2007/02/28
国際プロレス・グラフティ 77
================================================================== プロレス大好き - Wrestling As I Like It (略称:プロダイ)2007/2/28(WED) 発行部数188 ================================================================== 国際プロレス・グラフティ リメイク版 Joe Hooker Sr. ●一九七七年 ・概観 七七年の国際プロレスは七つのシリーズを行い、一二月には全日のオープン タッグに 参加した。各シリーズの主要外人は以下の通り。 一月 リップ・タイラー、エディ・サリバン 二から三月 マッドドッグ・バション、ジプシー・ジョー、 ビッグ・ジョン・クイン、クルト・フォン・ヘス、キューバン・アサシン 四から五月 ワイルド・アンガス 六から八月 キラー・トーア・カマタ、ザ・サモアンズ 九から一〇月 ボブ・エリス、アレックス・スミルノフ 一一から一二月 キラー・ティム・ブルックス、ブルドーザー・ビッグベン 木村の持つIWA世界ヘビー級王座に挑戦した選手は以下の通り。 タイラー、アンガス、カマタ、ジョー、井上、エリス、ブルックス ・第六回IWAワールドシリーズ 二月から三月にかけ、七四年秋以来、そして最後のIWAワールドシリーズ が行われた。浜口が凱旋帰国。が、浜口は気合いが空回りしているふうだっ た。 今までのワールドシリーズと違うのはIWA世界タッグ王座争奪トーナメン トを同時進行で行ったこと。このためチャンピオンチームの草津・井上組は 返上させられた。タッグトーナメントに優勝したのは決勝で浜口、寺西組を 破ったクイン、ヘス組。ヘスは新日でショッツとのタッグで闘っていたころ の迫力はなくなっていたものの、いいコンビだった。ところが、決勝戦の翌 日草津・浜口組相手の初防衛戦が組まれ、それに敗けてしまう。いつも思う のだが、王座争奪トーナメントの最終戦に防衛戦が組まれるのはよくない。 そこでタイトルが移動してしまうと何のためのトーナメントだったのかがわ からなくなってしまう。同じことは後に全日、新日でも生じた。 ・・バションの活躍 シングルの方は木村がバションを破って優勝した。が、余り印象に残ってい ない。逆に記憶に鮮明なのがバション・ジョー戦。二人とも通路を通らず客 席をめちゃめちゃにしながら入場してくる。そしてそのまま喧嘩に突入。何 が何だかわからないうちに闘いは進行していくが、大迫力の激闘に観客席か らはヤンヤの声援。こちらもブラウン菅に引き込まれる。バション、ジョー お互いにとって日本でのベストバウトはこの試合であろう。 バションは対キューバン・アサシン戦では、アマレス出身のテクニックを存 分に見せいかにも「効いているな」と思わせるコブラツイストで仕留めた。 九〇年頃新日によく来ていたバズ・ソイヤー、彼は客を沸かせることがで き、その背景にきちんとしたテクニックをもつということにおいて、バショ ンの後継者といえた。しかし、若くしてこの世を去った(今生きていてもま だ四〇代)。私が現在のプロレス界に感じる寂しさのひとつは、バション・ ソイヤー型のレスラーがいないことである。 ========== 一九七七年三月二六日 東京・蔵前国技館 八二〇〇人 (第六回IWAワールドシリーズ決勝) 六〇分一本 木村(一六分〇九秒逆えび固め)マッドドッグ・バション (IWAタッグ) 六一分一本 草津、浜口(二対一)クルト・フォン・ヘス、ビッグ・ジョン・クイン 一本目 ヘス(一二分五九秒体固め)浜口 二本目 日本組(三分〇五秒反則)外人組 三本目 浜口(二分三四秒体固め)ヘス *タイトル移動 (ワールドシリーズ公式戦)井上(一五分二〇秒両者カウントアウト) ジプシー・ジョー 三〇分一本 寺西(一一分四四秒体固め)ジャック・クレイボーン 杉山(一一分四一秒片えび固め)キューバン・アサシン一号 剛(八分四〇秒逆えび固め)キューバン・アサシン二号 二〇分一本 田中、大位山(一三分〇八秒体固め)稲妻、奄美 鶴見(八分五〇秒体固め)ムラサキ 一五分一本 米村(四分二〇秒逆えび固め)若松 ========== ・ヒゲの阿部 国際プロレスレフェリーといえば阿部修。力道山時代の選手で豊登・猪木の 東京プロレスではレフェリー、そして国際プロレスに流れてきていた。彼の トレードマークは髭と反則を警告するホイッスル。外人が反則をやめない と、耳元で大きな音で「ピィーッ!」。外人は耳を押さえて「ナンダヨ ー。」といやな顔をしながら阿部の顔を見る。ワンパターンだがおもしろか った。そういえばかつての全女の名物レフェリーも阿部四郎。「阿部レフェ リー」は個性派が多い? その阿部修レフェリー、夏の参議院議員選挙に全国区から立候補。国際、新 日、全日の三団体とコメディアンの大村昆が応援したが、落選。それととと もにプロレス界からも姿を消す。 ・ミスター・ヒト 元日本プロレスでカルガリー在住のミスター・ヒト(安達勝治)が一時帰 国、カマタとのタッグで暴れた。リング外では国際プロレスとカルガリーの スチュ・ハートの間に立って力を尽くした。前年暮れは全日に帰国、小鹿相 手にラフファイトで暴れまくったが、彼自身、国際プロレスのほうが合って いるように思う。 ・流血大王 カマタというのは鎌田さんということか。七五年から七七年までの足掛け三 年という短い期間であったが、カマタもまた「国際外人」であった。 カマタはアメリカではレスラー仲間も含めて本当に日本人だと思われていた らしい。我々が「来日」と呼んでも、アメリカでは「里帰り」と判断されて いたわけだ。実際はサモア人である。まあ、同じモンゴロイドではあるが。 カマタの得意技が何だったか、余り記憶にない。やたらと流血し、勝率もマ アマアといった位だ。以後七七年まで木村のライバルとして客席を沸かし、 七八年より全日に主戦場を移す。 ・・吉原社長って 七八年、カマタは全日、国際両団体からオファーを受けた。ファイトマネー は全日の方が多かったが、今までの恩義もあり吉原に相談。吉原は快くカマ タの移籍を受け入れ、そればかりでなくカマタがタイトルに挑戦できるよう 取り計らった。この世に社長と呼ばれるご仁は星の数ほどいるが、移籍する 社員の移籍先での扱いにまで世話を焼く社長の話なんて聞いたことがない。 カマタは期待に応え、馬場のもつPWFヘビー級タイトルを初挑戦で奪取 (反則勝ちではあったが)。吉原はおそらく自分のことのように喜んだであ ろう。そういえば吉原は出世しすぎて自分のところで使えなくなったアンド レについても嬉しく思っていたという。が、このスタンスは人間としては良 くても、多くの人とその家族の生活を支える「社長」としてはどうだろう。 あとは個人の人生観の問題だ。 「天はすべてを照らすが支配せず。」吉原の言葉である。今だ自分のジムに 吉原の写真と色紙をかざる闘将アニマル・浜口は「私は吉原さんに拾われ た。吉原さんは決して忘れてはならない人だ。給料が遅れたとか出なかった とかいうことは今となっては”へ”みたいなものだ。」と語る。 浅草にあるアニマル浜口トレーニングジムには今も吉原社長の、たった一言 「和」と書かれ色紙が飾られている。愛娘京子ちゃんの大活躍の種を最初に 蒔いたのは吉原社長なのかもしれない。 ・ボブ・エリス ボブ・エリスは覆面レスラー「ザ・グラップラー」として来日。開幕戦で自 ら覆面を取り、正体を公開。元WWA(ロスにあった団体)世界ヘビー級チ ャンピオン。それまで二度の日プロへの来日では真価が発揮できなかった。 この来日ではじめてエースとしての扱いを受けるものの、すでに歳を取り過 ぎていた。 ザ・グラップラーが正体を公開したことでとばっちりを受けたのがアレック ス・スミルノフ。というのは本来なら彼がIWA世界ヘビー級王座に挑戦す るところだったからだ。しかしスミルノフは次年度以降、国際外人のトップ の座に君臨する。 ・ブルックスとベン ともに狂暴派のレスラー。キラー・ティム・ブルックスはその後全日、新日 のリングにも上がる。新日にいた田中リングアナも言っていたが、ブルック ス、眼がきれいなのである。 ブルドーザー・ビッグベンは巨漢で馬力が売り物のレスラー。来日を重ねて いれば人気も出たろうがこれ以降日本には来なかった。 この二人は一一月末から一二月初めにかけ全日との対抗戦ツアーにも帯同。 その日対抗戦が組まれなかった国際の選手と闘った。同シリーズには全日が ブッキングしたビル・ロビンソン、ジム・デュランも参加したが、その日対 抗戦が組まれなかった全日の選手と闘ったのみなので、国際の来日メンバー とはいえまい。よってコメントは差し控える。 ・全日との対抗戦とオープン・タッグ この年の最後のシリーズは約一週間にわたる全日との対抗戦ツアーであっ た。団体戦として勝敗を競うかたちで進行していき、僅差で全日が勝ったん じゃなかったかと思う。木村と鶴田の因縁、馬場・草津の初対決で売ったが 盛り上がりは今ひとつだったような記憶がある。 引き続き行われたオープンタッグは二年前に行われたオープン選手権のタッ グ版。「最強タッグ」の前身である。「オープン」であるものの新日は参加 してこなかった。 国際プロレス関係では、木村・草津組が参加。ロビンソン、ホフマン組に勝 つ金星が光る。また井上は全日の高千穂と越境コンビを結成。天龍・羽田組 と引き分けた。蔵前国技館のザ・ファンクス対ブッチャー、シーク組の感動 のフィナーレでシリーズは終わった。結局企画、戦力ともに全日に差をみせ つけられた。もっとも吉原としては張り合うつもりはなかったであろうが。 ========== 一九七七年一二月一五日 東京・蔵前国技館 一二〇〇〇人 (オープンタッグ公式戦)四五分一本 ドリー・ファンク・ジュニア、テリー・ファンク(一四分四〇秒反則) アブドラ・ザ・ブッチャー、ザ・シーク 馬場、鶴田(一三分三九秒体固め)キム・イル、キム・ドク ザ・デストロイヤー、テキサス・レッド(一四分一六秒回転エビ固め) マイティ・井上、高千穂 三〇分一本 ビル・ロビンソン(一二分一四秒体固め)グレート・草津 ホースト・ホフマン(一四分四五秒体固め)サムソン・クツワダ 天龍、羽田(二一分二七秒体固め)大熊、小鹿 二〇分一本 伊藤(一三分二八秒体固め)渕 一五分一本 百田(八分五七秒逆さ押え込み)大仁田 ========== ・原の入団 暮れも近くなるころラグビー社会人近鉄の原進(後の阿修羅原)が入団し た。ラグビー全日本軍がオールイングランドと引き分けたときのメンバーで ある(詳しくは大西鉄之祐「荒ぶる」(岩波新書)を参照されたい)。他の スポーツから国際プロレス鳴り物入りで新人が入るのははじめてのことでち ょっとした社会的話題にもなった。 ================================================================== 【お知らせ】 プロレス史の勉強会!メンバー大募集 「スネークピットキャラバン(Snakepit Caravan)」 次回は、2006年3月3日(土曜日) 時間:13時30分〜 会場:スネークピット・ジャパン(高円寺) スペシャルゲスト:菊池孝氏、門馬忠雄氏 「もう、ここまで来たら話します。」 費用:会員 7000円、一般 8000 円(キャンペーン価格) 詳しくは、 http://www.uwf-snakepit.com/caravan.html http://www.uwf-snakepit.com ================================================================== BSジャパンからのお知らせ プロレスファンのみなさまへ こんなマニアな番組をつくりました。 ぜひごらんください。 「崩壊から26年 国際プロレス 東京12チャンネル放送史」 (仮タイトル) 出演 菊池孝、門馬忠雄、竹内宏介、流智美、他。 2/28 22:42〜、3/3 24:30〜(再) 30分番組 (チューナーが必要です) BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/index.htm ================================================================== 茅野三丸のブログ「プロレス大好き」 このメルマガのご感想、ご質問もブログへ。 http://blogs.yahoo.co.jp/kangyan60/ ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 提携メルマガ 「夕刊プロレス」 小泉悦次も記事を提供しております。 「夕刊プロレス」とは、毎日の試合結果、ニュースに、コラムニストたちの コラムを添えて、お送りするフリーペーパー。投稿コラムも募集中です。あ なたも、プロレスを語りませんか。夕プロは、誰でも上がれるリングです。 http://www.mag2.com/m/0000002840.html ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 提携ホームページ 「ショルダー2002」 http://homepage3.nifty.com/inoki~bom-ber_/index.html 「ミック博士の昭和プロレス研究室」 http://drmick.at.infoseek.co.jp/proresu/top.htm 「オールドファン 集まれ !」 http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Kaigan/7217/old_fan.html ================================================================== 「プロレス大好き」は主にプロレス史の叙述を目的とした、メールマガ ジンです。NWA(Nazenara Watashiha Ahonanoyo)というグループに加盟 した執筆者達が書いた原稿を、茅野三丸がまとめております。転載、引 用の際には、必ず、当メールマガジンが出典であることをお断り下さい。 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000217079.html



