーナメント進出。 タナカ(DQ)桜田 鶴田(PIN)井上 準決勝 木村(PIN)ホー タナカ(PIN)鶴田 決勝 木村(SUB)タナカ 三位決定戦 鶴田(PIN)ホー ========== 一九七八年一一月二五日 東京・蔵前国技館 四五〇〇人 (日本リーグ争覇戦準々決勝) 四五分一本 木村(一二分三三秒リングアウト) キム・ドク 鶴田(一六分三八秒回転エビ固め) 井上 四五分三一本 桜田、石川(一対一) ホー、タナカ 一本目 桜田(三分二一秒体固め) タナカ 二本目 タナカ(六分一一秒体固め) 桜田 三本目 (二分五〇秒両者リングアウト) 三〇分一本 ストロング・小林(一五分五九秒リングアウト) ヒト 浜口、草津(九分一九秒体固め) 大熊、小鹿 二〇分一本 羽田(一一分〇六秒体固め) 鶴見 寺西(一〇分一八秒原爆固め) 小林邦昭 ========== 全日の最強タッグ参戦にもお断りを食い、国際プロレスは新たな方策を打ち 出しざるを得ない状況に追い込まれた。 ================================================================== 【お知らせ】 プロレス史の勉強会!メンバー大募集 「スネークピットキャラバン(Snakepit Caravan)」 次回は、2006年4月14日(土曜日) 時間:14時30分〜 会場:スネークピット・ジャパン(高円寺) スペシャルゲスト:ザ・グレート・カブキ 「俺が見てきた日米昭和プロレス」 詳しくは、 http://www.uwf-snakepit.com/caravan.html http://www.uwf-snakepit.com ================================================================== 茅野三丸のブログ「プロレス大好き」 このメルマガのご感想、ご質問もブログへ。 http://blogs.yahoo.co.jp/kangyan60/ ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 提携メルマガ 「夕刊プロレス」 小泉悦次も記事を提供しております。 「夕刊プロレス」とは、毎日の試合結果、ニュースに、コラムニストたちの コラムを添えて、お送りするフリーペーパー。投稿コラムも募集中です。あ なたも、プロレスを語りませんか。夕プロは、誰でも上がれるリングです。 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