住まいと法律~判例編  RSSを登録する

住宅をめぐる法律は激変したといっても過言ではありません。こうしたなか安心できる住まいの購入、トラブルの防止を実現するためには、かつての裁判例を理解することが重要です。住まいと法律(判例編)では、住まいにかかわる判例をわかりやすく解説します。

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2008/10/18

住まいと法律~判例編(89号)

 
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住まいと法律〜判例編(89号)
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・事実
(東京地裁平成18年1月20日、判時1957号67頁)
原告は、不動産仲介業を営む被告を介して、土地とその上にあった中古住宅を購
入しました。売買価格は3500万円で、現況有姿売買とされていました。紛争
の発端となった中古住宅は、競売によって取得した住宅に内装などのリフォーム
を施した上で、売りに出されたものでした。
 中古住宅を購入した原告は、売買契約締結日の約1ヶ月後に、建物のなかに立
ち入りました。そして、畳を上げて床板を剥がして床下を確認したところ、白ア
リ被害を発見したのです。その後の調査によって、売買契約を締結した時点で、
既に土台部分が白アリ被害を受けて木材が空洞化するなど重大な損傷を受けてお
り、このままでは建物の構造耐力に危険があることがわかりました。
 そこで、原告は被告ら対して、建物の補修費用等を請求するために訴えを提起
したのです。

・法律上のポイント
法律上のポイントは2つあります。まず、本件の中古住宅が現況有姿売買だった
にもかかわらず、被告は白あり被害という建物の欠陥について責任を負うのかど
うか。もう1つは、原告による被告への責任追及が、法律上の期間制限(本件で
は買主たる原告が白アリ被害の事実を知ってから1年。瑕疵担保責任の除斥期間
と呼びます)を過ぎているのではないか。原告がはじめて白アリ被害を知ったの
が平成13年7月15日で、訴えを提起したのが平成15年2月13日だったた
め、原告が白アリ被害の事実を知ってから1年を過ぎていたと評価される可能性
があったのです(責任追及の期間制限内に、必ず訴えを提起しなければならない
わけではありませんが、訴えを提起すれば原告の責任追及の意思は明確になりま
す)。
[山本264頁以下]

・判決
判決は、まず「取引通念上、目的物たる土地上の建物は安全に居住することが可
能であることが要求されるものと考えられるから、本件建物が本件売買契約当時
既に建築後21年を経過していた中古建物であり、現況有姿売買とされていたこ
とを考慮しても、本件欠陥に関しては瑕疵があったといわざるを得ない」と判断
しました。現況有姿売買であっても、人が住めないような住宅については、常識
的に考えて売主の業者が責任を負うべきと裁判所は考えたのです。
 次に、責任追及の期間制限について、判決は、原告が「白アリ被害について専
門的知識を有していると認めるに足りる証拠はなく、白ありの存在が当然に建物
の倒壊の危険性をもたらすものではなく、その危険性は被害の程度によることか
らすれば、本件における除斥期間の起算点は、原告らが単に白アリ被害を発見し
てこれを認識した時点ではなく、少なくとも白アリ被害が土台の大部分に及んで
おり、建物の効用が相当程度減殺されることを認識した時点である」として、「
本件において、証拠上、原告らが上記認識を持ったと認められるのは、原告らが
土台に大きな穴があいてふぬけとなっていることを初めて認識した平成14年7
月であるといえ、これを起算点とすると、(中略)原告らは、平成15年2月1
3日、本件訴えを提起しているから、瑕疵担保責任の除斥期間は経過していない」
と判断しました。
 判決の引用が長くなりました。要するに、原告が勝訴して、損害賠償の請求が
認められたのです。この判決から得られる教訓は、中古住宅を販売する者は必ず
土台などに白アリ被害がないかどうか確認すること、そして買う方も同じように
白アリ被害の有無について確認した上で中古住宅を購入することです。万が一欠
陥住宅を購入してしまった場合には、売主の責任を追及できる期間は短いですか
ら、早めに建築と法律の専門家に相談しなければなりません。
(判例は変更されることがあります。トラブルの際には弁護士などへご相談を)
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発行人:馬場 民生(法科大学院生)
HP:http://www.jttk.zaq.ne.jp/bagqn504/
掲示板:http://db.zaq.ne.jp/asp/bbs/jttk_bagqn504_1/frame/list
発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
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