2007/02/14
国際プロレス・グラフティ リメイク版1975
================================================================== プロレス大好き - Wrestling As I Like It (略称:プロダイ)2007/2/14(WED) 発行部数180 ================================================================== 国際プロレス・グラフティ リメイク版 Joe Hooker Sr. ●1975年 ・AWAとの提携一旦休止 この年から国際プロレスに来る外人の顔ぶれがガラリと変わった。AWAと の提携が破棄されたという公式発表はしなかったものの、選手が来なくなっ た。おそらくガニアが要求する高額なブッキング料を払うのがあほらしくな ったのであろう。 参加外人の顔ぶれは北米大陸の3団体(NWA、AWA、WWWF)からは ずれた、いわば「インディー」。以後の国際プロレスのイメージはそれら外 人とラッシャー・木村がつくっていった。遣唐使の廃止が我が国の文化を唐 風から固有のものを作っていく契機であったように、AWAとの提携一旦休 止は「これぞ国際プロレス!」というイメージを形作るにいたる。「わびと さびのプロレス」、音楽にたとえると演歌の世界。演歌といっても、テレビ に出る大御所のそれではなく、入場料1000円の通天閣劇場の歌姫・叶麗 子の世界である。ラッシャー・木村も小畑千代もそこにぴったりとはまる。 ラッシャーのマイクパフォーマンスの味はこの時代に培われたものであろ う。 ・渋い参加外人達 この1年間の主な参加外人をあげる。 1、2月 イギリスからダニーとブッチャーのリンチ兄弟。 3、4月 マッドドッグ・バション。 5、6月 キラー・トーア・カマタとイギリスのテクニシャンのジェフ・ポーツ。 6、7月 ビッグ・ジョン・クイン。 9、10月 ジプシー・ジョー。 11、12月 カナダのタッグチーム、ザ・コンバット(マイク・マーテル、ピエール・マ ーチン)。マイク・マーテルはリック・マーテルの実の兄。渋いタッグチー ムだった。 ここにあげたメンバー、ポーツ、クインを除くと皆、金網が似合う「国際外 人」(国際プロレスがよく似合う外人という意味=私の造語)だ。以後78 年まで多少の新規参入はあるもののこのメンバーで回していく。 ・「放浪の殺し屋」ジプシー・ジョー 「国際外人」といえば、何たってジプシー・ジョー(この年9月初来日)。 81年の崩壊まで、ジョーは国際のリングでひたすら暴れた。 ジョーの得意技はコーナーポスト最上段からのニードロップ。ただ飛び降り るのではなく、最上段から更にジャンプしてから急降下するのが他と違い迫 力があった。金網デスマッチで金網の最上段から飛び降りたのは私の記憶で は彼が初めてだと思う。で、何といってもジョーといえば「イス」。イスで 叩かれるのを売り物にしていたレスラーなんて他にはいない。相手のイス攻 撃を背中で受け続け、しまいにはイスのパイプ方がアメのように曲がってし まい対戦相手があきれる。この場面、私は何度見たかわからない。 ・IWA王座交代 マイティー・井上にIWA世界ヘビーのベルトは重すぎた。4月10日、バ ションとの防衛戦に失敗。9日後ラッシャー・木村がバションから王座奪 取。落ち着くべきところに落ち着いた感じ。73年頃から実質木村が国際プ ロレスを引っ張っていたが、ここで名実共に木村時代が始まる。その後木村 はカマタ、井上、クイン、ジョー、マーチンを相手に防衛を続ける。 ・スエオの背中は流したくない 前チャンピオンの権利で木村の王座は井上が挑戦した。78年までの間に3 回行われるが、すべて木村の防衛に終わる。第1戦は75年の梅雨の時期に 後楽園ホールで行われた。客席にはジャンボ・鶴田の姿もあった。 「スエオ」というのはマイティー・井上の本名、井上末雄のこと。たしか2 度目の対決だったと思うが、試合前のインタビューで木村がボツリといった 言葉だ。 相撲の世界では番付の高い順に風呂に入る。関取は付き人に背中を流させ る。井上に敗れ位を下げたくない、ということを木村流にのべるとこの言葉 になる。 ・全日のオープン選手権に参加 秋になって全日がオープン選手権の開催を発表した。これはその名の通り門 戸を解放し、広く参加を募るというシングルの選手権大会。優勝者には旧日 本プロレスから伝統のワールドリーグ優勝トロフィーガ贈呈されることとな った。 「門戸解放」とは再三挑戦宣言をする猪木に対する馬場の返答。「まあ、参 加してこないであろう。」ということを見込んでのこと、である。 全日と友好関係にあった国際プロレスは木村、草津、井上の参加を表明し た。10月30日、蔵前で行われていた全日の興業(馬場・大木戦、鶴田・ ブッチャー戦)に乗り込み参加の挨拶。ブッチャーと目があった木村は一触 即発の睨み合い。それはオープン選手権への因縁造りの始まりであった。 参加外人は豪華を極めた。AWAのバロン・フォン・ラシク、ホースト・ホ フマンは吉原が全日にブッキングした、という形だった。これを機会にAW Aの選手は全日に流れる。 ・オープン選手権でのラッシャー 10月に因縁のできたブッチャーとの対決が大荒れの両者リングアウト。そ れが後日の馬場戦に尾を引く。馬場との対決は両者場外にもつれ込んだとこ ろでブッチャーが乱入。馬場、木村と乱闘を繰り広げるうちに、ちゃっかり 馬場がリングに帰還。で、馬場のリングアウト勝ち。これにはリングサイド にいた吉原激怒。レフェリーに詰め寄るが判定は変わらず。 アメリカ修業時代NWA世界ヘビー級チャンピオンで、カンザス州で挑戦し たとされる(注1)ドリー・ファンク・ジュニアとはピンフォールによる実 力負け。 馬場、ドリー、ブッチャー、そして木村。90年代前半の全日のリング上で も「楽しいプロレス」で顔を合わせた彼ら。しかし当時は「激しいプロレ ス」であった。 (注1)実際は、ミズーリ州セントジョセフでのテレビマッチ。 70年2月21日のことである。 ・沈黙の木村 こんな話がある。ドリーに挑戦したアメリカ修業から日本に帰国する際、木 村は偶然にも馬場と飛行機が同じになる。回りの人のはからいでか、席も隣 り合わせになるが、大先輩でしかも団体が違う馬場に対して、木村は何も話 しかけられず黙ったままだったという。 また、吉原社長が木村を飲みに連れていった際にも、 吉原:「木村、飲め。」 木村:「ごっつぁんです。」 これだけで一夜を明かした。 後に、マイクを持った彼の姿と見比べてほしい。 ・オープン選手権での草津 草津の試合で注目を浴びたのが対ザ・デストロイヤー戦。ともに足四の字固 めを得意としており「四の字合戦」が期待された。しかし、共に不発で結局 デストロイヤーがフォール勝ちした。草津の四の字、ギブアップした対戦相 手が足をほどかれて数秒後には元気に立っているというなかなか情けないも のであった。ヨーロッパ系レスラーと闘うときによく出していた。オープン 選手権での草津の成績は大したことはなかった。 ・オープン選手権での井上 井上の試合で記憶に残っているのが対鶴田戦。30分時間切れ引き分けだっ た。「将来の日本のエース決定戦」のような騒がれかたをしたんだと思う。 シリーズ中、「力道山十三回忌追善試合」が行われた(注2)。そこに井上 の晴れ舞台が用意された。 −−−−−−−−−− NWA世界ジュニアヘビー級タイトルマッチ 60分3本 (C)ヒロ・マツダ対マイティー・井上 −−−−−−−−−− マツダは国際プロレス創立時メンバーで、井上がプロレスに入門した頃のエ ースである。場所は日本武道館。恩返しなるかと期待されたが、惜しくも1 対2で敗れた。 ・対抗戦はイメージダウン? 全日との交流について、テレビ放映局の東京12チャンネルはいい顔しなか ったという。メインエベンターが他団体の選手に敗れることがイメージダウ ンだとして。しかし吉原は突っぱねた。国際プロレスの選手を少しでも有名 にするために。 (注2)この日は全日・国際連合軍と、新日本との興行合戦となった。 1975年12月11日 東京・日本武道館(日本、国際、全日本合同興行) 14500人 力道山13回忌追善合同大試合 六〇分三本 馬場、デストロイヤー(2対1) 鶴田、ドリー 1本目デストロイヤー(13分56秒体固め) ドリー 2本目鶴田(2分27秒片エビ固め) デストロイヤー 3本目デストロイヤー(5分29秒エビ固め) 鶴田 (NWA世界ジュニアヘビー級) 六〇分三本 マツダ(2対1) 井上 1本目マツダ(11分49秒片エビ固め) 2本目井上(3分29秒体固め) 3本目マツダ(12分18秒エビ固め) 時間無制限1本 大木(5分45秒両者リングアウト) ブッチャー 三〇分一本 木村(11分05秒逆エビ固め) ラシク ジョナサン(10分49秒体固め) クツワダ オコーナー、レスリング(時間切れ引き分け) マードック、ローデス ヘーシンク(9分40秒首固め) マンテル 百田、駒(13分05秒リングアウト) 鶴見、米村 一五分一本 伊藤(9分20秒体固め) 渕 (バトルロイヤル決勝) 桜田(8分49秒体固め) 高千穂、浜口 東京・蔵前国技館(新日本プロレス) 12000人 (NWFヘビー級) 六〇分三本 猪木(1対1) ロビンソン 1本目ロビンソン(42分53秒逆さ押さえ込み) 2本目猪木(16分19秒卍固め) 3本目(時間切れ引き分け) 四五分一本 星野、坂口(10分57秒回転エビ固め) グレッグ・バレンタイン、リッキー・ハンター 三〇分一本 小林(8分57秒逆エビ固め) イワン・カラマゾフ ベアキャット・ライト(5分13秒体固め) 永源 二〇分一本 小鉄(13分20秒首固め) 小沢 イワン・ゴメス(11分22秒腕固め) 藤原 柴田(9分10秒エビ固め) 木村 一五分一本 大城(時間切れ引き分け) 荒川 ================================================================== 【お知らせ】 プロレス史の勉強会!メンバー大募集 「スネークピットキャラバン(Snakepit Caravan)」 次回は、2006年3月3日(土曜日) 時間:13時30分〜 会場:スネークピット・ジャパン(高円寺) スペシャルゲスト:菊池孝氏、門馬忠雄氏 「もう、ここまで来たら話します。」 費用:会員 7000円、一般 8000 円(キャンペーン価格) 詳しくは、 http://www.uwf-snakepit.com/caravan.html http://www.uwf-snakepit.com ================================================================== BSジャパンからのお知らせ プロレスファンのみなさまへ こんなマニアな番組をつくりました。 ぜひごらんください。 「崩壊から26年 国際プロレス 東京12チャンネル放送史」 (仮タイトル) 出演 菊池孝、門馬忠雄、竹内宏介、流智美、他。 2/28 22:42〜、3/3 24:30〜(再) 30分番組 (チューナーが必要です) BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/index.htm ================================================================== 茅野三丸のブログ「プロレス大好き」 このメルマガのご感想、ご質問もブログへ。 http://blogs.yahoo.co.jp/kangyan60/ ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 提携メルマガ 「夕刊プロレス」 小泉悦次も記事を提供しております。 「夕刊プロレス」とは、毎日の試合結果、ニュースに、コラムニストたちの コラムを添えて、お送りするフリーペーパー。投稿コラムも募集中です。あ なたも、プロレスを語りませんか。夕プロは、誰でも上がれるリングです。 http://www.mag2.com/m/0000002840.html ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 提携ホームページ 「ショルダー2002」 http://homepage3.nifty.com/inoki~bom-ber_/index.html 「ミック博士の昭和プロレス研究室」 http://drmick.at.infoseek.co.jp/proresu/top.htm 「オールドファン 集まれ !」 http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Kaigan/7217/old_fan.html ================================================================== 「プロレス大好き」は主にプロレス史の叙述を目的とした、メールマガ ジンです。NWA(Nazenara Watashiha Ahonanoyo)というグループに加盟 した執筆者達が書いた原稿を、茅野三丸がまとめております。転載、引 用の際には、必ず、当メールマガジンが出典であることをお断り下さい。 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000217079.html


