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2006年夏の終わり、北インドはヒマラヤの秘境ラダックを出てデリーへ、その後アグラ、ヴァラナシ等を経てコルカタまでの列車旅、さらにそこからバンコク、ベトナムへと渡った旅を綴ります。

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2007/10/31

インド to インドシナ旅行記“India CUTTERS” 039

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            India CUTTERS      by  site_roof         31/10/2007

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[Message from Site on the Roof]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
http://www.geocities.jp/siteontheroof/ 

「仏教の世界遺産を探訪中」という読者の方からメールをいただきました。

 お便り、どうもありがとうございます。

 しかもなんと、リクエストつき!

「ラダックには古い形の仏教が残っているのではないか」
「そういう話も書いてもらえないか」

 ぼくが去年してきた旅は仏教だけに寄った性格のものではなかったけれど、
それでもぼく自身の興味も手伝い、このメルマガでも折につけ、チベット仏教
やヒンズー教など、旅の間感じたことなどを綴ってきました。もし、途中から
ご購読いただいた方でしたら、取りあえず、バックナンバーを検索してみてく
ださい。

 せっかくリクエストまでいただいたので、ちょっと今すぐそこまで手が回り
そうにないけれど、いつか時間のあるときに、そっち系の話を再度まとめてみ
た「閑話休題」を、またお届けしようかなと思っています。

 ご質問やお問合せでなく、リクエストをいただくというのは想定していませ
んでしたが、なるほどなと思いました。メルマガにはこういうインタラクティ
ブな良さがあるのですね。

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"インド to インドシナ旅行記" 039


<ラダック(閑話休題 5)2>


 ラダックの人たちは、自分と周囲との関係を、本当によく知っている。

 難しい理屈を考えたりすることもなく、ごく普通に、ただ周囲の一部として
生きている、そんなふうに見える。

 ラダックの人たちが持つおしゃべりのスキルも、きっとそういうところから
来ているのだと思う。周りのみんなから自分を際だたせようとするより、周り
のみんなの中にいる自分を、シンプルに楽しめる人たち。

 大麦と小麦と野菜を使った食事は、種類の数としてはあまり期待できない。
「グルメ」だの「飽食」だのいう言葉に普通に囲まれた生活からここにやって
来ると、そのあまりの質素さに初めは驚かされる。

 それでもラダックの人は食べることが大好きだし、そして外から訪れた人も
しばらくいれば、その地でとれた素材を使ってつくる料理の豊かさに気づき、
周囲の一部としての「食」を楽しむことと、周囲をはるかに越えたところにま
で「食」を求めることについて、考えさせられるようになるだろう。

 ずっと周囲の一部として生きてきたラダックの人たちはだから、「自分の暮
らすところで循環できる輪」というシステムを、千年以上に渡って培うことが
できた。

 たとえば家で飼われている牛は、人にミルクを提供してくれる。牛の糞は乾
かして燃料にする。その燃料で調理したものを人は食べたり、牛から絞ったミ
ルクを飲んだりするわけだけれど、そうして食べて飲んで人が排泄するものは
有機肥料になる。

 肥料は畑に蒔かれる。畑で育った麦や野菜を人は食べるし、雑草は牛の餌に
なる。そして人の排泄物や牛の糞がまた、肥料や燃料になる。

 本当に、捨てようにも捨てるゴミがほとんど出ない。

 畑でとれるものも、動物たちがもたらすものも、自分たちの体から生じるも
のも、そして、周りに繁っている樹も道に転がっている石も、使えるものは、
なんでも何にでも使う。使いおわれば、畑や動物たちや道や、そして周りへと
還っていく。還っていくそこは、自分たちの暮らすところ。

 こういう感覚のもとで生きていると、日々ただ道を歩くときの歩き方も変わ
ってくるかもしれない。

「あ、あの枝、なんかちょうどよさげだなぁ」
「この石ころの形、使えるかも」

 そんなことを考えながら外を歩くのは、きっと楽しい。

 人が生きていく上でもっとも大切な、水。その水が部屋まで来る過程を逆に
辿ってみると、まず、ポリタンクを抱えて水汲み場まで歩く。そこまでどうや
って水が来ているかは、ちょっと辺りを見まわせばはっきりと見える。

 ちっちゃな水路。水路に水を流す細い沢。細い沢につながる小さな川。とい
うように、簡単に順番に遡っていける。

 小さな川のその先は村の中央を貫く大きな川、上流に目をやると山があって、
その山の向こうにはもっと高い山があって、さらに先にはもっともっと高い山
がそびえていて、そしてその山の頂は真っ白い雪で覆われていて、雪の上には、
空が…

 こうして水の基が雪を降らせる空にまでつながった、それを火に試してみた
ときも、ストーブにくべる薪にしろ燃料にする牛や羊の糞にしろ、生活のすぐ
周りから来ているものだから、その基を辿るのはたやすい。樹や動物のさらに
先を土にまで遡ることも、ほんの少し想像力を働かせれば、それほど無理なく
できるだろう。

 結局もたらしてくれるものは、肌で感じられる周囲で息づいている、人間以
外の何か。

 火の恵みの基には土の恵み。

 水の恵みの基には空の恵み。

 たぶん、火の神さまや水の神さま、土の神さま、空の神さまなどの感覚は、
こういうところから来ているのだと思う。

 ここまで綴ってきたことを読むと、日本の現状からはあまりにもかけはなれ
た、ある意味「別世界」のように感じられてしまうかもしれない。

 だけれども実際のラダックは、「別世界」でもなんでもなかった。いや、と
いうよりもむしろ、「別世界」のようだったところが、少しずつ少しずつ「別
世界」ではなくなっていく様子に、ぼくは気づかないではいられなかった。

 ラダックみたいな辺境の地にまで容赦なく押しよせてくる「何か」。

 また機会があれば、今度は、ラダックの村に押しよせてきている「何か」に
ついて語ってみたいと思う。


<ラダック(閑話休題 5)2 おわり>


                    (執筆:2007‐10‐25)


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 2週に渡って、どうして急に旅を逆戻りさせるかのようにラダックの話を持
ってきたかというと、ぼくがラダックにいったときのことを綴った本の出版が、
ようやく多少現実味を帯びた話になってきたその宣伝、といってしまうと身も
蓋もなくなってしまいますが、まあ、そういう意図もあったわけです。

 ずっとフィクション畑で文章修養を重ねてきたぼくには、実際の体験をカタ
チにする文章は思った以上にチャレンジなことで、去年の今頃日本に帰ってき
てから1年の間、何度も何度もボツにしては書きなおし、遅々として進まない
時期もあったりしつつ、様々な出会いとタイミングに恵まれ、どうにかこうに
かここまで漕ぎつけた、そんな感じです。

 まだ完成したわけではないので、お世話になった「出会いとタイミング」へ
のお礼はそのときを待つことにして、まずはその「プレ本」というか、ラダッ
クを舞台にした童話ができあがりました。

 できあがったといってもまだ単なるワードのベタ打ち状態にすぎないのだけ
ど、先週お知らせした『ラダック報告会』におこしいただくと、ぼくの挿絵も
入ったその「プレ童話」を(どうしようもなく手作りな状態でよければ)プレ
ゼントしますので、よかったら遊びに来てください。

 ということでしつこくなって申し訳ないのですが、先週と同じご案内を↓に。


                             India CUTTERS   039/31/10/2007


(↓以下、詳細案内、転載)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『ラダックファームステイ報告』

■日時 11月8日(木) 19時〜21時30分(開場18時30分)
 18時30分より、ラダックの小さなおみやげ販売とミニ写真展を開催します。
 じっくりご覧になりたい場合は、おはやめにお越しください。

■場所 下北沢らぷらす 11階 研修室4
 http://www.setagaya-ac.or.jp/ldc/modules/aboutus/access_rapurasu.php

■参加費 1,000円(バター茶・お菓子つき)
 ◎マイカップ持参、大歓迎です!

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 お名前だけで結構ですからお知らせください。
 site_roof@yahoo.co.jp

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