09.07.06 こころは超臨界 No.663「フィットネス」
【 幸せと平和を願う人々の心が臨界質量を超えるとき世界は変わる 】
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人間学を学ぶメールマガジン『 こころは超臨界 』
読者:331人 / 発行人:渡部天真
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◆ 2009年7月6日 第663号「 フィットネス 」
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【世界の名言】
いったん自己の限界が分かれば
私たちはそれを乗り越えていく
(ブレンダン・フランシス)
Once we accept our limits, we go beyond them.
( Brendan Francis )
●フィットネスは「フィット=適応」と「ネス=能力」から成り、人間
の「適応能力」を指します。ではフィットネスとは具体的にどういうこ
とかを大腸菌による実験で見てみることにしましょう。
「生命のバカ力」http://tinyurl.com/yv4cnr
【 村上和雄、講談社プラスアルファ新書、p14 】
大腸菌を培養するさい、エサとしてブドウ糖を与えますが、たまに
乳糖を一緒に与えても、ブドウ糖ばかりを選んで食べて、乳糖には
見向きもしません。そこで、ブドウ糖をやめて、乳糖だけを与える
という実験をしてみたのです。
大腸菌はしばらく食事をやめていたけれど、やがて、乳糖を食べる
ようになり、それから乳糖だけで増殖していくことができるように
なりました。
そこでパスツール研究所の研究者が疑問に思ったのは、大腸菌の乳
糖を消化する能力は、乳糖を与えるようになってからできたものか
どうかということでしたが、いろいろと調べた結果、それは以前か
らもっていた能力であったことがわかったのです。
●大腸菌は乳糖を食べる能力をつかさどる遺伝子をもっていたにもかか
わらず、使う必要に迫られる環境がなかっために遺伝子は眠っていたと
いうことになります。つまりフィットネスとは、環境のストレスに適合
する遺伝子を活性化させることと言い換えることができます。
●笑いの遺伝子の研究で知られる村上和雄教授によれば、人の遺伝子は
97%眠っているといいます。かくして眠っている遺伝子を活性化させ
人のフィットネス能力を高めようという試みがいろいろとなされるよう
になったわけです。
環境へのフィットネス――三浦豪太
【「探検学校」09.06.27日経新聞(夕刊)】
米国留学中のユタ大学で、スポーツ生理学とは「フィットネス」を学ぶ
ものだと教わった。
日本では「健康増進のためのトレーニング」という意味で使われること
の多いフィットネスだが、元をたどれば「フィット=適応」と「ネス=
能力」から成り、人間の「適応能力」を指す。例えばスポーツジムで行
う筋力トレーニングは、鍛錬によって筋肉が強化され、より重いものを
持ち上げられるようになる。「筋肉適応」と考えられる。
「適応」には必ず何らかの遺伝子作用が関連している。多くの人が、遺
伝子は生まれつきのもので変化しないという固定観念を持っているが、
それは誤解だ。以前、このコラムで紹介した筑波大の村上和雄教授も示
したように、笑いによって糖尿病が改善したり、筋力トレーニングや食
事習慣が遺伝子に影響を与えたりすることが、最近の研究で明らかにな
っている。
僕はエベレスト下山後、酸素と遺伝子の因果関係に興味を持ち、順天堂
大で低酸素が引き起こす遺伝子の反応について研究を進めた。実験では
8000メートル峰の登頂経験がある4人(高所経験者)と未経験者の
4人に、標高4000メートル相当の酸素濃度に設定した低酸素室に1
時間滞在してもらい、どのような遺伝子の作用が起きるかを観察した。
結論からいうと、高所経験者も未経験者も、短時間でめまぐるしいほど
鮮やかな遺伝子反応が確認できた。しかし、とりわけ興味深かったのは、
体内により多くの酸素を送るために血管を拡張し、老化と関係のある活
性酸素を除去する因子が発現したのは、未経験者だけだったということ。
つまり、高所経験者の体内には低酸素室に入る前からこの因子が存在す
るため、改めて変化に対応する必要がなかったのである。
高所滞在は体に悪いといわれていたが、実は低酸素への適応が健康を促
進する可能性がある。世界の長寿村といわれる村が標高1600~20
00メートルに多く存在するのは偶然ではないかもしれない。
研究はいまだ途上で最終的な結論はまだ先だ。しかし、人間の生存能力
を高めるのは、必ずしも安全で快適な環境ではなく、自然のストレスへ
の「フィットネス」かもしれない。最近、僕はそう考えるようになった。
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