2007/12/15
日本応用老年学会は高齢社会のネットワークセンターを目指しています
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 応用老年学ニュースレター 第15号 平成19年12月15日発行 日本応用老年学会事務局 http://www.sag-j.org/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆応用老年学ニュースレターは、日本応用老年学会事務局が毎月 発行するメールマガジンです。会員以外の方にもご購読 いただけます。 □ 目次 □-------------------------------------------------- 1 日本応用老年学会からのお知らせ 2 問題発見と解決のサイクルの中で ダイヤ高齢社会研究財団 澤岡詩野 3 音楽療法は具がいっぱいのお鍋のよう・・・ 精神対話士 中村嘉奈子 ─────────────────────────────── ■■ 1 日本応用老年学会からのお知らせ ■■ ─────────────────────────────── 「12月教養講座のお知らせ」 ●講座名 :老年病症候群とは何か ●内 容 :三大死因(がん,心疾患,脳血管疾患)や高血圧症,糖尿病な どのいわゆる生活習慣病についてはよく知られています. しかし,高齢期 の生活の質にとっては老年病症候群の方がより問題です.今回は,高齢期に 生じることの多い, 低栄養や脱水,感染症,認知症やうつ,尿失禁,転倒 や骨折,医原病,睡眠障害などの主な老年病症候群の病態,予防,治療について学びます. ●講師:桜美林大学大学院老年学 准教授 東京都老人総合研究所 客員研究員 医学博士 渡辺修一郎 ●日時:12月19日(水) 18:30〜20:30(開場18時00分) ●場所:東京都渋谷区代々木2-5-5 新宿農協会館8階 ●定員:70名(先着順) ●会費:1,000円(非会員2,000円・学生1,000円(大学院生除く) 申し込みはホームページ(http://www.sag-j.org/)から ─────────────────────────────── ■■ 2 問題発見と解決のサイクルの中で □□ ダイヤ高齢社会研究財団 澤岡詩野 ─────────────────────────────── 今年も残すところ数週間、大学では学位論文の追い込みに入っている時期 ではないだろうか?どうにかこうにか、この試練を乗り越えてきた私にとっ ては、苦い思いが蘇る季節である。春先から追いかけてき問題意識と調査設 計が一致しないなど、収集したデータを前に茫然自失するのが、だいたい12 月であった。 私は学生時代、研究とは問題発見と解決のサイクルが繰り返されることで 完成に近づくと教わってきた。このサイクルは、問題意識から理論命題を 構築し(第1段階)、これをより具体的に操作仮説として提示し(第2段階)、 この仮説を検討するためのデータ収集を行い(第3段階)、操作仮説の真偽に 関する統計的検証を行い(第4段階)、これらの再評価を行う(第5段階)の5段 階で構成されている。このサイクルの中で、最も慎重に時間をかけるべき作 業は、既存研究の文献レビューであると思う。自身の問題意識および理論命 題から具体化した操作仮説の独自性は?仮説検討の為に用いる測定項目の妥 当性は?得られた結果と既存研究との整合性は? この文献レビュー方法としては、国会図書館や大学の図書館で手当たり次第 に文献を読み漁る方法がある。工業大学出身の私は、福祉系や社会学系の他 大学図書館に通っていた。しかし時間と手間をかけても、データ解析段階に なってから類似する既存研究を見つける等、カバーできない文献が多く存在 した。試行錯誤の結果見つけた方法は、インターネット上で公開されている 無料の文献データベースを活用することであった。この方法は、現在でも頻 繁に利用している。以下に紹介する3つのデータベースは、キーワードや著 者名での検索、抄録のダウンロードが可能である。なお、社会老年学文献デ ータベースは、私が所属する財団法人ダイヤ高齢社会研究財団が運営してお り、高齢社会研究に関する学術論文(51の学会誌)を網羅した学際的なデータ ベースである。 日本語文献 社会老年学文献データベースhttp://www.dia.or.jp/website/ 英語文献 MEDLINE http://medline.cos.com/ AgeLine Database http://www.aarp.org/research/ageline/ 現在、私は企業退職者の社会関係に着目し、研究を進めている。高齢期の 社会関係に関しては、様々な測定概念のもと多くの研究が行われ、サーベイ すればする程、複雑さが増していく様に感じる日々である。苦い思い出が蘇 るこの季節、日本応用老年学会会員と共に緻密な文献サーベイの重要性を再 確認し、質の高い研究サイクルを創り上げていければと考える。 ─────────────────────────────── ■□ 3 音楽療法は具がいっぱいのお鍋のよう・・・ ■□ 精神対話士 中村嘉奈子 ─────────────────────────────── 音楽療法と一言でいっても、いろいろな解釈があると思います。私は音楽 療法は「回想法」のつもりで行っています。本来回想法とは、主に高齢者を 対象とし、昔の物や事柄を媒体にしてその人の過去の記憶を引き出し、より 良く生きるための活力を引き出す心理療法の一つ(回想法HP)です。私は これを、昔の物ではなく「昔の音楽」で、その人の活力を引き出そうとして います。 月に2〜3回高齢者施設に行き、1時間の音楽療法を行います。内容は、ただ 懐かしい歌を歌うだけではなく、歌にまつわるお話しや作詞家や作曲家の ことなど、お話しを交えながら10曲程の童謡、唱歌、懐メロなどを一緒に歌 います。またその時、歌に合わせた身体運動も取り入れ、心だけでなく身体 の活性化もはかります。「証城寺のたぬき囃子」に合わせて少し考えなけれ ばできないジャンケンをリズム良く行う、「雪」に合わせて指体操をする、 「どんぐりころころ」に合わせて手話を行えば、顔の表情が豊かになり身体 のストレッチ効果もあります。 音楽療法は参加される高齢者の方が「楽しく」、内容は「より音楽的」 であることが重要だと思っています。高齢者施設では、スタッフの「1、 2、3、4、!」という号令で、皆さんが体操をしている姿をよく見かけ ます。これは確かに体には良い運動になっていますが、あまり楽しくありま せん。こうした動きに昔よく歌った懐かしい歌を一緒に合わせると、心も 楽しく身体も運動でき、脳や体内の活性化に繋がります。 1時間のセッション終了後は、歌ったあとの余韻を楽しみたいということ と、歌ってどう感じたかを聴きたいので、小1時間の傾聴時間を取っていま す。歌によって何を思い出されたのか、何を感じたのか、どうして泣いて いるのか等、心の内を話して下さいます。この傾聴時間が正に生きた回想 法となって、その人の活力を引き出すチャンスだと思っています。つまり 回想法として行うということは、傾聴時間を設けなければせっかく歌って も、効果は半減するのではないかと考えています。 私はこのように、音楽療法を歌やお話しを通じて回想法として捉え、その 人の活力を引き出せるよう歌に合わせた身体運動を取り入れ、最後に傾聴で 終ります。まるで音楽療法は、具材がいっぱいのお鍋のようです。 (中村嘉奈子さんは老人施設で音楽療法を提供中だそうです) ───────────────────────────── お知らせ:当学会の会員の方は是非ご自身の体験やご意見を投稿ください。 投稿された方には1千円の図書券を謝礼としてお送りさせていた だきます。貴重な体験や意見、考えなど800〜1000字にまとめて 楳林(Email: ume-i@extra.ocn.ne.jp)までお送りください。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 【編集後記】私も地元横浜でボランティアで回想法のお手伝いをしています が、高齢者の話を傾聴することは自分自身にとっても大きな気づきの場とな っているのを感じます。さて今年もあと2週間あまり、皆さんにとって今年 はどんな年でしたか。また来年をどのような年にしたいですか(U)。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 日本応用老年学会事務局発行 オフィシャル・メールマガジン【応用老年学ニュースレター】 このメルマガは『まぐまぐ!』を利用して発行しています。 ---------------------------------------------------------------------- 応用老年学ニュースレター 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000211090.html 無断転用はお断りします。 編集:柴田博(日本応用老年学会理事長) 楳林郁夫(桜美林大学 加齢・発達研究所研究員) 日本応用老年学会事務局 e-mail ume-i@extra.ocn.ne.jp 〒173-0015 東京都板橋区栄町35−2 東京都老人総合研究所 自立促進と介護予防研究チーム内 ◎応用老年学ニュースレターのバックナンバー ⇒ http://blog.mag2.com/m/log/0000211090/


