2007/02/09
ザ・グレート・カブキ凱旋
========================================================== プロレス大好き - Wrestling As I Like It (略称:プロダイ)2007/2/9(FRI) 発行部数176 ========================================================== タ・カ・チ・ホ・ハ・ル・カ リメイク版 Joe Hooker Sr. ●「転」 80年代 その2 ・ザ・グレート・カブキ凱旋 ・・ザ・グレート・カブキ「初来日」 83年になって、カブキ、今度は「スター」として凱旋帰国。当 時は全日、新日の2団体の時代だが、後楽園ホールは試合開始3 0分前ならば当日券が買えた。ところが帰国第1戦の後楽園ホー ルは1時間前には札止め。この私も入れなかったクチだ。 暮になっての「最強タッグ」優勝戦。場所は蔵前国技館。カブキ はダブルメインエベント第1試合でリック・フレアーのもつNW A世界ヘビー級タイトルに挑戦するという大抜擢。 が、内容的には見るものはなかった。カブキの 「ダブルブリッジ」失敗で失笑を買うなんていうオマケもつい た。結果はカブキの反則勝ち。 この日のダブルメインエベント第2試合は鶴田、天龍組対ハンセ ン、ブロディ組の最強タッグ優勝戦。バリー・ウインダムが初来 日だった。 ・・カブキへの不満 「東洋の神秘カブキ」。エキゾチックな音楽で入場、ヌンチャク のパフォーマンスと毒霧。ファンに受け入れられたことになって いるが私には欲求不満。いくら試合に勝っても 「プロレスを見た。」という気にならないのだ。「正拳突き」な んて単なるボディへのパンチにしか見えなかったし、それでフォ ールをとっても説得力を感じなかった。 ・・ピューッと噴血ショー しかしながら、高千穂がカブキになってから、納得させられた場 面は何度かある。 85年、当時の全日には長州率いるジャパンプロレス勢がリング に上がっていたが、6人タッグか何かでカブキ額を割られたとき のこと。血が噴水のように「ピューッ!」と吹き出る不気味な光 景。93年維震軍の一員として新日に出たときにも、また、その 後もしばしば使われた「技」だ。私はなぜか、この場面に 「プロレス」を感じ、そこにいるカブキに「プロ」を感じた。 ・カブキ、日本に定着 ・・強いカブキ 87年長州軍全日離脱とともに、「天龍革命」勃発。全日のメイ ンストリームは全日正規軍対天龍同盟の抗争となる。88年ブロ ディが不幸な死を遂げたこともあって、「外人天国」といわれた 全日のリングは日本人対決主体と変わっていく。 そんな中で行われた89年秋、後楽園ホールでの鶴田、カブキ組 対天龍、冬木組戦。試合のほうは一進一退の攻防にみえたが、基 本的にはカブキ組のペース。結局天龍組は敗れる。いくらあがい てもカブキ組の手のひらの上でもがく孫悟空でしかなかった。こ の日、カブキは「高千穂」だった。ちなみにこのシリーズ中カブ キはまだ新人だったケン・ウェイン・シャムロックから腕ひしぎ 逆十字でギブアップを奪っている。 ・・UWFへの意地 89年のヒット商品、それはUWF。世論、マスコミは 「UWF最強説」。ここでカブキが一言。 「プロレスラーは皆自分が一番強いと思っている。 軽々しく俺が最強だなんていうもんじゃない。」 この年の秋全日に来たシャムロックを腕ひしぎ逆十字でギブアッ プさせたこと、これはカブキなりのUWFへの答えなのかもしれ ない。 ・・80年代後期、アメリカのプロレスに転機が訪れた。 話は前後するが、日本とアメリカを行き来していたカブキが日本 に定着したのは85年夏以降である。当時全日のリング上では、 長州率いるジャパンプロレス軍が我がもの顔でのし歩いていた。 選手が多くなりすぎて、カブキの出る幕もないかと思われたが馬 場はカブキを呼び戻した。長州らを全日に取られた新日は、坂口 をダラスに派遣。カブキ引き抜きにかかる。それを阻止するため に馬場はカブキを帰国させたのだ。ちなみに、同じように声をか けられたケンドー・ナガサキは全日から新日に移っていった。 80年代後半、アメリカプロレスに転機が訪れる。NWAの実質 的な崩壊だ。これもカブキの日本定着を促進した。 NWAというのは団体ではなくプロモーターの連合体。ところが 各地区の主要プロモーションが次々に店をたたむ。原因はプロレ ス人気の全体的な低下とそれに伴うレスラーの収入ダウン、 廃業。さらに、WWFの他地区進攻。NWAの一有力プロレスモ ーションであったクロケットプロはテレビ王テッド・ターナーの ものとなり、WCWと名を変えた。そしてWCWはNWAを 脱退。もっともNWAは実質的にすでに存在していなかったが。 ・・「背広組」と「現場組」 プロレス界には「背広組」、「現場組」という言葉がある。 「背広組」というのは、レスラーを体験していないプロモータ ー。ビジネスライクに事を進めるものの、レスラーの気持ちが理 解しきれないゆえのトラブルも生じうる。かつての新間氏 (新日)なんてさいたるものである。「現場組」とは文字通り、 レスラー上がりのプロモーター。時としてはプレイング・マネー ジャー。レスラーの気持ちをよく理解し、マニア好みのプロレス を作ることができるものの、ビジネス面に弱点をもつこともあ る。長州力は「現場組」でありながらビジネスにたけている、今 時珍しい例外であろう。彼と元週刊プロレスのターザン・山本と の対立も「現場組」と「背広組」とのそれである、という見方も できる。 80年代後半に店をたたんだ各地区プロモーターはそのほとんど が「現場組」であった。リングの上ばかりみていて、時代の波に 乗り遅れたというべきであろう。 「ミュージッシャンズ・ミュージッシャン」という言葉がある。 ミュージッシャンに受けるミュージッシャン。その言を帰れば高 千穂=カブキは「レスラーズ・レスラー」。つまり、観客よりも 仲間に受けてしまうレスラー。「現場組」には受けるが 「背広組」には今ひとつ受けない。アメリカの地区ごとのプロモ ーションが店じまいし、「現場組」から「背広組」に実権が移っ ていった80年代後期、カブキが今だ「現場組」が実権をもつ日 本をホームリングにしたのは当然のことかもしれない。 この頃「背広組」に受けてブレイクしたのが「カブキの息子」と して売り出したグレート・ムタ。プロモーターサイドで 「現場組」から「背広組」に実権が移ったとき、スターの座も親 から子どもに受け継がれた。カブキ・ムタの親子関係はプロレス 史的にみても象徴的な関係なのだ。 日本のプロレス組織は今だ「現場組」優位である。これは時代遅 れのことなのか。いや、そうではないと思う。日本には究極の 「現場組」の組織、「日本相撲協会」がある。日本における 「現場組」優位は風土的必然で、「背広組」がグローバルスタン ダードなわけではない、と私は考える。 ・・米国にもシリーズあり 結局、カブキは日本に定着した。その理由は以上述べてきた通り だが、もう一つ付け加えたい。それは、日本のシリーズを終え、 アメリカのサーキットに合流しようにもタイミングが合わなくな ってしまったということ。敷衍しよう。 日本には3〜5週間を単位とする「シリーズ」というものがあっ た。この頃の米国も3ヶ月をワン・クールとしてマッチメークを 組んでいくというシステムができていた。曜日ごとに毎週同じ年 を回っているようでも、ストーリーの「始まり」と「終わり」を 決めていたのだ。そのクールに途中から入り込むと、 「いいとこ」をやれず、格、そしてファイトマネーにも影響して しまう。 日本のシリーズが終わって、アメリカに行っても「クール」の途 中になってしまう。次のクールを待つくらいなら、日本の次のシ リーズに参加した方がよい。というわけで結局日本に定着するこ とになったという。参考までに、キム・ドクはワン・クールが2 ヶ月だったと証言している。時期や場所で違いがあるのかもしれ ない。 ================================================================== 【お知らせ】 プロレス史の勉強会!メンバー大募集 「スネークピットキャラバン(Snakepit Caravan)」 次回は、2006年3月3日(土曜日) 時間:13時30分〜18時近く 会場:スネークピット・ジャパン(高円寺) スペシャルゲスト:菊池孝氏、門馬忠雄氏 「もう、ここまで来たら話します。」 費用:会員 7000円、一般 8000 円(キャンペーン価格) 詳しくは、 http://www.uwf-snakepit.com/caravan.html http://www.uwf-snakepit.com ================================================================== BSジャパンからのお知らせ プロレスファンのみなさまへ こんなマニアな番組をつくりました。 ぜひごらんください。 「崩壊から26年 国際プロレス 東京12チャンネル放送史」 (仮タイトル) 出演 菊池孝、門馬忠雄、竹内宏介、流智美、他。 2/28 22:42〜、3/3 24:30〜(再) 30分番組 (チューナーが必要です) BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/index.htm ================================================================== 茅野三丸のブログ「プロレス大好き」 このメルマガのご感想、ご質問もブログへ。 http://blogs.yahoo.co.jp/kangyan60/ ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 提携メルマガ 「夕刊プロレス」 当メルマガ執筆者の一人、小泉悦次も記事を提供しております。 「夕刊プロレス」とは、毎日の試合結果、ニュースに、コラムニストたちの コラムを添えて、お送りするフリーペーパー。投稿コラムも募集中です。あ なたも、プロレスを語りませんか。夕プロは、誰でも上がれるリングです。 http://www.mag2.com/m/0000002840.html ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 提携ホームページ 「ショルダー2002」 http://homepage3.nifty.com/inoki~bom-ber_/index.html 「ミック博士の昭和プロレス研究室」 http://drmick.at.infoseek.co.jp/proresu/top.htm 「オールドファン 集まれ !」 http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Kaigan/7217/old_fan.html ================================================================== 「プロレス大好き」は主にプロレス史の叙述を目的とした、メールマガ ジンです。NWA(Nazenara Watashiha Ahonanoyo)というグループに加盟 した執筆者達が書いた原稿を、茅野三丸がまとめております。転載、引 用の際には、必ず、当メールマガジンが出典であることをお断り下さい。 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000217079.html


