住まいと法律~判例編  RSSを登録する

住宅をめぐる法律は激変したといっても過言ではありません。こうしたなか安心できる住まいの購入、トラブルの防止を実現するためには、かつての裁判例を理解することが重要です。住まいと法律(判例編)では、住まいにかかわる判例をわかりやすく解説します。

現在休刊中です    
解除

規約に同意して

2007/12/01

住まいと法律~判例編(56号)

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
住まいと法律〜判例編(56号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・事実
(最高裁昭和42年7月21日、判タ210号152頁、判時493号32号
 最高裁民事判例集21巻6号1653頁)
ある土地を賃貸していた被告は、その土地を農地にしていた賃借人から返却を受
け、住宅を建設して住んでいました。ところが、原告となった人がその土地のも
ともとの(被告とは異なる)所有者から土地を購入したと主張して、土地の明け
渡しを請求してきたのです。
 事実の細かい日時は以下の通りです。(1)被告による土地賃貸の開始は昭和
13年3月21日(2)原告の土地購入が昭和33年2月(3)原告への土地の
移転登記は昭和33年12月8日。
 長年にわたって住み続けた住まいから、追い出されるのは被告にとって一大事
です。そこで、今回の紛争となりました。

・法律上のポイント
民法162条は、20年間にわたって自分の土地だと信じ込んで住み続けた場合
に、その土地の占有者(被告)が土地の所有権を得ることがありうるとしていま
す。このような制度を取得時効といいます。今回の事案では、遅くとも昭和13
年3月21日(土地の賃貸を始めた日)には民法の定める占有を始めていますか
ら、20年後の昭和33年3月21日以降に取得時効が成立しうることになりま
す。
 しかし、今回の事案では原告が取得時効前(昭和33年2月)に土地を購入し
て、さらに移転登記までしています。法律上のポイントは、被告の時効取得と原
告の土地購入との関係をどのように考えるべきかです。
[内田総則447〜448頁]

・判決
判決は、「時効取得を登記なくして上告人に対抗できる」として、被告の権利を
優先させました。被告はその土地に住み続けることができるわけです。さらに、
判決は原告へ登記が移転されていた点について、(被告の時効取得後に)「登記
を経由することによって消長を来さない」と述べています。つまり、少なくとも
今回のようなケースでは、登記の移転時期は判断に影響しないのです。
 ただし、取得時効の完成後に原告のような土地購入者があらわれた場合には、
注意する必要があります。なぜなら、このような場合について、判例は「登記を
先に得たほうが優先する!」と判断しているからです。要するに、土地の所有権
を得た以上は、一日でも早く登記を移転すべきなのです。
(判例は変更されることがあります。トラブルの際には弁護士などへご相談を)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行人:馬場 民生(法科大学院生)
HP:http://www.jttk.zaq.ne.jp/bagqn504/
掲示板:http://db.zaq.ne.jp/asp/bbs/jttk_bagqn504_1/frame/list
発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000209388.html 
現在休刊中です
解除

規約に同意して

最近の記事

上へ戻る