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2007/08/21

家族を守る力になりたい

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家族を守る力になりたい(2007・6〜2007・7)

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政治家に求められるのは行政の問題点を見つけるセンスだ

 今回の参院選では消えた年金問題が焦点になりましたので、この問題を政と
官の関係で考えてみたいと思います。消えた年金問題を指摘したのは野党であ
る民主党の国会議員でした。しかし、野党に比べれば与党の持っている行政の
情報は膨大ですから、本来、与党の政治家が今回の年金問題をいち早く見つけ
て解決に動き出すことができたのではないでしょうか。
 なぜできなかったのか。それは行政の問題点に気付くというセンスを一つの
政権が長く続くと政治家が失ってしまうか、あるいは退化してしまうからだと
思います。これまで与党の政治家は法律作りを全面的に官僚機構に依存してき
ました。つまり、官僚との緊張関係が消え、そのために政治家としてのセンス
もなくしてしまったのです。
 今回の社会保険庁への対応にもその緊張感のなさが表れています。「社保庁
を廃止して日本年金機構を設立し、その業務運営の基本となるべき事項等を定
める」という社保庁改革関連法案は、5000万件もの年金記録消失問題が浮
上する以前に作られましたが、それにまったく修正が加えられずに成立してし
まったのです。
 言い換えれば、膨大な年金記録を消してしまった社保庁には組織面で大きな
欠陥があるのですから、本来ならその欠陥の解決が図られるような法律にしな
ければなりません。ところが、与党はそういう努力を何ら行わなかったわけで、
日本年金機構へと名称を変更しても組織的な欠陥が残っていれば、また年金で
何か問題を引き起こす可能性が高いのではないでしょうか。


どんな体制の国にも不可欠なのが官僚制度

 社保庁のこれまでの仕事ぶりに国民から厳しい批判が集まっているのですが、
これは同時に官僚をコントロールできなかった政治家の責任が問われる象徴的
な問題でもあります。つまり、社保庁の仕事ぶりを放置し、さらに社保庁改革
関連法で組織の欠陥が修正されなかったという意味では、やはり政治家が官僚
を統治できなかったケースと言えます。
 現代の国家では民主国家、独裁国家、資本主義国家、共産主義国家、先進国、
発展途上国を問わず官僚制度が不可欠であり、とりわけ規模の大きい国家ほど
その問題点もまた大きくなりがちです。よく「大きな政府か小さな政府か」と
いう議論がありますが、これも要するに官僚制度をどのような規模や機能にす
るかという問題にほかなりません。


キッシンジャーが鋭く指摘する官僚の特徴

 日本人には、官僚制度があまり表に出ていないように見えるアメリカでさえ
も、政治家にとっては官僚をどうコントロールするかが非常に大きな問題なの
です。ハーバード大学教授などを経て、1969年からニクソン政権とフォー
ド政権で国家安全保障担当大統領補佐官や国務長官を務め、ノーベル平和賞も
受賞したヘンリー・キッシンジャーは、回顧録の『キッシンジャー秘録』で次
のように述べています。
  
・官僚たちは、同意しない命令を実行に移す時は、のろのろしているものだが、
彼らが賛成し、しかも変更になるかもしれないと心配している指示を実行する
素早さといったら、あきれるほどだ。
・官庁というものは決定が逆転不可能であり、工夫をこらした曲解や情報漏れ
という手を使っても変更できないことがわかったとたん、すばらしい機関にな
り、有能、能率、思慮を発揮する。

 以上の記述には私も強く同感します。議員活動の中で日常的に付き合ってい
る日本の官僚たちにも同じ側面があることに加えて、私自身、大企業で働いた
経験からもキッシンジャーの言わんとしているところが非常によく理解できる
のです。
 官僚たちは、政治家の意図に従わないで自分たちがやりたい方向に政治家を
誘導していこうとします。そのように政治家のコントロールが利かないのが官
僚主導の政治なのですが、これまでの特殊法人の独立行政法人化や今回の社保
庁改革で行われたのがまさにそれだったと言えるでしょう。「同意しない命令
を実行に移す時は、のろのろし」、「工夫をこらした曲解」が行われていたの
だと思います。
 だからこそ、政治家には断固とした態度で官僚を動かしていく努力が欠かせ
ません。つまり、政治家は「決定が逆転不可能」だと官僚にわからせて、「有
能、能率、思慮を発揮する」ように持っていく必要があります。
 また、年金記録消失の責任を取るということで、政府では総理大臣、内閣官
房長官、厚生労働大臣、社保庁長官などが賞与の一部あるいは全部の返上を決
めたほか、社保庁の職員にも賞与の一部の自主返上を奨励しました。しかし私
は、政治家の責任の取り方とは賞与を返上することではなく、その職を辞する
かどうかという出処進退によるべきだと思います。それこそ、政治家に求めら
れることでしょう。
 

優先順位の高い政策から先に実行すべきだ

 なお、キッシンジャーは同じ著書で次のようにも述べています。
  
・上級職にいると、いろいろ多忙なので、問題がただ先に延ばされただけのこ
となのに、回避できたかのように思い込みがちであり、たいていの場合、ここ
から危機を招来する。

 3年前の参院選の時にも国民年金未納の問題が起こり、年金制度の抜本的な
改革が叫ばれていました。あの時期に国民年金、厚生年金、共済年金を統合す
るなど抜本的な改革を断行していれば、年金記録消失の問題もより早く発覚し
て、今ごろはもっときちんとした年金制度が整備されつつあったでしょう。
 ところが、その後、小泉首相が衆議院を解散してまで行ったのは年金制度改
革ではなく郵政民営化でした。「郵政民営化は改革の本丸だ」という主張でし
たが、残念ながら、"本丸"の郵政民営化が他の改革に目に見える形で波及して
いったという現実も印象もまったくありません。
 郵政民営化によってこんな大きなプラスの変化があったと言われる方がいた
ら、ぜひ教えてほしいものです。
 政治家は優先順位の高い政策から先に実行すべきだというのが私の持論です
が、年金制度改革について言えば、結局、最近に至るまで「問題がただ先に延
ばされただけのことなのに、回避できたかのように思い込みがち」だったとい
うことではないでしょうか。
 3年前の時点でやはり年金制度の抜本的な改革に取り組むべきでした。その
後に郵政民営化に取り組んでもけっして遅くなかったに違いありません。

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家族を守る力になりたい
発行人:衆議院議員 大島あつし
http://www.sakitama.or.jp/oshima/
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