住まいと法律~判例編  RSSを登録する

住宅をめぐる法律は激変したといっても過言ではありません。こうしたなか安心できる住まいの購入、トラブルの防止を実現するためには、かつての裁判例を理解することが重要です。住まいと法律(判例編)では、住まいにかかわる判例をわかりやすく解説します。

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2008/08/23

住まいと法律~判例編(83号)

 
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住まいと法律〜判例編(83号)
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・事実
(最高裁平成5年11月25日、判時1500号175頁)
原告は、不動産会社の被告との間で、マンションを購入する売買契約を締結しま
した。代金は4500万円で、そのうちの1850万円について、原告としては
他の銀行融資よりも条件が有利であった住宅金融公庫の融資を受けるつもりでい
ました。
 両者の間で結ばれた売買契約には、次のような条項が記載されていました。
(1)売主の責に帰す住宅金融公庫等住宅ローンの融資が実行されない場合に限
り売主買主双方共違約損害金の適用を受けないでこの契約を解除することができ
る
(2)売主の責により住宅ローンが不成立の場合に限り、買主は(中略)本契約
を解除することができる
 ところが、原告が購入したマンションは、住宅金融公庫から融資を受けるため
の条件を満たしていないものでした。そのため、原告は住宅金融公庫からの融資
を受けることができなかったのです。そこで、原告は契約を解除して、既に支払
っていた手付金や中間金などの返還を被告に対して求めました。

・法律上のポイント
法律上のポイントは、2つあります。まず、住宅金融公庫から融資を受けられな
かったことが、売買契約書に記載されていた契約解除の条件を満たすのかどうか。
次に、仮に売買契約の記載に基づいて契約を解除できないとしても、住宅金融公
庫から融資を受けることができると原告は勘違い(錯誤)をしていたのだから、
勘違いを理由としてそもそも契約自体が成立していなかった(売買契約の無効)
と主張できるのではないか。
[消費者取引判例百選58頁]

・判決
判決は、売買契約の記載について「『住宅金融公庫の融資』がされていない場合
には無条件で解除を許す旨の合意とみることができない」と判断しました。つま
り、売買契約に記載されていた契約を解除する条件を満たしていないというわけ
です。しかしながら、売主の被告が「住宅金融公庫に提出する図面を操作するこ
とによって住宅金融公庫の融資を得ることができるかのような説明をしていたこ
と、住宅金融公庫の融資手続は被告の側で代行しておこなう旨の説明をしていた
ことが各認められる」から、「原告に錯誤があったことは明らか」として、結論
としては原告の請求を認めました。
 ところで、今回の事案で問題となった契約書には、「売主の責により住宅ロー
ンが不成立」と記載されていました。「売主の責」とは具体的にどのような場合
を指すのでしょうか。判例を解説した鳥谷部・広島大学教授は、次のように述べ
ています。「売主の責めとはどういう場合かなど、一般の購入者にとっては文言
上不明確である。むしろ、当事者の責めにかかわらず、住宅ローン融資不実行の
結果が発生した場合には、買主から契約を解除できるとの特約に改めるのが望ま
しい」(消費者取引判例百選59頁)
(判例は変更されることがあります。トラブルの際には弁護士などへご相談を)
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発行人:馬場 民生(法科大学院生)
HP:http://www.jttk.zaq.ne.jp/bagqn504/
掲示板:http://db.zaq.ne.jp/asp/bbs/jttk_bagqn504_1/frame/list
発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000209388.html 
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