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2008/05/12

家族を守る力になりたい

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家族を守る力になりたい(2008・3〜2008・4)




2008 3 家族を守る力になりたい
基本的な考え方に問題がある 後期高齢者医療制度




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もくじ

○基本的な考え方に問題がある 後期高齢者医療制度

○家族の助け合いを否定するような制度だ

○強者による強者のための制度

○お世話になった方々を支える気持ちが大切



基本的な考え方に問題がある 後期高齢者医療制度

  この4月から後期高齢者医療制度がスタートしました。皆さん、よく御存知
のように、新しい保険証が送られてこなかったり、年金から保険料が天引きさ
れるようになったということで、制度の対象となる75歳以上の高齢者を大きな
不安に陥れています。その点について政府は説明不足を強調しているのですが、
私は事務的な面での説明不足などよりも、制度の基本的な考え方そのものに問
題があると思います。
  後期高齢者医療制度は75歳以上の高齢者を下の世代から切り離して設けられ
た医療保険制度です。つまり、本来、医療保険制度というのは助け合いの精神
によって年齢にかかわらず支え合っていくべきなのに75歳以上の方々を若い世
代から切り離してしまったのでした。
その根底には、医療費のかかる75歳以上の高齢者だけで公的医療保険を運用す
べきという基本的な考え方があって、そこに私は制度設計の誤りがあると思う
のです。

高齢者の医療費が膨らむことへの大きな懸念
  なぜこのような制度ができたと言うと、若い世代よりも高齢者の世代のほう
が医療費がかさみ、このままでは公的な医療保険制度が破綻するのではないか
という大きな懸念を政府が持ったからでした。
  もちろん、そういう懸念は以前からあったため、1983年に創設されたのが老
人保健制度です。これも75歳以上が使う医療費を別枠にした制度で、その財源
には対象者が払う保険料のほか、国民健康保険(国保)と企業の健康保険組合
(健保組合)からの支援金や税金が投入されてきました。
後期高齢者医療制度にも同様に国保と健保組合からの支援金と税金が投入され
ます。だから、「老人保健制度と変わらない。違うのは、会社員の子供に扶養
されている75歳以上の人が自分で保険料を払うようになったことくらいだ」と
主張する人がいます。
  老人保険制度と後期高齢者医療制度とが違わないというのなら、では、どう
してわざわざ老人保険制度を後期高齢者医療制度に切り替えたのでしょうか。



家族の助け合いを否定するような制度だ

  実は、後期高齢者医療制度においては2年ごとに保険料の見直しが行われます。
75歳以上の高齢者の医療費が増えた場合、そのまま高齢者の支払う保険料の
アップになって跳ね返ってくるのです。
要するに、これは「保険料を上げたくなかったら、高齢者自身が医療費を減らす
努力をせよ(医者にかかるな)」ということにほかなりません。しかも、年金か
らの天引きには、否応なく保険料を取り立てるという姿勢が如実に表れています。
  また、今まで家族の扶養となっていて保険料を払わなくてもよかった方々も
75歳以上になれば自ら保険料を払わなくてはならないという点については、そこ
にまさに高齢者の医療保険だけを切り離そうという基本的な考え方が明確に打ち
出されていると思うのです。
  私のサラリーマンの友人も、後期高齢者医療制度の対象であるお母様について
「母の保険料を払うのは息子として当然だと思っていたけれども、今度から母に
直接払わせるのかと思うと気が重い」と言っていました。この点からすれば、
後期高齢者医療制度は、家族同士の助け合い、あるいは子供の親に対する孝行を
否定するような側面があります。それが後期高齢者医療制度に対する反発心を
さらに強く掻き立てているのではないでしょうか。
  政府としてもこの点には特にやましさを感じているのでしょう。2008年度の
前半は扶養されている高齢者から保険料を徴収せず、後半も9割減額する特例
を設けたのでした。


強者による強者のための制度

  後期高齢者医療制度は2006年に導入が決まったのですが、それを推進したのが
小泉政権時代の経済財政諮問会議で、財政面から、高齢者の医療費が膨らむこと
による医療保険制度の破綻を強調していたのでした。
この会議は、「経済財政政策に関し、有識者の意見を十分に反映させつつ、内閣
総理大臣のリーダーシップを十全に発揮することを目的として、内閣府に設置
される合議制機関」で、メンバーは議長(内閣総理大臣)を含めて合計11名以内
で構成されます。内閣官房長官、財務大臣、総務大臣、経済産業大臣などのほか、
民間の有識者(日本銀行総裁、大企業経営者、学者など)も加わります。
  いずれにせよメンバーには社会的弱者はおらず、皆さん、強者ばかりです。
言い換えれば、たとえ公的年金がなくても老後を優雅に暮らしていける人たち
なのです(国会議員の年金は2006年4月に廃止されました。当時の経済財政諮問
会議メンバーの大臣には受給資格がありますが、廃止時に議員在職10年に満た
なかった私には受給資格はありません)。
そういう人たちが「高齢者の医療費が増えるのはけしからん」と考えて、後期高
齢者医療制度を導入するように働きかけていったのでした。そこにあるのは、
「財政が厳しいから、膨らんでいる高齢者の医療費をできるだけ減らせ」という
財政優先の考えしかありません。
  いわば、高齢者の医療よりも財政を優先する強者の強者による強者のための
制度なのです。


お世話になった方々を支える気持ちが大切

  そのような財政優先の考え方だけでいいのでしょうか。
今の75歳の高齢者は終戦時には12歳くらいでした(もっと年上の方は戦場にも行
きました)。戦争で空襲を受けたり疎開したりし、多感な時期に敗戦を迎えて価
値観の大転換を目の当たりにしました。そして、戦後の食料不足の時代を生き
抜き、高度経済成長期には日本の発展のために一生懸命に働いた方々なのです。
下の世代が非常にお世話になったのは言うまでもありません。
  そういう方々に「医者にかかるな」などと言えるのでしょうか。医療費につい
ても、高齢者の医療費をまず削るという発想が先にあるのではなく、下の世代
がどこまで支えることができるのかという観点からも考え直さなくてはなりま
せん。
  そういう観点から後期高齢者医療制度を見直し、世代間で助け合っていける
ような制度を新しく創設していくべきと考えます。


家族を守る力になりたい
発行人:衆議院議員 大島あつし
http://www.sakitama.or.jp/oshima/
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