儲かる?体験ルポ 日曜刊行
がっくりしている阿部です。
先週のスーパーコンパニオンのことですが。
私が想像していたのがスーパーカーだとしたら、実際に配車されてきたのはコロナ。
それも15年落ちぐらいのやつ。
ガードは強固な上に・・・・・
あ〜夢を見ていた私が馬鹿だった。
催眠商法 編
ひでぇ〜日々。
手は動かないわ、ナベがいると痛み止めは飲めないわ。
なんで?痛み止めを化膿止めだなんて偽って飲まなければならなにのだろう。
すべての原因はナベの所業と、そこから始まった与太話なのだ。
昨日までは、痛みにシクシクと泣きどうしで、仕事にも行っていない。
数えると・・・ ガン!なんと3日も休んでいる。
つまり明日にあがりである。
成績は申し分もないし、もとより副社長自体が成績に無頓着な昨今だから、
この様にくたばっていられるのだが。
それにしても悔しい。
もう少しで記録を更新できたのに・・・・
でもいっか、今月も500万を越えているのだから。
早く治して金の使い道を考えなければ。
ところで私の代打ちは誰がやっているのだろう?
休む前日に新井さんが来て、
「真打ちが打たないなら、明日からは適当にやるよ」
などと、言っていたような。
ま、どうでも良いことなのだが。
しかし出張先で休みだんて、なんと暇なのであろう。
することはないし、酒も煽れないし、結局は副社長の良き遊び相手になっただけ。
だけど事情が事情なだけに安静してくれている。
もっとも麻酔をかけなかったのを知っているのはナベだけなのだから。
ちょっと寝るべ〜。
うるせぇ〜、誰かが何かを言っている。
なんだ、このだるさは。
痛み止めのせいだろうか?
頭が重い。
あ、杉ジィだ。
なんなんだ?解らん、もっとゆっくりと言ってくれ。
「元気になられましたか?
阿部さんがいない間は、私杉本がしっかりと代打ちをしておきましたんでご心配なく。
3日で31本と私なり頑張ったですよ。
もちろん、阿部さんの成績にしておいてくださいね。
安心してゆっくりしてください。
ナベ!ちゃんと阿部さんの身辺のお世話をしろよ」
「はい」
なんか解らんけど、今は寝せてくれ。
最後に一日だけやっても仕方がない。
面倒だからついでにもう一日休むことにする。
やっと体調も本調子に近づいたようだ。
その証拠に股間がうずく。
昨夜枕もとでガヤガヤと騒いでいたようだが、一体何事だったのだろう。
杉ジィとナベだったようだが。
それにしても気持ちの良い朝だ。
やはり人間、金より健康だわ。
「良かった!
起きられるんですね、安心です」
と、泣きそうなナベ。
痛みの恨みをつらつらと呪文のように訴えようと考えた、
しかしナベの目の下のクマをみたら、そんな気は木っ端微塵になる。
寝ないで看病をしてくれていたのだろう。
だが肝心の私は記憶にない。
ま、それが体調不全なんだろうが。
「兄貴、今度のことでよ〜く自分も分かりました。
死ぬまで自分は兄貴とご一緒させてもらいます」
出た、例の東映風な物言いが。
「分かった、分かった。俺は大丈夫だから仕事に行け」
「はい。
今回の兄貴の所業、肝に銘じておきます」
どうして物言いが古臭いだろう、私も古いがナベはもっと古いわ。
「そんでよ、昨日杉ジィがいたろう?」
「はい。一緒におりましたが、何か」
「何かって、何か言っていたろうよ」
「いえ、別段。・・・・
あ、兄貴に成績をプレゼントするって言ってましたね」
「それだ!!
なんでも30本くらい売ったそうじゃないか?」
「はい、券族も良かったのもあります。
しかし、兄貴のためだと言って、夜の会場も2回やりました。
やはり杉本さんって、とても優しい方なんですね」
何か腑に落ちない。
あの杉ジィが1日に10本。
夜の会場が2回として、11回の打ち込みだろう。
会場数で計算すれば、そんな大した数ではない。
むしろ少ない方だ。
きっと新井さんも私の数字だと言うことで嫌々会場を作ったのだろう。
休んで迷惑をかけたかな・・・・
いや、それよりも杉ジィだ。
きっと例の揉み手で副社長を懐柔したに違いない。
そこまでは解る。
しかし、なぜ?成績を私に付けたのだろう。
そこが合点がいかぬ。
はて・・・・?
!!!!!「今杉ジィのアシスタントは誰だ」
「今は私ですが」
「馬鹿、そうじゃねぇ。
係りのアシスタントだよ」
「西田でしたけど、先週にあがりましたよ」
「それだ!
ナベ、杉ジィのトラックに行って、マットの残数を調べてこい。
いいか、サンプルもだぞ。
それに見つからないようにだぞ」
「兄貴、それは構いませんけど、ナベでなく。
ケンジって呼んでくださいよ」
「分かったから早く行け」
もしかしたら杉ジィのヤツ、またマットを食ったかもしれない。
まさか俺のを取りはしないだろうが、ろくなことを言い出すのでは。
あの業突く張りのジジィがそんな簡単に売り上げをくれるか?
それも1,2本ならまだしも、30本なんて。
絶対にウラがある。
畜生、あんなに代打ちをさせるとは・・・
副社長も何を考えているんだ。
「こんばんわ、失礼します」
きやがった。
「お加減はいかがなもので。
本当に心配で心配で」
嘘つけ、本当に心配なのはマットの残数だろ。
「おかげさんでね」
「それは何よりで。
実は阿部さん、よりいってお頼みが」
どうせマットのことだろうよ、真底懲りないヤツだ。
「休みの間、ちょこと穴埋めに阿部さんのマットを拝借できませんかね」
ほ〜らきた。
貸すだけならさほど問題はないが、このジジィに限っては何かある。
「杉さんも俺の代打ちをしっかりと勤めてくれたことだし、マットを貸すのはやぶさかでない。
しかし、その後はどうすのさ。
まさか、今度は売ってくれなんて言わないだろ」
「へぇ、決算が終われば。例の代物が入荷できるそうなんです」
「ふ〜ん」
あの本社の経理の小遣い稼ぎってやつか。
「貸してもいいけど、杉さん。
俺にも頼みがある、それを聞いてはくれないかね」
「私でできることなら、何でも」
「じゃ〜俺にもそのネタを分けてよ」
「え〜、でも私の数は一杯でして、阿部さんにまわす余裕などありませんよ」
「いや、何も杉さんのをよこせ、だなんて野暮は言わないよ。
俺にもネタを分けてもらえるように頼んでくれよ」
「阿部さん、まだ金がご入用なんで。
散々に儲けているじゃないですか。
これは私どものように売れない奴のための話でして、阿部さんほど稼いでいれば、いくら私でもマットなんてくいませんよ。
それこそいくら命があっても足りません」
よく言うわ。
家が建つくらいに鱈腹食べておいて、本当に面の皮が厚い。
やはり最後に銭を残すのは、私のような成績優秀者ではなく、杉ジィのような厚顔無恥な者ではないのではなかろうか。
「でなければ、この話はなしだ」
「そんな殺生な」
「あのね杉さん。俺のところに後30本増えても減っても、総額には大差がないわけ、分かる?
そんなところで杉さんを助けるなら、それ相応のことをしなくちゃ、ね。
杉さんが嫌なら俺はいいよ。
その代わり、今回の成績は杉さんにやるし、マットは貸さないだけ。
俺がいなくなって打ち込みを始めてたくても真ネタの数が合わなければね。
杉さんも大変だな〜。
いや、南無阿弥陀仏・・・」
「やめてくださいよ、そんな縁起でもない。
分かりました。調達すればいいんでしょ。
その代わり数は保障できませよ」
「ありがとう、杉さん。
だから好きよ」
「はいはい」
と、ため息を洩らしながら部屋を出て行く。
「あんな稼いで、どうすんのかねぇ」
はぁぁ、確かにそうだ。
銭金の問題ではない。
今後の保険と言うところだ。
これから先、後ろ盾の副社長がいなくなる。
すぐに独立できれば問題ないが、どんな厄が降りかかるか知れん。
その為には、できる限りの自己防衛策は取っておかないと。
編集後記
この物語も早一年ですね。
後は終わり方なんですが?
これからもこの調子がガバガバと稼ぎまくる。
突然のカタストロフィが訪れる。
仲間に次々に裏切られる。
突然私が副社長になる。
正解はこの中にあります。
想像しておいてください。
ではまた来週。
発行者 阿部 一義
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