2008/04/26
儲かる?体験ルポ 日曜刊行
いよいよ連休が始まりますね。
あなたのご予定?
私?
もちろん、仕事です。
おはようございます、働き者の阿部です。
催眠商法 編
久々の顔が揃う。
やはり私ひとりが追いやられていたような状況だ。
「なんだって!俺がどうしても必要だと、社長に泣いて頼んだらしいじゃん」
と、トンちゃんの第一声。
笑いで答えると。
「やはり阿部ちゃんだ。
今400打てるのも阿部ちゃんだけだけど、
それだけの券族を集められるのは俺だけだ」
ちょいと前には遠吠えに聞こえたのも、今では頼もしい限りだ。
現実にそれだけの数字を叩いてきたのだろう。
自信が確信に近いものになっているような気がする。
「阿部ちゃん。
ありがとう」
「何を言っているんだよ、助けてもらうのは俺の方だよ。
無理を聞いてもらって申し訳ない。
本当にごめんよ」
相変わらずのサクちゃんの優しさが懐かしい。
「相変わらず無茶をするな〜
400打つと、約束をしたらしいな。
だけどそういう無茶なところが好きなんだよな〜
精一杯やらせてもらうよ」
と、最古参の山さん。
素晴らしき仲間が揃った。
皆の話から察すると、すでに400本のノルマの話は聞こえているようだ。
あんだけの大口を叩いたのだから当然か。
逆にモチベーションが沸騰する。
「まずは前祝いだ。パァ〜と行こう。
そうだ真打ちはフィリピンが嫌いだったけな。
今夜は俺がついていくからどこでもいいよ」
へぇ〜珍しい。
日本人の女が大嫌いの山さんが・・・
それだけ私を歓迎してくれているのか。
「いや、今夜は私がついていきますよ。
フィリピンでもロシアでも何でも。
今夜はたっぷりとつきあってもらいますよ」
私にとって素晴らしい邂逅である。
400どころか500でもいけそうな気分。
やるぞ!!
10日が過ぎた。
完全にオーバーワーク。
日々に4回の打ち込み、1会場でおおよそ2時間しゃべり続けて、それが日に4回。
私が何も言わなくても次の会場を作りにさっさとでかける。
もちろん私の成績を思ってのことである。
チームで一番の仕事量を誇るのが真打ち。
つまり一日8時間はしゃべり続けである。
さすがに疲れる、それに集中力が低下。
そしてコネタの収集までも一緒である。
行ってきます〜からただ今まで、5人がまったく一緒である。
しかし、トンちゃんが人の使い方が抜群にうまくなっている。
今までになかった率先垂範と言う言葉を身に着けたからであろう。
とにかくが同じ苦労を、がスローガンだそうだ。
確かに券撒きが生き生きとしている。
その中で一番に死にそうなのがこの私。
みんなが私を押し上げるのに必死であった。
私もそれに呼応して鉛のような舌先をさえずり、懸命であった。
その甲斐あってか、すでに200本以上の売り上げをマーク。
400と言う数字が現実的になってきた。
ただ問題が少々。
場所である。
団地うちがあったものだから、地方にでてからは県営住宅ばかりを攻めていた。
しかしそれはそれほど多い数ではない。
地方になればなるほど如実である。
今夜で全ての県営住宅を打ちつくした。
それも墨一つ残さずに。
これ一つみても、トンちゃんがどれほど腕をあげたのかを伺える。
口に出さないが、凄い大将だ。
明日からはどうするのだろう。
心配が時間を追うごとにでかくなる。
俺は400打たなければ真打ちを降りるんだぞ。
明日からのことは考えなくていいのか!
これが本音だ。
え〜我慢できん。
と、自分からトンちゃんの部屋に赴く。
我班が勢ぞろいである。
「お疲れさんです。
まさか?明日からのことが心配で聞きにきたんじゃないでしょうね?」
と、トンちゃん。
完全に出鼻をくじかれる。
「阿部ちゃん、いや真打ちは場所のことなど気にせず、ゆっくりと休んでくださいよ。
場所を決めるのは俺の役目だからね。
心配はいらないっすよ」
そこに完全に自分の場所が無いのに気づいた。
知らぬ間にトンちゃんは成長していた。
また、自分は恥ずかしいことをしたようで、情けなかった。
そうだ。場所を決めるのは大将であって私ではない。
相談にこられれば、相談にのるのが器量であり、
私から言い出すのは越権行為以外の何者でない。
トンちゃんはすでに私より成長しているのかも・・・
不思議な景色に見とれている。
まるで映画、そう、幸せの黄色いハンカチのあの舞台だ。
黄色のハンカチこそ無いが、家並みはまったくのそれ。
すぐにでも、健さんがでてきそうな雰囲気。
すげぇ〜。
常磐炭鉱は今では閉鎖されているが、まだ住人はたくさんと残っているらしい。
今日はここで会場を作るそうだ。
車中サクちゃんに話を聞いた。
なんでも炭鉱の居住区は大変に活気があるそうだ、だが、例の都営の件のように打つ真打ちがいないそうなのだ。
それを教えてくれたのは、山さんだそうだ。
さすがにこの世界での飯の数が違う。
今となってつくづく有り難い人選をしてくれたものだ。
どんな感じか?
と、券撒き風景を観察していると、出てくる出てくる、うじゃうじゃと。
すげぇ〜はこれ!
あっと言う間に50人は集まった。
ここで私の杞憂は終わった。
19日目、早々と400を達成。
疲労が困憊だが、うれしさのが先にたつ。
私だけでない、券撒きに大将サクちゃんもだ。
もうさすがにみんなもダウン寸前。
こうなると途中で予想していた私は、保険を積み立ていた。
しかしそれは他人用言葉で、事実は自分の為。
それは、日々の売り上げから2本づつを差し引いて計上をしていたのだ。
決して自分で食うためではない。
どかで慰労の休暇を取る為である。
勢いのある我班が急に売り上げが0だなんて、誰の目にもサボりが見え見えすぎる。
そこでちょこまかと売り上げをストックしていたのだ。
生憎か幸運か、本日は雨。
朝から健康ランドにたむろり、ノルマの達成の祝杯をあげる。
この仲間がいたからこそできた数字だ。
いや、この仲間ではなければの間違いだ。
私のわがままにつきあってくれて、本当にありがとう。
みんなの顔から憑き物が落ちたかのように笑みがでる。
どれも成し遂げた男の顔であった。
果たして、私はこの男達にどのくらいの恩返しができるのだろう。
そのあまり重さに、全然酔えない酒であった。
発行者 阿部 一義
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