2006/12/29
公認会計士監査論 CPA-AUDIT.com Vol.008
公認会計士監査論 CPA-AUDIT.com Vol.008 2006/12/29 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■Q1.難易度:★★☆(考えると深い。。?) 次のうち,正の相関関係(一方が高ければ,もう一方も高いと いう関係)にあるのはどれか? 1 監査上の重要性と監査リスク 2 事業上のリスクと固有リスク 3 重要な虚偽表示のリスクと発見リスク ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▽ 受験に役立つ心理学 ▽ 既有知識が理解を助ける 〜基本に返ることの重要性 会計士の受験勉強をしていると,とにかく講師は何かと例え を用いて説明しようとする事柄を理解させようとします。 例えば,管理会計であればカルビやロース,バラといった牛 肉から連産品を,財務会計であれば一生モノのブランドバッグ から費用配分の考え方を,監査論であれば簡便な健康診断から 分析的手続といったように,受講者が既に持っているであろう 知識(「既有知識」と言います。)になぞらえて説明します。 心理学者オースベルは,学習する内容を理解して記憶できる かどうかは,どのような既有知識を持っているかにかかってい ると提唱しています。このことを知ってか知らずか講師達は, できるだけ誰もが知っていそうな事柄を例えとして説明をする のでしょう。 実は,この理論には「例え」以外にも受験に役立てることが できる要素が含まれています。 上級レベルの学習をしていて急に話が分かりにくいという印 象を受けたり,テキストの文章を眺めていると「日本語なの? これは?」と思った経験はないでしょうか? 確かに上級レベルの内容は,文字通り,「上」級で複雑な議 論も多くなります。それでも簿記の総合問題で良い点がとれる かどうかが一つ一つの電卓叩きを丁寧に積み重ねられるかどう かにかかっているのと同じように,全ての議論は単純な議論の 積み重ねからなっています。 時間に限りがあるのも事実ですし,入門期の学習がオロソカ になりがちになってしまうのも,ある程度やむを得ない面はあ ります。結果として上級レベルの内容についていけずに少しず つ苦手意識ができてしまうこともあるかもしれません。 ただ,それでも日本語かどうかも分からない文章にひたすら かじりつくだけでは学習は一向にはかどりません。 上級レベルの内容が意味不明な単語の寄せ集めのように見え てしまう方は,まず入門レベルの内容に戻り,一つ一つの単語 について「要はどういうことか」のイメージを作り上げてから 再び上級レベルの内容にチャレンジすることをお勧めします。 入門レベルに立ち返ることは恥ずかしいことではありません。 むしろ上級レベルの内容の定着を飛躍的に早める効果が期待で きるのであれば「急がば回れ」もナルホドなわけですね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■A1.正解:2 事業上のリスクは必ずしも重要な虚偽の表示に直結するもので はありませんが,一般に事業上のリスクが高い場合には,財務 諸表に重要な虚偽の表示が生じる可能性=固有リスクは高いと 判断されることとなります。 1:監査上の重要性をより大きくした場合には,重要と判断さ れる虚偽の表示の範囲が狭くなるため,他の条件が一定である との前提の下,監査リスクはより低いものと評価されます。 3:発見リスクと重要な虚偽表示のリスクとは逆の関係にあり, 重要な虚偽表示のリスクが高いほど,発見リスクはより低く設 定され,見逃しのリスクの低い徹底した実証手続によって対応 することとなります。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 続いてQ2!! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■Q2.難易度:★★★(本試験のパクリではありません(^_^;) 次のうち,内部統制の最も重要な目的はどれか? 1 業務の有効性及び効率性 2 財務報告の信頼性 3 事業活動に関わる法令等の遵守 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼ かんたん用語解説 ▼ 重要な虚偽の表示 material misstatement 財務諸表の監査は,財務諸表の適正性について意見を表明す ることを目的としていますが,適正であるということは財務諸 表に虚偽の表示が全く含まれていないということを意味するわ けではありません。 「え゛!?虚偽の表示あったらダメじゃん!(` 曲 ´)」 と思うかもしれません。それでは,さかのぼってモトモト財務 諸表は何を目的として作成されているかを考えてみましょう。 財務諸表は,企業を取り巻く利害関係者が会社の状況を把握 して意思決定に役立てるために作成されます。それでは財務諸 表に1の位で1だけ誤りがあるとした場合,直ちに財務諸表は 使い物にならないことになるでしょうか?あるいは会社につい て異なる評価を下してしまうことになるのでしょうか? 答えはもちろんNOです。であるならば1の位のレベルでの 正確性を求める必要はモトモトありませんし,財務諸表が信頼 できるかどうかを明らかにする会計士の側としても,そのレベ ルでの誤りがあるかどうかまで確かめるのはコスト面からも意 味はないことになるのです。 そのため,監査基準でも,適正意見は重要な虚偽の表示がな いとの判断に基づくものであることが示され,会計士としては 重要な虚偽の表示がないことさえ確かめている限り,ささいな 間違いについて責任を負わないことが明確にされているのです。 もちろん,「チリも積もれば山となる」のコトバ通り,ささ いな間違いも積もり積もって重要な虚偽の表示となることは十 分に考えられます。 そのため,会計士には,少なくともチリが積もっても山とな ってはいないであろうことを確かめる責任があり,発見した虚 偽の表示の金額や,「きっと多めに見積もっても間違いはこれ 位だろう」という金額をすべて合計したうえで最終的な結論と して財務諸表全体としての適正性について判断を下すことが求 められています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■A1.正解:1 内部統制は,それによって事業活動を統制すること自体を目的 とするわけではなく,その構築はあくまで事業目的の達成を阻 害するリスクの低減を図ることを目的とします。この意味で, 最も重要な目的と位置付けられるのは,事業目的をいかに効果 的かつ効率的に達成するかという1となります。 2:財務報告に係る内部統制の評価と監査がもてはやされるな か,最も重要なものが財務報告であるかのように思えてしまう わけですが,決算書を作るために会社があるわけではありませ んから,最も重要と考えるのは不適当です。 3:コンプライアンス経営が叫ばれるなか,法規の遵守を無視 して良いというわけでは決してありませんが,2と同様,法規 の遵守自体が企業の目的ではありませんから,最も重要である と考えるのは不適当です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 《お知らせ》 ◎平成19年公認会計士試験委員担当科目が発表されました。 → http://www.cpa-audit.com/news/061228b.html ◎監査法人制度改革案が公表されました。 → http://www.cpa-audit.com/news/061228a.html 《編集後記》 年のせいなのか,余り年末だという感覚を覚えません。 ともあれ,皆様良いお年をお迎えくださいませ。 来年もまた頑張って連載しますので宜しく御願いします。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「公認会計士監査論 CPA-AUDIT.com」ID:0000215094 ・発行者:CPA-AUDIT.com http://www.cpa-audit.com/ webmaster@cpa-audit.com ・マガジン登録・変更・解除はコチラ → http://www.mag2.com/m/0000215094.html (c) 2006 CPA-AUDIT.com All rights reserved. 転送許可不要ですが,著作権は留保しますので転載に際しまし ては御一報ください。


