2009/11/13
特許事務所の裏話
●◎● 非まじめ・メールマガジン 2009.11.13. ◎●◎ 『 特許事務所の裏話 』 No000号 ◎●◎ 原点発創研究所:非まじめ発創塾 坂井 徳栄 ◎●◎ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この度もご購読いただきまして有り難う御座います。 11月11日の日経新聞に「3世紀の大型建造物跡」として耶馬台国論争に 影響する奈良のまきむく遺跡の再発掘が、1ページ全段を使って報じられて いましたね。 中国の三国志に書かれた耶馬台国と時代が一致するそうで、畿内説と九州説 の論争が収まりませんね。 この遺跡で見つかった柱穴を基に4棟の建造物と垣根の復元模型の写真も 掲載されていました。 橿原考古学研究所の菅谷氏は、今回の発掘の結果を見て「生活臭が薄く、 祭祀的性格か」と言いながら、卑弥呼を主とする祭祀的建造物の可能性を 語っておられます。 ---------------------------- ところで、経済界は、やはり地殻変動が起きていますよ。 この地殻変動の例ですが、日本の企業もかかわり、世界の経済界にも 大きな影響があるし、我々の生活にも大変重要な位置を占めてくることで しょう。 記事は勿論日経新聞の11月11日のもので、「巨大プラントの衝撃 上」 で、翌12日には「下」が掲載されました。 この巨大プラントは、住友化学とサウジの国営石油会社が、1兆円を投じ 世界最大級の石油化学事業「ペトロ・ラービク」が6日に完工したことを 告げるものです。 従来は、原油精製過程で生じるナフサを原料にしてエタンを製造して、 このエタン(原料ガス)を原料にしてエチレンを生産しているそうです (化学知識が乏しいため間違えているかも知れません)。 ところが、ペトロ・ラービクは、原油と一緒に噴出し無駄に燃して 地球温暖化を加速している天然ガスを原料としてつくったエタンを原料に するのだそうです。 と言うわけですから従来の原料ガスとしてのエタンの10分の1の原価で 原料ガスが手に入るのです。 こうなると世界中の石油化学業界に激震が走りますよね。 現在の日本の年間エチレン生産量は、688万トンだそうですが、 ペトロ・ラービク1社で年間130万トンの生産量になるのです。 こうした取り組みは、ペトロ・ラービク1社ではなく、ペトロ・ラービク の北方のヤンブーでも130万トン級の設備が稼動を開始するそうです。 さらに、三菱グループも参加する石化工場の完成が大詰めを迎えている そうです。 もちろん、米国のダウ・ケミカルもアラムコと組み、ドイツのBASFも スイスの化学大手チバを買収して中東に飛び込むようですから化学業界は、 大激震ではなくまさに地殻変動を起こすことになるでしょうね。 ホルムズ海峡が、動乱で完全に封鎖されたり、逆に動乱が収まったりで、 世界経済への影響がガラリと変ることでしょう。 これで需要が急増する中国やインドに一気に流れ込むことになるから 日本企業である旭化成の伊藤副社長は「従来通り輸出できると思えない」 と危機感を強めています。 この問題を更に考えると日本の中小企業にも大変な事態が発生します。 今や我々の生活の中から合成樹脂を取上げたら大変な不便を感じると 思いますからエチレンから作られる合成樹脂関連商品に間違いなく価格 破壊が起きると思われますが、そこで終われば目出度し目出度しなのです が、世の中そうは簡単に終わりません。 同じエチレンが、中国(人口13.5億人)やインド(12億人)にも 流入しますからこれらの国の安い人件費を使ってつくられた合成樹脂関連 商品が日本国内にも輸入されます。 日本の国内には、中国からの輸入品ですでに青息吐息の合成樹脂関連 商品を射出成型する中小零細企業が多数ありますが、三条の地場金物と 同様な運命をたどることになるでしょうね。 これの動きは、合成樹脂関連商品だけの問題ではありません。 製鉄関連、自動車関連、コンピューター関連などなど全ての産業が グローバル化され国際競争の中に投げ込まれてしまっているのですから これからの日本経済にどれほど大きな影響が出てくるものか計り知れません。 幸いなことに、その解決策の一端が、同じ11日に掲載されていましたので 【非まじめ発創】の後にヒントとなる記事を書きましょう。 ---------------------------- ◆ 【非まじめ発創】 特許事務所の裏話 投稿メール公開 非まじめ発創塾のホームページをご覧になり、掲載内容に賛同された ゴールド特許事務所のバットマン氏から特許事務所の実情を明かす 次のようなメールが届きました。 しかも、ご丁寧にメール内容の公表許可までつけておられました。 この方は、現役の特許事務所の職員だそうですが、内部告発 的なメールなので事務所名もご自身のお名前も明かして おられません。調べてみたのですが、同名の特許事務所は ありませんでした。 バットマン氏のご好意に甘え、掲載させていただきました。 全ての特許事務所がそうだというわけではありません。 しかし、何処の世界にも悪者がいるものです。 国会議員、裁判官、官僚、警察官、各種士業など・・・諸々の世界にも・・・ これは、人間のサガというものでしょうね。 何れにしても、 ・・・ 犬養新平弁理士の言われるように ・・・ 自分の特許権は、自分で守らねばならないのです。 医者が、病気を治してくれるわけではなく 医者は、病気を治す手助けをしてくれるように・・・! ※ 頭で分っていながら、この落とし穴にはまった私です。 医師次第で手助けさえ当てに出来ませんからご注意を! ・・・・・・・ 以下 送付されたメール ・・・・・・・ 非まじめ発創塾の坂井様 突然ですが、私は、ゴールド特許事務所に勤めるバットマンと言い まして、現役の特許事務所の職員ですが、貴殿のホームページの掲載内容に 賛同すること多々あります。 このメールに記載した内容を貴殿の自由にご利用になって結構ですから、 私の身元は洗わないで下さい。 私共の特許事務所を含めほとんどの特許事務所では、特許を熟知しない 職員が、一人前の顔して依頼主に接し、一方、依頼主も特許のことは何も 分らず依頼にきて「丸投げ」していく、のが実情です。 「丸投げ」はいいのですが、ひどいときは、実施例も、図面もなく、 サテサテ、何が新しいのかさえ分らない。特許事務所に言えばなんとかなる、 と信じているお目出度い個人や中小企業の方々が多い、というか、 ほとんどです。 我々も、5分か10分の口頭による説明を受けるだけですから、良い 明細書ができる訳がないのです。 でも、特許事務所にとっては、依頼内容が良くても悪くても1件は1件、 これでビジネスしているのです。 1件いくらの社会で、断ればゼロですから・・・。 もう一つ、貴殿もご存知でしょうが、特許事務所では(知ってか知らずでか、 いや、知っていても手間隙をかけたくないから)、範囲の狭い出願をするよう です。 この方が特許になり易いのは事実ですが、もっと出願人の立場で広く 権利がとれるようにしてやる努力が不足しています。 例えば、「A部材と、B部材と、C部材からなるX1商品」で特許権が 取れたとします。これに対し、第三者が「A部材と、B部材からなるX2 商品」にすれば特許を逃げられることになります。さらに、「A部材と、 B部材と、D部材からなるX3商品」にすれば、新しい特許になります。 この場合、「A部材と、B部材を含むX商品」とすれば、さらにC部材を 入れようが、D部材を入れようが、A部材とB部材を含むので権利の 範囲内に入ります。 このような、一寸した気づかいがどうも欠けているようです。 以上、事実に基いた戯言でした・・・・バットマン ・・・・・・・ 以上、引用 ・・・・・・・ バットマン様 有難う御座いました。 皆さん 驚かれたことでしょう。 特許に詳しくない方のためにX商品の例を具体的に一言説明を加えましょう。 例えば、バネですが、バネには、板バネやコイルバネなど様々なバネが あります。このとき、板バネの説明だけしてコイルバネの説明を全くせず、 請求項にも板バネのみを入れた場合、コイルバネを使った商品は、権利から 外れます。 こんなときは、板バネとコイルバネの使用例を書いた上で請求項には、 単に『バネ』と入れるべきでしょう。これでどんなバネを使った商品も 権利が及ぶことになります。 さらに、バネの代わりにゴムやスポンジでも良い場合は、ゴムやスポンジの 例も説明した上で、請求項には『バネ』の代りに『弾性体』と入れたいもの です。 これならどんなバネでも、ゴムなどの弾性体も全て権利に含まれます。 但し、あまり権利を広げすぎると、特許庁の審査官の調査範囲が広がり、 拒絶されやすくなりますから特許出願する前の特許調査が重要なのです。 特許調査費用を惜しむと、結果としてドブに金を捨てることにもなり、 高くつきます。 『特許の落し穴』などほかの欄に書いた具体例を参考にして下さいね。 さらに、もっとひどい実例もありますから・・・。 ある高名な現役弁理士の書いた『はさみ』の特許出願では、【請求の範囲】 も【詳細な説明】も滅茶苦茶で、【図面】は手書きの漫画でした。あげくの はてに特許庁からの補正命令も放置されたまま公開された公報を見たこと さえありますから。 もっとも、この例は、当の弁理士が知らないうちに職員が勝手にやった ものと思われるのですが・・・? この公明な弁理士は、一時期便利弁理士会会長を勤めた弁理士でした。 何れにしても、特許の『丸投げ出願』は止め ましょう。 弁理士の犬養新平先生も書いておられます ・ 自分の発明は、自分で守ろう! また、弁理士の山田康生先生も書いておられます ・ 特許明細書は、タフであれ!! と。 ---------------------------- ◆ 【あとがき】 最初に触れましたが、経済界・産業界に地殻変動が起きているわけですから 中小零細企業はもとより我々個々人も生き残らねばならないのです。 さて、どうやって生き残ればいいのでしょうか? これなら絶対と言うような答えを出せるわけがないのですが、理屈の上では 消費者自身が気づいていなくとも良いが、 提供されれば消費者が喜んで買ってくれる モノコト を提供できれば良いのです。 これは、マーケティングコンサルトの受売りに過ぎない表現です。 この1例が、最近マスコミで盛んに取上げられているユニクロでしょうね。 特許電子図書館を使ってユニクロで検索したらフィンランドの UNICROP LTDからの出願が2件ありましたが、日本のユニクロとは 無縁の会社のようです。 そこで親会社のファーストリテイリングで検索したら特許の公開が9件で、 公告が2件でした(18ヶ月間のみ公開分はわかりません)。 天下に名をなしたファーストリテイリングでさえ9件しか出願していない のですから特許商品だけが生き残り策ではないことがわかりますね。 ファーストリテイリングとして最初の出願が、2001年ですからフリース のヒット後となります。 と言うことは、特許権がなくとも売り方次第でヒット商品が誕生したのです。 ユニクロのヒット商品は、当時は他社が気づかなかったつくり方と売り方で お客の心と言うか財布を開かせたのですね。 これで特許権もあればもっと良いわけですから、2001年に「表裏面で 異なる表面感を有するフリース」を特許出願したのですが、予定通り行かな かったらしく審査請求せずに「みなし取り下げ」となりました。 中小零細企業が、グローバル競争化で生き残るにはどうしたらよいのか? 具合のいいことに11日「特許活用で脱下請け」がありました。 イヤ、この記事があったから前置きにユニクロを取上げたのです。 竹中製作所、ナノ技術 有償供与 坂口電熱 事業化への専門組織 が、技術開発を特許出願できるまで高めると言う一つのやり方です。 竹中製作所は東大阪市のボルト・ナット製造会社です。 自社開発した金属の表面処理剤を大手と量産メーカーに有償供与している。 言葉で書くと「大手と量産メーカーに有償供与」と簡単そうに見えますが、 実際にこれが出来る技術者は、中小零細企業には、ほとんどいないでしょう から開発には相当苦労したはずです。 次のURLを見てください。 http://www.takenaka-mfg.co.jp/ 電熱器の坂口電熱(東京・千代田区)は、保有特許を精査し、積極的に 事業化専門部隊を立ち上げ、休眠特許を積極的に活かして太陽電池、電気 自動車、燃料電池と言った環境関連製品開発に積極的に打って出ている そうです。 URLは ⇒ http://www.sakaguchi.com/lineup/index.html 精密部品のサンコー技研(高松市)は、下請けでは業績回復が難しいと 見て特許出願を積極出願する方針に切り替え、年内に液晶製品の特許を 出願すると言う。 いづれにしても技術力が生き残りへのキーワードであり、消費者や顧客が 気づかないベネフィットすなわち利益をもたらす商品の開発が必要なことは 間違いないでしょう。 特許商品を開発できれば、少なくとも国内市場を独占できるのだから 大いに活用していただきたいと思います。 そのためにももう一つご紹介しておきたい記事があります。 それは、私の住む三条市の従業員が10名ほどの若狭屋と言う場企業の 開発した園芸鋏ですが、まだ特許公開されておらないので詳細がわからない のですが、片側の握り部に指で操作できるN極磁石をスライドさせ、もう 一方の握り部には、N極とS極を対応させ、N極磁石をスライドさせる ことにより従来の3分の1ほどの力で園芸樹木の剪定ができるというものです。 なにしろ園芸や農業の従業者も高齢化が進み、力が弱っているのですから 見習うべき開発商品ですね。 何も特許だけが唯一の生き残り策ではないのですが、高齢化対策はあらゆる 業界に通用する問題であると思われるし、高齢者の気づかないメリットを どうやって発掘していくかが、中小・零細・個人の発明する対象として注目 していくべき道であろうと思われますし、国内で特許権を獲得さえ出来れば、 例え中国やインドで模倣されても日本に輸入指し止めが可能であるから お勧めするのです。 私の事例で悔しいですが、足が冷えて寒い日の買い物がつらい状態ですから 買い物代行業なんかがあれば使いたいものですが、三条には私の思うような 買い物代行業が見つからず、今日の様な晴れた日の近くのスーパーに行って 買ってきます。 しかし、魚や肉は冷凍保管できますが、生野菜は重いうえに冷凍保管でき ないからこれが又大変です。 収入も蓄えも少なくなった私には、持病に耐えられる弁当の宅配も家事 代行も頼めませんが、高齢者化社会となった現代には、こうした高齢者を 対象とする事業は、益々盛んになることでしょうね。 少なくとも無視してはいけない産業であって、しかも輸入では無理な産業の一つですし、特許権も無用でしょう。 焦点の決め方一つで、意外な展開が始まることでしょうね。 まぁ、これは、私が目を開けて寝言を書いているようなものですから はかない夢物語かもしれませんね。 ---------------------------- 視力の劣化でパソコンを見るのが辛い状態なのに、どうしてこうも長~い メルマガを書くのだろうか? 果たして読者のお役に立っているのでしょうか!? お役に立っていると思って書いているのですが、現実はわかりませんね!? 最後までお読みいただきまして 本当に有り難うございました。 ブログについてのコメントをいただけることが、唯一の楽しみです。 可能な限り、ご返事を差し上げます。 あなた様の ご健康 ご健闘 ご活躍を お祈り 申し上げます。 まぐまぐ・メルマガの読者登録・解除はは、こちらからどうぞ ⇒ http://www.mag2.com/m/0000209589.html ---------------------------- 発行元:原点発創研究所:非まじめ発創塾 発行責任者:坂井 徳栄 アドレス:himajime + 半角の@マーク + apost.plala.or.jp ---------------------------- <免責事項> ※ ご紹介内容は、発行者の考え方です。 購読者個人の責任においてご利用ください。 記載内容を利用して生じた結果について、 何らかの損害が発生しても、発行者は責任を負えません。 ※ 友人、知人への転送は、大歓迎ですが、 文章を変更しないでこのまま転送してください。 一部あるいは全部の無断転載は、固くお断りします。 Copyright 2009



