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2008/02/17

儲かる?体験ルポ  日曜刊行


痩せた阿部です。

別にダイエットではないのですが、通風の食事療法が幸いしたようです。

もうメタボとオサラバする予定です。




催眠商法 編


腹の立つ言い方である。

お疲れ〜、どころか、なんてものの言い方だろう。

いくら温厚な私でも顔にそれが出た。

「悪い悪い、そんな意味じゃないんだ。

あの保坂の野郎は辞めるとダダをこね出したし、もしかしたら阿部ちゃんも一緒にあがるんでないか?ともっぱらの話なんだよ」

以前と飲み込める切り出しではない。

「いや〜、何ね。

これ以上社内の情報の流出を防ぐためだ、勘弁な。

信じてはいるが、一応の確認だ。悪く思うな」

こんな一言を気分良く受け入れる者がいるものか。

副社長の後を追いかける気は毛頭にないが、

こんな言い方では・・・・

「ところで阿部ちゃん。

今月は凄いな、1000万を越えたぞ。

我社はじまっていらいの高給だ。

大したものだ。

ほれぇ!」

と、テーブルの上にドサドサと帯を身に着けた札束が積まれる。

まだまだ続く、この光景にさすがの私も息を飲み込む。

ゴクッと咽がなる。

「2ヶ月で1036万だが、新記録の達成とこれからの活躍を信じて、

俺の気持ちだ。

1100万あるからな。

来月もこの調子で頼むぞ」

レンガ積みの札束に声を無くした私。

それが自分のものと認知するのに時間がかかる。

お、心の中から何かが溢れだす。

(やった!!!)

もう夢心地、今までの苦労が報われた。

やはり副社長がなんと言おうと、社長が嫌味をたれようと、今の地位立場が大切だ。

「任せてください。

来月もご期待に沿う成績をあげてみせますから」

「お〜頼むぞ」

しかし人の噂には困ったものだ。

誰がそんなことを言っているのだろう?

社長にも本当の気持ちを解ってもらいたいものだ。

「で、社長。

ついてはお願いがありまして」

「なんだ」

と、一瞬顔が強張る。

「券撒きと打ち込みの段取りを来月までやってあるんですよ。

できればこのままの場所で5日後から始めたいのですが、

無理でしょうか?」

「そんなことか、

全然問題は無い。

お前が売れなくなるまで自由で構わんよ」

「ありがとうございます」

来月の予定も組めたし、副社長のことも一段落だし、これは好いこと尽くめだな。

昼間から定食屋で飲み始め、あちらが中閉めだと言うが、札束でほっぺをぴたぴた、

そんで無理やりキャバクラの開店時間までオダをあげる。

結局つり銭の端数をあげただけで済ませる。

新井さんに100万をあげ、ナベちゃんに50万と大奮発。

一応辞退するが、最後には受け取る。

この日本の美学的儀礼がとってももどかしく思える。

キャバクラで開店から閉店まで遊び、30数万円を散らす。

そして散会まぎはにナベちゃんが言う。

「阿部さんはこれからどちらへ」

「どちらって・・・」

そうだ、まだ帰るべき家が無いのであった。

「またホテルだな。

ナベちゃんは」

「私も家がないんですよ。

もし良かったら、ご一緒させてもらえませんか?」

別段いられて困るわけでもなし、いいか。

「但し、部屋は別だぞ」

「はい」

と、喜ぶ。

果たしてそんなに一緒にいたいものだろうか?

もしかしたら私の身体を狙っている?

そういえば、務所の生活で禁色に走るものいるという話だ。

もしや。

ナベがカッパ(男役)で俺があんこ(女役)。

う〜気持ち悪い。

確認してみるか。

「おい、これからソープに行くけどお前もどうだ?」

「へぃ、ご一緒します」

良かった、男食いではなさそうだ。

と、胸を撫で下ろす。


いつも一緒なのが、休日も面を合わせんのもなんだろうから、別の部屋を取る。

「明日は何時ですか」

などとほざいていたが。

「気にしないで自由でいいよ」

と、表向きは優しい言葉。

本音は面倒だから。


飲みすぎと疲れからか、夕刻近くに目覚める。

あれ、仕事は、なんて思うくらいだから、自分なりにも心血を注いできたのだろう。

強制されないと、何もすることがないのに気づく。

そう言えば、ナベちゃんは何をやっているのだろう。

暇だったらキャバクラでも誘ってやるか?

電話をすると、すぐに飛んでくる。

「お供はしますけど、今夜は自分に支払いをさせてください」

なかなか健気なことを言う。

今日はやけに強気で下りそうなところがない。

元々は年上だし、一応会社外である。

ナベちゃんもシコタマ儲けたことだし、ここは一つ顔を立てるか。

キャバクラでアフターも釣れず、時間と金だけを浪費。

金はナベちゃんが払ったので使ってはいないが、気を使った分だけ損した感じ。

おまけに、もしかしたら、なんて甘い夢を見ていた自分が情けないほど、キチンと断られる。

「ナベちゃん、もう帰ろうよ」

「いえ、まだ金はあります。もう一軒いきましょう」

アホか、有り金を使いきるつもりか?

こんな一晩で消えてしまう給料でもないが。

「もういいじゃないか。

かなりご馳走になったし。

最後に焼肉でも食ってかえるか」

すると、先ほどまでの駄々っ子が急に優等生に。

「お供します」

なんじゃ、少し気が抜けた。

焼肉をほうばりながらナベちゃんが言う。

「なんか一人になるのが怖いんですよね、

いつも誰かがいたものですから。

今夜はすみません」

「大丈夫だよ」

根が寂しがりやなんだ。

だからぐれたのかもしれない。

悪と言う人間はことさらに寂しがりや多い。

現実に私もそうだ。

ナベちゃんがいてくれて、はじめて時間が埋められている。

友がいなければ、何をしていいのかわからん。

だからキャバクラでごましかしていたのだ。

なんだかんだ言って、感謝しなければならいの私のほうだろう。




編集後記

寂しさから友を求めて遊びにいく。

しかし夜になると、真面目まヤツなどいない。

それが不良への第一歩なのかも知れません。




                      発行者 阿部 一義
                  ご意見・ご質問は     karada@netsapuri.com
         ブログ    http://taikenrupo.blog90.fc2.com/
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