儲かる?体験ルポ 日曜刊行
おはようございます、阿部です。
あなたのゴールデンウィークはいかがですか?
私は天気予報にからかわれているようです。
先週の予想では、好天続き。
でも実際のところは・・・・
私のところばかりが雨が降っているような気がします。
それほど東京の天気は悪い!!
では、良い休日をお過ごしください。
催眠商法 編
ノルマ達成の楽感からか、
日々平均2,5回の打ち込みになっていた。
最初の緊張もどこへやら?
もう完全なるお友達状態。
決してこれが悪いとは思わないのだが・・・
と、言ってみたもの、一番に気合が抜けていたのは当の私であろう。
達成をした瞬間から夜の打ち込みは無しにしての早々の帰社。
まるで憑き物が落ちたかのように、普通に戻った。
これには理由もある。
私が村上の管轄からはずれたのである。
つまり、私たちだけの単独活動が許されたのである。
これは楽だ。
腹の立つ顔も見なくても済むし、面倒な小仕事も無くなった。
完全なる自由、奴隷からの開放に近い。
そうなると、うずうずし始めるのが遊びの虫。
元来生まれてついての遊び好き、我慢などたかが知れている。
そこへ団結の名のもとに深夜の乾杯。
私が嫌いでないからたまらない。
軟弱な私の胃は朝方に悲鳴をあげている。
今度は深酒で身体がもたん。
520本を売り上げての堂々の凱旋。
先月とは、えれぇ〜違い。
成績も成績だが、何より一人ではないことが一番だ。
次の班編成も考えないで済むし、これこそが一人前の真打ちであろう。
東京へ帰る電車の中から酒盛りは始まった。
今回は私に合わせてもらったので、私以外は全員が延長に相成った。
家族もいる者もいるのに・・・ありがとう。
「ねぇ、阿部ちゃん?
もしだよ、400にいかなかったらどうするつもりだった?」
と、大将のトンちゃんが言う。
「トンちゃんがいて、そんなことは無いだろう。
信じていたさ」
「そうだな。
集めりゃ〜売るからな。
やはり俺を選んで正解だろ」
「まったくだ」
「俺はてっきり、前の副社長のところに行くのか?と思ったよ」
「そんなことはないよ」
と笑ったが、そのこともあったに違いないのも事実だ。
だが事は成熟したのである。
面倒なことはしゃべらないほうがいいだろう。
と、私の老獪な部分が言う。
だがトンちゃんには・・・正直さとの葛藤が。
しかしすぐに老獪さが勝利の手をあげた。
やはり私はこんな者なんであろう。
それと、これも言ってはいないが。
売り上げの保険も用意していた。
例のストック以外で。
それは、本社から頂いたマット30本である。
自分の懐を肥やすなんて毛頭に考えていないのだから、他の使い道を考えていた。
これを一番重宝に使うのに考えた挙句、浮かんだのが真打ちと売り上げの交換である。
通常なら本社に2万円を差し出してもらうのだから、1本につき2万円以上の価値があるということになる。
なら真打ちの売り上げ2本には匹敵するはずだ。
売り上げが足りない最悪のときは、これは真打ちども売りつけようと考えていた。
試しに思案をちょいと持ちかけると、涎を垂らす有様。
殆どが1本につき3本まで出すから、俺にと、言う好評さ。
だから最初から普通に打てれば400のノルマなど問題が無かったのである。
しかし、そんなことまで話していたらここまでの成果はあがらなかったであろう。
それにこれからのこともある。
いつなんどきに不調が訪れるか考えると不安は尽きない。
これは最後の最後の切り札だ。
派手に打ち上げを行った。
それに普段の倍の手当てを支給。
みんな大そう喜んでくれた。
やはり結果を出したときの最大の褒美は、数々の賛美の言葉より現金が一番だ。
とどのつまりは、これの為に汗水を流しているのだから。
その割には本社はその辺のとこを勘違いしているような気もするのだが。
明日はナベのところへ行って、今までの苦労を3倍くらいにして話してやんべ〜。
ん?待てよ。
ナベが戻ってきたら人員はどうなるんだ?
まずい!そこまでは考えていなかった。
どうしよう〜。
サクちゃんが真打ちをやるはずがないし、今さら券撒き・・・・
そんなの無理。
アシスタントではサクちゃんの方が古いし・・・
どうしたらいいんだ。
だいたい連絡が遅すぎる。
とりあえずは様子を見てからだ。
だけどどうも解せないことが。
地元の友に聞いてみると、ナベが入院をしている○○病院なのだが、癌が専門だそうだ。
ナベが癌のはずがないし、ついこの間までピンピンとしていた。
たまたまそこの病院に行っただけであろう。
それにしても・・・縁起でもない。
おまけに「行った者は最後だなんて」
ふざけたことを言いやがる。
今度合ったら蹴りの2,3発もくれてやろう。
やはり私の感は当たっていたようだ。
○○病院に行ってみたところ、千葉の△△病院に移転したそうだ。
癌ではなく覚せい剤中毒なんだから当たり前だろう。
全てに於いて納得ができた。
あのおちょこちょいが、まったく世話を焼かせやがる。
はるばる電車を乗り継いでやってきたのだ、大層なもてなしをしてくれるであろう。
俺の好きな酒か?
だけど入院中じゃ無理だわな。
とにかく元気な顔を見せてくれ。
「あの渡辺さんは何号室ですかね?
渡辺ケンジです。きっとみなさんに迷惑をかけているんでしょうね。
ご迷惑をおかけします」
と、口が軽やかになるほど美人のナースが揃っている。
幸せな奴だ。
「ねぇ、ちょっと。
渡辺ケンジってクランケ、先月ステった人じゃない」
おい、待てよ。
ステったって、こいつらの符丁で死んだことだろう。
嘘だ、いや人間違いだろう。
発行者 阿部 一義
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