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2006年夏の終わり、北インドはヒマラヤの秘境ラダックを出てデリーへ、その後アグラ、ヴァラナシ等を経てコルカタまでの列車旅、さらにそこからバンコク、ベトナムへと渡った旅を綴ります。

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2007/12/12

インド to インドシナ旅行記“India CUTTERS” 044

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            India CUTTERS      by  site_roof          12/12/2007

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[Message from Site on the Roof]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
http://www.geocities.jp/siteontheroof/ 

 編集途中、いきなりテーブルに駆けあがってきた猫が、パソコンの電源を切
ってしまった。

 毎朝4時くらいから鳴きわめき、おかげで慢性的な睡眠不足状態、何もなか
ったように涼しい顔で外を眺めている姿を見ていると、この猫は一体ぼくをど
うしようとしているのか、と、ついそんなことを考えてしまいます。

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"インド to インドシナ旅行記" 044


<サイゴン4 「旅の過ごし方」>


 センター事務局の人が、「そういう旅行の過ごし方もまたいいものだと思い
ますよ」といってくれた。

 月曜日から4日間「そういう過ごし方」をしてみて、たしかに彼女のいうと
おりかもしれない、とぼくは思いはじめている。

 朝は遅くとも7時半には起きる。というより、11時前にはベッドに入らない
といられないくらい疲れるので、7時過ぎには自然に目が覚めてしまうのだ。

 それから顔を洗って服を着替えてホテルを出る。角を曲がった通り沿いのお
店で、動きはじめたファン・グー・ラオの街を眺めながら、フォーとコーヒー
の朝食。そこから5分くらい歩くと大きなバスターミナルのあるベン・タイン
市場。

 ぼくが乗りこむ19番のバスは8時20分くらいに出発する。無数のバイクで混
乱する渋滞を抜け、センターのあるビン・チュウ地区に到着するのは始業の9
時前。それから夕方4時半くらいまでセンターに居つづけることになる。

 昼食も、センターのスタッフたち(カソリック系NGOなのでシスターと呼
ばれている)と一緒に食べる。帰り道、今度は夕方の渋滞。何度か往復してほ
ぼ目に慣れてきた街がバスの窓を流れていき、次第にぼくは、毎日「通勤」し
ているような気分になってきている。

 なんといえばいいのか、「観光に倦んできた?」とでもしておこうか。

 最初はサイゴンでは「妹」に会うことだけを目的に据え、数日したらこれま
であまり回る機会のなかったハノイ他ベトナム北部に足を伸ばすつもりでいた
予定を、ぼくは取りやめることにした(お金が心もとなくなってきた、という
現実的な理由もないことはないが)。

 サイゴンにいる間、毎日朝から夕方まで手伝うことにしたセンターは、路上
生活を強いられていた子どもたちをはじめ、普通の学校に通えない子たちが集
まっている場所。24時間寝泊りしている子もいれば、一応自分の家はあるのだ
けど様々な理由でここに通ってこないとやっていられない子もいる。

 実は月曜日に対面した「妹」も、かつてはそういう子どもの1人だった。数
年前から普通の学校に通えるようになったのは、少しはぼくが役に立ったとい
うことだろうか。

 統括しているNGOの代表夫人が日本人の女性だからなのか、ぼくの他にも
日本からボランティアに来る人たちはたくさんいる。夏休みや春休みの時期に
は、ほとんど引っ切りなしに誰かしら訪れるらしい。

 ぼくがここで会った先輩たちには、一か月とか二か月通いつづけている学生
さん、会社のボランティア休暇を利用して一年間いる予定だという人もいる。

 最近の20代の人たちのこういった方向に寄せる行動力には、学生のときも社
会に出てからも休みといえば自分のために使うこと以外考えつきもしなかった
ぼくから見ると、本当に頭が下がる思いだ。

 保育士にしろ何にしろ、そういった資格も経験もないぼくには(何よりも自
分に子どもがいないことを挙げるべきかもしれないが)、歌も踊りもゲームも
遊びも、子ども相手の知識や技術は皆無。

 だからといって少し大きな子たちが受ける国語や算数の授業の手伝いなどは
不可能だろうから、ぼくがやっていることといえば、就学年齢前の子どもたち
の、いわば「なぐさみもの」に徹しているだけ。

 引っぱられれば引っぱられるまま。ぶつかってこられればぶつかられるまま。
抱きつかれれば抱きつかれるまま。

 保育士経験のある知り合いが一人いるのだけれど、彼女が日本からメールで
教えてくれた「引っぱってきたりぶつかってきたり抱きついてきたりができな
い子たちのことを忘れないように」という点だけが、気をつけている、といえ
ば気をつけていることだろうか。

 今日は中秋の月のお祭りだった。昼過ぎまで普通に勉強して、3時からはフ
ェスティバル。下は3歳くらい? 上は16、7歳? みんなが一同に介して、
歌あり踊りありで大変な騒ぎだった。

 その抜けるような笑顔を見ていると、彼女たち彼らがみんな、センターから
帰ったあと、家の仕事の手伝いをしたり、靴磨きや物売りに街頭に出かけてい
かなければならなかったり、あるいは帰る家さえもない子たちなのだという事
実を、一瞬忘れさせられてしまう。

 とにかく、単純に「子どもの相手」だけを取ってみても、ぼくのこれまでの
人生とはかけ離れた経験ばかりなので、「通勤」を終えてホテルに帰る頃には、
かなり疲れている。

 心地の良い空腹感のせいか、ただでさえ美味しいベトナム料理の夕食がさら
に至福に感じられてしまい、それと一緒に飲むビールが、まさに「労働のあと
のビール」、美味い!

 思いおこしてみればこの旅行、前半はラダックの山奥で農村手伝いのボラン
ティアをして、後半はこのセンターのボランティアをしているわけだけれど、
そもそもこの「ボランティア」という行為自体、一体どれほど実際の役に立っ
ているのか、考えさせられたりもしている。

 結局は本人にとって1番意味のあること、というのが現時点でのぼくの正直
な印象だ。

「そういう旅行の過ごし方もまたいいものだと思いますよ」

 なるほど…


<サイゴン4 「旅の過ごし方」 おわり>


                     (執筆:2006‐10‐5)


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 実は今回、はじめと終わりの挨拶に書く内容がうまいこと思いつかず、本文
の編集が済んだあとも、何度か書きなおしたりして苦しんでいました。

 もしかすると猫は、その「ネタ」を与えてくれたのかもしれません。

 ボランティアリングに。

 なんて…


                            India CUTTERS    044/12/12/2007


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