住まいと法律〜判例編(87号)
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住まいと法律〜判例編(87号)
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・事実
(最高裁平成19年3月30日)
原告は被告との間で、平成16年9月7日に建物の請負契約を締結しました。老
人福祉施設を建設するために、1階建ての木造建物を建築するもので、基礎には
ベタ基礎が採用されました。紛争の発端はベタ基礎工事のやり方にありました。
被告の建設会社が、ベタ基礎工事のため、生コンクリートの打設を行っていた
ところ、午後3時から強い雨が降ってきました。当時、本件の工事現場を含む地
域に、大雨洪水警報が発令されていたようです。しかし、被告は工事を中止せず
に続行してしまいました。
以上のような工事の状況を聞いた原告は、基礎には重大な欠陥があると考えて
基礎工事のやり直しを被告に対して要求しました。ところが、被告は、「強度の
低下はない」と説明して、工事のやり直し要求には応じなかったのです。
被告とのやり取りを通じて不信感を強めた原告は、請負契約を解除して、コン
クリートの撤去費用などを被告に対して請求したのです。
・法律上のポイント
契約を締結した後に、契約で約束した内容を実現できなくなったという事態を後
発的不能と呼んでいます。後発的不能とは、履行不能と呼ばれる事態の一種とさ
れています。仮に、契約で約束したことをもはや実現できない、つまり履行不能
と裁判所に認定されると、契約の相手方に何らかの責任がある場合には、相手方
に対して契約の解除や損害賠償の請求をすることができます。
法律上のポイントは、本件のように物理的には契約を履行できるものの、当事
者(特に原告)の意思としては契約関係の継続を受け入れることが耐えがたい場
合に、契約が履行不能に至ったと解してよいのかどうかです。
[山本94頁以下]
・判決
判決は、被告が工事のやり直しに応じなかったために原告が「不信感を強めて行
った」と指摘した上で、「本件建築工事を完成できないことは確定的な状態とな
っており、本件請負契約に基づく仕事完成義務は社会通念上履行不能になった」
と判断しました。原告の被告に対する撤去費用などの請求が認められたのです。
本件は、被告となった建設会社の対応のまずさが、紛争の激化を招いた事例とい
えそうです。とりわけ大雨が降り出したにもかかわらず、工事の続行を決めた現
場の判断が致命傷でした。
(判例は変更されることがあります。トラブルの際には弁護士などへご相談を)
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発行人:馬場 民生(法科大学院生)
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