2009/11/09
こころは超臨界 No.747「ブリキの映写機」
【 幸せと平和を願う人々の心が臨界質量を超えるとき世界は変わる 】 ( 心が臨界質量を超えるとは → http://tinyurl.com/5kr6f ) **************************************************************** 人間学を学ぶメルマガ『 こころは超臨界 』 読者:368人 / 発行人:渡部天真 **************************************************************** ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 2009年11月9日 第747号「 ブリキの映写機 」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★02シリーズ「人生が決まるとき」 バックナンバーはこちらから → http://tinyurl.com/2jvvjn 【世界の名言】 偉大な芸術家とは自らの理想に従う奴隷である (クリスチャン・ネーベル・ボビー) The great artist is a slave to his ideals. ( Christian Nevell Bovee, American Author, Lawyer, 1820-1904 ) ●盲目のピアニスト・辻井伸行さんは、今年の6月、米国テキサス州フ ォート・ワースで行なわれていたヴァン・クライバーン国際ピアノ・コ ンクールで、中国の張昊辰さんとともに優勝を果たしました。 ●天才ピアニスト・辻井さんの才能はすでに生後8カ月目にして発揮さ れた、といいます。 当時よくかけていたのはショパンの「英雄ポロネーズ」でした。伸 行を寝かしつけた後、私は台所で仕事をしながら聴いていました。 ところがそのテーマの部分に来ると、奥の和室のふすまがバタバタ 音を立てるのです。何かと思って部屋をのぞいてみると、伸行が全 身でリズムを取って足でふすまを叩いているではありませんか。し かもそのバタバタの音が、見事に演奏に合っているのです。 (『今日の風、なに色?』 http://tinyurl.com/mfmgew ) ●しかも辻井さんはこの時、ピアニストによる演奏の違いをはっきり聞 き分けています。 ●さて、きょう登場するのは映画監督の大林宣彦さんです。大林さんの 場合は、映画の編集という技を、言葉より先に覚えた、というものです。 「こころの玉手箱」――映画作家・大林宣彦 【 09.11.02日経新聞(夕刊)】 [1] ブリキの映写機の玩具――映画の編集、言葉より先に学ぶ 僕の家は代々医者だった。昔、医家というのは地方でまっ先に新しい文 化を取り入れた場所で、尾道の港に船が着くたび、父のもとに新しい、 珍しい品々が運び込まれた。 それらの行く先は蔵である。幼い僕にとって、蔵は心躍る遊び場だった。 もの問いたげな表情のガイコツ、くるくる回る地球儀。いい匂(にお)い のする革張りの本をそっと開くと、横文字の海に浮かぶ美しい色刷りの 絵が、この世のものとは思えない幻想的な風景を見せてくれた。 その宝の山から見つけだしたとびきりの宝物が、ブリキでできた玩具の 映写機だった。現物はもう無くなって、これは後に友人からもらった同 型機。当時家庭向けに、漫画などの短いフィルムと一緒に売られていた ものだ。 ところが3歳の僕はこれを、いつも家のそばを走っていく、大好きな蒸 気機関車のおもちゃだと思いこんだ。横に倒して突き出たレンズが煙突、 フィルム送りのハンドルが車輪、電球を収める部分が石炭釜と、うまい 具合にあてはまる。「石炭」はフィルムだ。 実際に1コマずつ切って「釜」に入れ「煙突」を上にすると、レンズか ら入る太陽光でセルロイドのフィルムはよく燃えた。白い煙りを上げる のを見て、僕はシュシュポポ……と喜んで遊んだ。 だがそのうち、どうも違うぞと気づく。説明書きをよく読むと「くわつ どうだいしやしんき」とある。試しに「釜」に電球を入れ、レールに「 石炭」を通すと「煙突」から絵が出てきた。「車輪」を回すとその絵が が動く。 僕は母親のところへ飛んでいき、バラバラに切ったフィルムを糸でかが ってもらった。けれどもめったやたらにつないだものだから、へんてこ なドラマが出来上がった。のらくろが手を出すとポパイがひっくり返る。 僕は映画の編集という技を、言葉より先に覚えたのだった。 小さな映写機から現れては消えていく四角い光の映像は、汽車の窓から 眺める風景に似て、ああ、これは汽車と同じように旅を楽しむものなん だ、と小さな僕は思った。映画とは旅のようなものだ、とそれからもず っと、僕は「映画の旅」の人生を送らしてもらっている。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ★ 購読・解除はこちらです http://www.mag2.com/m/0000208880.html ★ 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ ★ 発行人:渡部天真(名前の由来 → http://tinyurl.com/37rfmp) ★ メルマガ発想を支えるブログ: http://blog.goo.ne.jp/chorinkai/ ★ バックナンバーはこちら http://tinyurl.com/m4peab ★ ご意見・ご感想は、直接このメルマガに返信願います。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ いつもお読みいただきまして、ありがとうございます。



