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住宅をめぐる法律は激変したといっても過言ではありません。こうしたなか安心できる住まいの購入、トラブルの防止を実現するためには、かつての裁判例を理解することが重要です。住まいと法律(判例編)では、住まいにかかわる判例をわかりやすく解説します。

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2008/09/20

住まいと法律~判例編(85号)

 
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住まいと法律〜判例編(85号)
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・事実
(横浜地裁平成12年9月6日、判タ1104号237頁判時1737号101頁)
高級住宅地の一画を買い取り、その土地を細分化して数棟に分けて販売する手法
があります。棟数が多いほうが、一戸あたりの販売価格が下がって売りやすいで
すし、販売側としても多くの利益をあげることができます。
 原告の不動産会社は、土地2区画を購入し、5戸に分割して販売する計画を立
てました。これに対して、地域住民の反対運動があったため、それぞれの土地を
3戸に分割する計画に変更したものの、住民はこれにも反対しました。
 住民は3分割案の強行に抗議するために、自治会名で看板や垂れ幕を設置する
ことの承認を自治会理事会から得ました。そして、問題となった建売住宅を見に
来るお客さんが通ると思われる場所を中心に、「三戸分割反対」などと書かれた
看板類を設置したのです。このような反対運動は、建売住宅が完成した後も続き
ました。
 そこで、原告の不動産会社は、看板類の設置によって(販売価格を下げざるを
得なくなったなど)損害を受けたとして、住民に対して損害賠償を請求したので
す。

・法律上のポイント
良いまち並みを維持したいと、地域住民が思うのは当然のことです。思いを実現
するために、反対運動を行うことも表現の自由の一環として当然に許されます。
土地を細分化する不動産会社を「利益至上主義」として批判することも可能でし
ょう。ただ、不動産会社にも適法な手段で利益を追求する権利があります。適法
な手続を経て住宅を建設し販売している以上、その行為を一方的に妨害すること
はやはり許されないでしょう。法律上のポイントは、地域住民の利益と不動産会
社の利益との調整点をどこに求めるのかです。
[―]

・判決
判決は、建売住宅が完成されるまでの間の反対運動について「原告に本件3分割
案を撤回する可能性がある以上、社会的相当行為と評価することができる」と判
断しました。しかし、建売住宅が完成した後は、「3分割案の変更が事実上不可
能になったのであるから、これ以降、被告らが本件看板類を設置・維持すること
は、原告の翻意を求めるという意味での効果はなく、原告に対する反感や不満の
表明と本件各建売住宅を見に来る顧客に対するアピールという意味を持つにすぎ
ない」と批判し、建売住宅の購入を検討するお客さんに「周辺住民とのトラブル
を予測させ、本件建売住宅の購入意欲を低下又は喪失させた」のだから「もはや
社会的相当行為を逸脱している」と判断しました。建売住宅が完成する前の反対
運動は容認できるが、完成した後の反対運動については単なる販売妨害行為だか
ら住民は損害賠償を不動産会社に支払えというわけです。
 驚くのは、裁判所が支払いを命じた損害賠償の額です。判決文には、「155
0万円を支払うべき義務を負う」と記載されています。反対運動のやり方はとも
かくとしても、少なくとも当初は良好なまち並み維持という正当な目的を有して
行われた活動に対して、これほどの大金を(しかも住民に対して)損害賠償とし
て支払わせることは社会的にみて相当なのでしょうか。
(判例は変更されることがあります。トラブルの際には弁護士などへご相談を)
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発行人:馬場 民生(法科大学院生)
HP:http://www.jttk.zaq.ne.jp/bagqn504/
掲示板:http://db.zaq.ne.jp/asp/bbs/jttk_bagqn504_1/frame/list
発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000209388.html 
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