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「プロレス大好き」は主にプロレス史の叙述を目的とした、メールマガジンです。NWA(Nazenara Watashiha Ahonanoyo)というグループに加盟した執筆者達が書いた原稿を、私、茅野三丸がまとめております。

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2007/01/19

タ・カ・チ・ホ・ハ・ル・カ 70年代 その2

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プロレス大好き - Wrestling As I Like It
(略称:プロダイ)2007/1/19(FRI) 発行部数155
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タ・カ・チ・ホ・ハ・ル・カ リメイク版 Joe Hooker Sr.

●「承」 70年代 その2

・高千穂、全日に合流

・・日プロ崩壊と全日合流後の高千穂

73年4月力道山が生み、高千穂、永源の所属する日本プロレスが崩壊す
る。

高千穂は日プロ最後のシリーズで、キラー・カール・クラップを相手にUN
王座(今全日にある三冠王座のひとつ)を防衛するものの、同王座は日プロ
崩壊により一旦消滅。日プロ所属の9人は全日に合流。夏のシリーズからリ
ングに復帰するが、日プロ残党組は特にマッチメーク面で全日に冷遇され
た。私が、「外様」という言葉がプロレス用語にもなると知ったのはこのと
きのことである。

とはいうものの、高千穂はサムソン・クツワダとの「オーストラリア遠征コ
ンビ」でテレビマッチ出場の機会も多く、まだ救われていた部類だ。マスカ
ラス、マードックといった一流外人の輝きをさらに光らせていたのも彼だっ
た。

・・力道山13回忌追善興業とオープン選手権(75年)

75年という年は故力道山の13回忌にあたる。百田家(力道山家)は13
回忌追善興業を企画、力道山のいる全団体に参加をよびかける。それに応じ
たのが全日、国際、日本(興業能力はないが、組織は存在しているとされ
た。所属選手は大木金太郎。高千穂はどっちだったんだろう?)、拒否した
のがその日蔵前で猪木・ロビンソン戦を予定していた新日。結局追善興業
は「ババ抜き」ならぬ「猪木抜き」で、全日のシリーズ「オープン選手権」
に参加していた外人も加えて行われた。今、力道山関係のイベントが猪木主
体で行われていることを考えれば隔日の感がある。

オープン選手権というのは全日が門戸を開放し、世界一を決めようというシ
リーズ。「開放」の対象には新日も含まれるが、新日はすでにシリーズを組
んでおり、まず参加してこないであろう、という目論見はあった。いざ、参
加してきてもレイス、マードック、ウッヅ、ジョナサン、ホフマン、ラシク
ら、馬場派シューターを猪木にどんどん当て、怪我→リタイアにもっていく
陰謀が全日の側にあった。それが読めない猪木ではない、というわけで当然
不参加。

ともあれ、このオープン選手権は空前絶後の豪華シリーズであった。シリー
ズ中、マツダ・高千穂組なんていう、涙がちょちょぎれるような渋いタッグ
も結成された。

・・UNヘビー級のタイトルの復活

76年夏のNWA総会で高千穂がかつて持っていたUNヘビー級のタイトル
の復活が決まった(ことになっている)。争奪戦は全日の「ブラックパワー
シリーズ」中に行われることとなる。

この年の「ブラックパワーシリーズ」は、そのネーミング通りボボ・ブラジ
ルをエースとするシリーズ。地方では、まだブラジルの神通力は効くもの
の、大都市では心細い。てなわけで、シリーズのクライマックス日大講堂の
カードは、ザ・デストロイヤー対スーパー・デストロイヤーの「覆面十番勝
負」とUN王座決定戦、日本代表ジャンボ・鶴田対アメリカ代表ジャック・
ブリスコ。前チャンピオン高千穂はこの試合のセコンドに淡々とした面持ち
でついている。実際のところどんな気持ちでセコンドについていたかは知る
由もない。

・・高千穂、シリーズ開幕戦のメインで鶴田とシングル

その日をさかのぼるおよそ2週間前、「ブラックパワーシリーズ」の開幕
戦、メインのカードは60分1本勝負でジャンボ・鶴田対高千穂明久。試合
のほうは鶴田が勝つが、「ただではチャンピオンにはさせないぞ」という前
チャンピオンの意地を、おそらく観客にはわからないように鶴田の体の芯に
染み付けたと思われる。いや、そうに違いない。

ちなみに、この試合は当初「UN王座争奪戦日本代表決定戦」といった肩書
であったが、高千穂のほうからその肩書をはずしてほしいという申し入れが
あり、単なるシングルマッチとなったという。しかし、「旧日プロ対全日プ
ロ」という舞台設定を嫌ったのは高千穂でなく馬場なのかもしれない。だと
すると前チャンピオンの権利が全く考慮されてないことになり、やはり「外
様に厳しい馬場」である。NOAH設立より前の、主力レスラーの全日離脱
は天龍を除いてすべて「外様組」だ。いずれにせよ鶴田が日本代表というの
は既定の方針だったのであろう。

・永源、新日に合流

・・永源、帰国へ

永源は日プロ崩壊時、アメリカカンザス地区を中心に暴れていた。海外に出
ていた日プロ所属選手も全日へ、ということになり、いくらかの契約金が日
本テレビによって支払われたという話を聞いたことがある。その金を受け取
らなかったのか、または返したのかは知らないが永源は帰国後新日のリング
に上がる。永源がアメリカにいたのは1年にも満たなかった。

さて、スタイル的には猪木と「水と油」の永源がなぜ猪木の新日を選んだの
か。ここから先は私の推理である。

・・当時の永源の気持ち(フィクション)

「アメリカで何とかやっていけると思うけどやっぱり日本に帰りたいな。マ
サ・サイトウさんみたいにこっちでやるのもいいけども、毎日メインじゃし
んどいや。日本プロレスはツブれちゃった。このまま帰れば全日だけど、馬
場さんが全日を作るとき俺のことはさそってくれなかったし、今行っても冷
や飯だろう。中堅以上格の選手も多いし、クツワダあたりの下でやるのはい
やだ。

じゃあ、新日にしようかな。猪木は俺のこと好きそうじゃないし、俺も猪木
のことは嫌いだ。でも日プロ末期仲の良かった坂口さんがいるし、あそこに
は中堅が少ない。今新日に行けば、セミあたりでテレビマッチにも出られる
だろう。よし、新日の副社長になった坂口さんに電話してみよう。」

・・永源と坂口の会話(フィクション)

永源「もしもし、今カンザスにいる永源です。お元気ですか。新日は順調で
すか」

坂口「おう、永源か。観客動員じゃ全日には勝っていると思うんだけど、い
い外人は馬場さんに押さえられているのと、猪木さんと俺以外に日本側でメ
インを張れるのがいないんで、マッチメークには苦労しているよ。今のまま
でお客さんにあきられるのが怖いよ。そっちはどうだい。」

永源「毎日オコーナー、ブラジルあたりとガンガンやってます。この前レイ
スがドリーに勝ってNWA世界ヘビーを取りました。ドリーはその前日アマ
リロで鶴田のガキとやってかなり消耗していたようです。鶴田のガキが日本
に帰ってNWAのトップといい試合されたんじゃ猪木さんの人気もあぶない
かもしれません。NWAのプロモーターたちの中鶴田の評判はなかなかで
す。」

坂口「それはまずいな。ところでカンザスでのお前の評判はどうなんだ。」

永源「連日安達とメインでガンガンやってます。プロモーターでNWAの重
鎮ゲスト・カラスにも買ってもらってます。彼は全日とつながっていてブッ
キング料をしこたまとっているドリー・ファンク・シニアにジェラシーを感
じてます。俺がNWAの一流どころをブッキングするから日本でオフィスを
起こさないかなんて僕にいってくるんですよ。」

坂口「ほう、永源、よかったら俺のところに来ないか。お前、全日から契約
金を受け取っていないだろうな。」

永源「ああ、そういえば、日本テレビの関係者が僕に会いにカンザスに来る
っていってました。」

坂口「契約金のたぐいは絶対受け取るなよ。」

永源「坂口さんがそうおっしゃるのなら受け取りません。新日に協力させて
もらいます。知り合いの日本各地区のプロモーターにも、NWAの一流レス
ラー(注1)は押さえたから新日につくように、こちらから連絡しておきま
しょうか。」

坂口「そこまでやってくれるか。体制が整ったら呼び戻すから、ゲスト・カ
ラスは押さえておいてくれよ。帰国後お前をセミ以上で使わせてもらう。」

永源「そんなに気を使っていただかなくても結構です。NWAのほうは何と
かしますし、新日のNWA加盟にも骨を折らせていただきます。今のチャン
ピオンのレイスには坂口さんだって去年勝っているでしょう(注2)。

NWA世界ヘビー級チャンピオン坂口征二の誕生も時間の問題ですよ。」

坂口「こらこら、おだてるな。ウチには猪木さんがいるんだ。」

永源「本気でやれば坂口さんですよ。」

ものの見事におだてに乗り、永源の帰国を猪木・新間ラインにねじこんだ坂
口であった。

(フィクション終わり)

・・永源の凱旋帰国

新日のリングに上った永源。帰国第一戦は約束通りテレビマッチのセミファ
イナル。しかも相手が三流という好マッチメークで、試合後は勝利者インタ
ビュー付き。大将猪木ハリング登場時に葉巻をふかす等、永源のショーマン
スタイルは好むところではなかったが、プロモーター相手の営業力があり、
いやな顔もせず売り出したい外人の噛ませ犬になってくれる永源に面とう向
かってクレームをつけられなかった。永源の約束にもかかわらず、相変わら
ずNWA主流外人を全日に持っていかれてしまう腹いせに、
「今のアメリカン・プロレスはダメになりつつある。ウチにも永源のように
悪い型がついてしまった者もいる。」
というのがせいぜいだった。もちろん、アメリカンプロレス批判を自分の子
飼いの選手永源を狂言回しにして行う猪木のセンスも相当のものであるが。

こんな猪木・永源の爆弾を抱えた人間関係は80年代ジャパン・プロレス創
立時に爆発するが、70年代後半には蜜月時代を迎える。

・高千穂の転機

・・高千穂再び海外へ

73年日プロ崩壊により全日入りした高千穂は決してメインエベンターでは
なかった。日プロ残党の合流で一挙に大世帯となってしまった口減らしもか
ねてか、高千穂はこの時期オーストラリアへサムソン・クツワダとのコンビ
で出かけている。

オーストラリアからの帰国後いつの間にか「中堅」という位置に定着してし
まったかに見えた78年、彼は再度の米国遠征の旅に出た。「ミスター・サ
ト」のリングネームでフロリダを中心にマサ・サイトウとのタッグで活躍、
実力者ぶりを見せつける。プロモーターのエディ・グラハムがニューヨーク
と提携していた関係上、マディソン・スクエア・ガーデンのマットも踏ん
だ。高千穂曰く、

「セントルイスのキール・オーデトリアムよりもマディソン・スクエア・ガ
ーデンのマットの方が全然闘い易い。」

そうである。

+++++++++++
1978年4月29日【セントピータースバーグ】 
(NWA世界ヘビー級選手権)○ハーリー・レイス対ジャック・ブリスコ●
(WWWFヘビー級選手権)○ボブ・バックランド対イワン・コロフ●     
アンドレ・ザ・ジャイアント、マイク・グラハム、スティーブ・カーン対
オックス・ベーカー、ボビー・ダンカン、キラー・カール・コックス
ビリー・グラハム対ザ・スポイラー
ジェリー・ブリスコ対ディック・スレーター
ミスター・斎藤(マサ)、ミスター・サト対
ペドロ・モラレス、タイガー・コンウェイ・ジュニア
レン・デントン対ポークチョップ・キャッシュ

1978年5月22日【ニューヨーク】MSG
(WWWFヘビー級選手権)○ボブ・バックランド対ケン・パテラ● 
▲ビリー・グラハム(両者リングアウト)ゴリラ・モンスーン▲
○スパイロス・アリオン対ピーター・メイビア● 
○ミル・マスカラス対スタン・スタージャック● 
○ドン・デヌーチ、ディノ・ブラボー対ミスター・斎藤(マサ)、ミスター
・サト● 
○スペシャル・デリバリー・ジョーンズ対ストロング・小林● 
+++++++++++

当時フロリダには、ヒロ・マツダ、上田馬之助、剛竜馬といった、フリーの
実力者が集結しており、彼らが大挙して78年暮の新日のシリーズ「プレ日
本選手権」に殴り込むこととなった。高千穂の参加も噂された(注3)が彼
は帰国しなかった。あくまでも全日所属だったのである。

・・8・26夢のオールスター戦

翌79年夏、高千穂は帰国、全日のマットに上がる。彼の地位は遠征前とそ
れほど変化はなかったものの、意地を見せた試合もあった。8月26日の
「夢のオールスター戦」である。6人タッグ45分1本勝負に、マサ・サイ
トウ(新日系フリー)、タイガー・戸口(=キム・ドク、全日本)と組んで
ジャンボ・鶴田(全日本)、藤波辰巳(新日本)、ミル・マスカラス(全日
系外人)の「夢の編隊飛行トリオ」と対戦。当時のマスコミ、ファンの目は
鶴田組に注目が集まっていた。

最近、この試合のビデオを見る機会があった。試合の方は高千穂組が引っ張
っている。マスカラスがサイトウあたりとアマレス流バックの取り合いを意
地になってやっているあたりは「カワイイ」という感じだ。そして高千穂。
これが強いのである。試合の方は同士討ちからサイトウがマスカラスにフォ
ールを取られるという決着だったが、対鶴田、対藤波、対マスカラス、どれ
も負けていない。このとき高千穂は31の誕生日を迎える直前。レスラーと
しては全盛だったかもしれない。私はこの試合を高千穂のベストバウトの一
つにあげたい。

この日、永源は藤原喜明(新日)、寺西勇(国際)と組んで
阿修羅原(国際)、木村健吾(新日)、佐藤昭雄(全日)組と戦った。渋め
のベテラン対凱旋帰国幹部候補生という組み合わせである。

++++++++++
(注1)永源がNWAの一流レスラーを呼べなかったことはいうまでもな
い。が、安達とのコンビでカンザス地区で試合をしたマクガイア兄弟は翌年
「NWAの一流外人」に勝るとも劣らない動員を達成しており、永源が「ツ
バ」をつけていたとすれば大殊勲である。

(注2)1972年3月13日 宮城県スポーツセンター

UNヘビー級選手権試合 坂口征二(2−1)ハーリー・レイス

(注3)というよりも、全日嫌いの某記者により飛ばし記事であろう。実際
高千穂本人、全日時代が一番フラストレーションがたまったと今になって語
るが。

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次回は、2006年2月3日(土曜日)
時間:14時30分〜 
会場:スネークピット・ジャパン(高円寺) 
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高千穂と同様、全日では「外様」だった、キム・ドク氏

詳しくは、
http://www.uwf-snakepit.com/caravan.html
http://www.uwf-snakepit.com
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「ショルダー2002」
http://homepage3.nifty.com/inoki~bom-ber_/index.html
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http://drmick.at.infoseek.co.jp/proresu/top.htm
「オールドファン 集まれ !」
http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Kaigan/7217/old_fan.html
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